ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

年に1回、5月に秘仏公開。奈良「れんじょう寺」の神々しい裸形の阿弥陀如来立像。見る価値十分の美しさ

2012-05-19 | 奈良、近畿

「年に1回、五月の一か月間だけ、公開される美しい仏様があるので、見に来たら…」と、お誘いを受けたミモロ。「えー美しい仏様?どんなかなぁ?」と興味津々で奈良へと向かいました。

目指すお寺は、「れんじょう寺」(むずかしい漢字で、見つかりませんでした…)。奈良市内の中心地、「ならまち」にほど近いところにある古刹です。

最寄駅は、JR京終駅。JR奈良駅から、桜井方向に向かう電車で1つ目の駅。町中なのに、無人駅です。
「京終と書いて、キョウバテって読むのむずかしいねぇー。京つまり都のはじっこってことかな?」奈良の地名には、なかなか読みがむずかしい古い地名が多いよう。

さて、駅から徒歩で7分ほど。目指す「れんじょう寺」が、住宅地の一角にありました。


この辺りは、紀寺町と呼ばれる地域。古代豪族の紀氏一族のお寺があり、この「れんじょう寺」も、そのひとつです。縁起によると。天平年間聖武天皇の勅願で、行基菩薩の開基とされ、平安時代に紀有常が改めて伽藍を建立したとか…。長い歴史の中で、荒廃した時期もあったそう。現在は、浄土真宗のお寺になっています。

「小さなお寺だけど、お庭がとてもキレイ…」と言いながら境内を進みます。

「なんかとてもいい香りがしてるーなんだろ?」とミモロは、鼻をピクピクと。
公開時期の五月は、境内のオオヤマレンゲの盛りの時期。「初めて見るお花…」たっぷりした白い花からは、芳しい甘く上品な香りが漂ってきます。
オオヤマレンゲは、モクレン科の植物。コロリとした蕾も可愛らしい感じ。「いい香りや、蕾の形も、どこか蓮の花に似てる気がする…お寺にピッタリのお花」

しばし、お庭の花を楽しんだミモロは、本堂へと向かいます。

「ミモロちゃん、よくいらっしゃいました」と、迎えてくださったのは、三輪祥智さん。京都の伏見に住む三輪さんが、このお寺に初めて訪れたのは20代のこと。それ以来、何度も通って、ここ数年は、お寺のお世話をする係に…。それほどまでに、三輪さんを魅了したのが、本堂に安置されている御本尊、阿弥陀如来です。

(秘仏のため、撮影はできません、あしからず…)
ミモロが見ている写真が、その阿弥陀如来さま。

薄明りの本堂で見る阿弥陀如来は、160センチほどの高さがあり、想像より、かなり大きい立像です。鎌倉時代の作と言われる木像で、光明皇后をモデルにして製作されたと伝えられ、女身の裸形を表した珍しい阿弥陀如来です。
 白色のお体で、もともと衣装を纏うように作られたものとか。右手を上げ、左手を下げたお姿は、釈迦と阿弥陀を一体化させた姿。視線を下げた面持ちには、微かな微笑みを湛え、その穏やかで、神々しい表情に心が癒されてゆくようです。
 本当に美しい仏様で、特に、首から肩にかけての、デコルテの流麗なラインは、見惚ればかり。微かに膨らみを感じさせる胸元。ウエストラインへくびれも美しい曲線を描いています。袴に隠れたお尻の部分も女性を表しているそう。

そもそもこの阿弥陀様は、昔、不浄のものとされた女性を、西方浄土へ導き、成仏を叶えるために作られたそう。つまり女性を救う仏様なんです。手の指の間には、水かきのような膜「曼網」があり、誰ひとり取りこぼさないよう救う御心が表現されています。

御着衣の袴は、50年に1度、新しいものに着替えられるそう。
現在、この阿弥陀如来立像は、県指定文化財です。

また、像の足元の部分は、立体的な雲を思わせる彫刻が。江戸時代の作と言われるものですが、それも実に見事な作品。


「きっと作られた頃は、全身が真っ白で、もっと艶やかなお姿だったねー。もちろん今もキレイだけど…。雲に乗って、女性を助けに来てくれる…そんな動きも感じられるねぇー。ところで、光明皇后をモデルって言っても、鎌倉時代に作られたんでしょ、どうしてお顔がわかるの?写真もないんだから…」と、ミモロ。

光明皇后は、貧者や病人などを救うために、さまざまな功績を残された方と伝えられ、その慈悲深いお姿を表現してるんで、あくまでもイメージ。
「あ、そう…。でも、ずっと見てると本当に、惹きこまれてゆくねぇー」と、ミモロもすっかりファンになったよう。

この阿弥陀如来さまの脇には、平安時代初期の作とされる観世音菩薩立像(重要文化財)も。

お寺の奥には、阿弥陀様が以前、お召しになっていた袴が展示されています。
ミモロの大きさから、阿弥陀さまの大きさがわかります。

その近くには、「幸せの鐘」が。「これを叩くと、幸せになれるんだって…」とミモロもさっそく。

しあわせを願うばかりに、強く叩きすぎたミモロ…ガーン。
でも、やさしく叩くと、とてもいい音色が、長く響きます。

本堂の縁の部分にも、さりげなくお花が。

「美しい阿弥陀様のいらっしゃるお寺だから、やさしい心遣いがあって、とても気持ちがいいねー」と。

「奈良では、あまり観光客に知られていない小さなお寺でも、実はすごく素晴らしい仏様を持っていたり…。ぜひ、そういうお寺をめぐってみては?奈良の歴史の深さや、仏像の素晴らしさを感じることができるはずです」と、三輪さん。

「ハイ、ミモロもいろいろ回ってみます…ステキな阿弥陀様…お友達を連れて、また来ますね」と、穏やかな気持ちに包まれて、ミモロは、お寺を後にしました。

*「れんじょう寺」奈良市西紀寺町45 電話0742-22-4887 秘仏の公開は、毎年5月1日~31日 9:00~17:00(受付)拝観料:500円 JR 近鉄奈良駅から、市内循環バス(外回り)で「紀寺町」下車徒歩2分



人気ブログランキングへ
ブログを見たら、金魚をクリックしてね
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする