ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

川島織物セルコンの「織物文化館」。明治22年に開館した国内最古の企業博物館。

2018-03-07 | 博物館・美術館

叡山電車「市原駅」から徒歩10分ほどに、天保14年(1843)創業の日本を代表する高度な織物を製作するファブリックの会社「川島織物セルコン」の本社があります。自然豊かな市原に、京都の町中から移転したのは、昭和39年、東京オリンピックの年のこと。約58,300㎡という広大な敷地には、現代のライフスタイルを牽引するインテリアファブリックや高度な技術を要する帯や緞帳、美術工芸織物などを生産する工場をはじめ、織物を習得する「川島テキスタイルスクール」、そして国内最古の企業博物館の「織物文化館」があります。

正門から入ったミモロは、その広~い敷地内の一角にある「織物文化館」に向かいました。
 
3月21日まで開催されてる「京都ミュージアムロード」という京都市内の博物館・美術館91施設が参加するイベントに、この「織物文化館」も参加しています。「博物館や美術館を3か所回って、スタンプ集めて応募ハガキ送ると抽選でいろいろなプレゼントが当たるんだって~」とミモロ。

またここでは、13時からは、館内見学ツアーが行われ、展示されている歴史的資料などのわかりやすい説明も聞けるのです。
「こんにちは~ミモロちゃん。よくいらっしゃいました~」と、笑顔で迎えてくださったのは、館長の辻本憲志さん。
「初めまして、今日はよろしくお願いします」と挨拶。今回、あらかじめ取材を申し込んでおいたミモロは、特別に館内の撮影許可をいただきました。

「じゃ館内ご案内しますね~」とおっしゃる辻本館長の後に続くミモロです。
 
「わ~大きな写真・・・すごく豪華な雰囲気のお部屋~」とミモロ。「これはこの『織物文化館』の前身である『織物参考館』の写真です」と館長さん。

『織物参考館』は、明治22年、二代川島甚兵衞が、京都の町中の三条高倉に染織の魅力を多くの人に伝えるために開館した3階建ての洋館で、国内最古の企業博物館となりました。当時、建設が進む各所の洋館建築ブーム・・・洋館の室内装飾を提案した画期的なショールームでもありました。

明治時代は、織物産業の発展を政府規模で推し進めた時代。昔から帯や着物で培われた高度な技術をもつ川島織物は、さらにその技術を高めるために、さまざまな試みと大きなプロジェクトに積極的に取り組んでゆきます。
その軌跡を示す歴史的資料となる所蔵品をはじめ、多彩な資料や所蔵品約16万点を、企画展などを通じ公開しているのが、この「織物文化館」です。

4月7日まで展示されているのが「舞楽~舞のひとこま~」という企画展。
「うわ~大きいね~」とミモロが驚くのは「綴織壁掛原画」の「還城楽」という1933年に作られた壁掛の原画です。

織物の壁掛などは、画家が描いた絵画を織物にする場合と、織物のために作画をする場合があります。これは織物を作ることを前提に描かれた絵で、この原画を元に、織物をつくる設計図が描かれ、それをもとに職人が織りあげてゆきます。
「これもすごいね~」とミモロが感心するのは、やはり舞楽をテーマに織りあげられた作品です。
 
「なんか織物じゃないみたい~」と、その仕事の細かさと正確さが、まるで絵の具で描いたよう・・・。
でも、鉱物でできた絵の具とは異なり、そこには絹糸の艶と柔らかさが感じられます。

そもそも織物の壁掛けなどの歴史は古く、ヨーロッパや中東エリアでの織物技術の発達を背景に、絨毯だけでなく、石造りの建造物の多いヨーロッパや中東エリアの壁面を飾るものとして、また移動の多い人々の間で、ゴブラン織りの壁掛けなどは、発展してゆきます。
「祇園祭の緞通なんかも、すごいよね~」とミモロ。シルクロードを経て日本に渡った品々は、日本の織物にも大きな影響を及ぼします。

「これ織り方のサンプルなんだって~。織るのすごく大変なのに、わざわざサンプル作ったんだ~」とミモロ。
「はい、織った具合などを知るために作ったんですよ。そこまで完璧な仕事をしたいというわが社の職人の思いがあるんです」と館長さん。

来年1月末まで展示される「富士巻狩に挑む」という企画展は、明治天皇のお住まいに飾られた作品ができるまでの貴重な資料が見学できます。

「え~こんな細かい絵からも織物にしたの~」と、さらに驚く細かさ。これを織る職人たちの気概が感じられる作品。
 
原画作成のために、実際に乗馬をした人を写生したり、細かい部分までの色の指定などがなされたそう。

「あれ~こっちはモダンだね~」8月31日まで展示される「新時代の幕開け・旧時代からの脱却」展は、昭和に作られたモダンなタペストリーが登場しています。さまざまな織りの技術を駆使した立体感も表現された作品なども。
 
「3つの企画展が今なら同時に見られるんだ~」

さらに「川島織物」の伝統の技が見られる、豪華な丸帯の数々も展示されています。
 
「さすが~素晴らしい帯だね~」と憧れのまなざしを向けるミモロです。

「ここも広いね~」と展示スペースから出たミモロが入ったのは、現在、「川島織物セルコン」が手掛けるインテリアファブリックのギャラリーです。
現在、「川島織物セルコン」は、カーテンや椅子生地など、ホテル、オフィースをはじめ、一般住宅に使われる品々を幅広く手掛けています。
「ゴージャスな雰囲気~」
カーテンやベッドカバーなど、家の中で大きな面積を占める部分。そこに上質なファブリックを用いると、その雰囲気はいっきにラグジュアリーなものに変わります。

日本では、カーテンというと、陽射しを遮断し、また室内の温度を快適に保ったり、外からの視線を遮るためという機能性が重視され、選ばれる傾向が強いもの。でも海外、とくにカーテンの歴史が長いヨーロッパでは、室内の雰囲気を高めるものとして選ばれています。

カーテンのかけ方も、ただ吊るすのではなく、ヒダの具合や畳んだときの雰囲気なども考慮する細かい気づかいがそこに。
日本の場合、新しい家に移ったり、改装しても、その費用の中に、カーテンの占める割合は低く、どうしても最後になって、余った予算内で選んだりしまい、まぁ、こんなものでいいか~ということも多いもの。

確かに上質のカーテンをオーダーすると、かなり費用がかかります。でも、その雰囲気は、予想以上に大きく、カーテンひとつで室内がグッとグレードアップするのもの。

「ミモロのお家も、そろそろ新しいカーテンにしたいね~」と思うミモロでした。

「ミモロちゃん、織りをしている工場見学しますか?」と館長さん。「はい、したいで~す」と、目を輝かすミモロ。
この日、ミモロは、特別に工場を見せていただくことに… 
「館内のご案内ありがとうございました。工場見学行ってきま~す」と、館長さんにお別れして、広報の方と、工場へと向かいます。


*「織物文化館」の詳しい情報はホームページから。見学には事前に予約が必要です。見学は無料です。




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