ねことわたしのやわらかな日々

17年一緒に暮らした愛猫を亡くしましたが、日々のささやかな幸せを、
手のひらで温めて暮らしています。

失うもの、得るもの

2008年03月01日 19時23分15秒 | 出会い
実は私、猫アレルギーのほかに
半年ほど前から腱鞘炎にも悩まされているのです。
職場では2人目の犠牲者、ということで
一種の職業病ようなものなのだけど。

今は幸い随分おさまっているものの
痛い時はコップを持ち上げるのもつらくて、
出来ることなら新しい手首と取り替えたい、と願ったほど。
でもそんな時、いつも大野勝彦さんを思い出すのです。

ご存知の方も多いと思いますが、
大野勝彦さんは両腕を失い、義手で絵を描く画家。
以前NHKの番組で彼を知り、
その作品に感銘し、
昨年夏は、北海道の富良野にある
彼の美術館に言って、彼の生の作品にふれてきました。
ハンカチで口元をぎゅっと押さえてないと
嗚咽する声がもれてしまいそうで、
半分呼吸困難になりながら、
涙でかすむ目をふきながら、の鑑賞でした。

出来ることならこのビデオクリップを、
一人でも多くの方に見て頂きたいと思うのですけれど、
農業一筋で生きてきたのに、
トラクターに巻き込まれて両腕を切断、という試練に遭い、
それでも自分の人生を呪うことなく、
「はい、わかりました」と受け入れることなど
それだけでも、私には到底出来そうにありません。

それだけでなく、そんな状況に置かれて
人の優しさや思いやりの大切さに気付き、
その受難を、天からの恵みだと思える心の美しさ。

中でも私が胸を打たれたのは
大野さんが見た夢の話でした。
ある日、大樹の下にいたら天から神々しい光がさしてきて
「お前の腕を治してやろう」という神さまらしき声がした時、
彼は即座に「いえ、治さないで下さい」と答えたと言うのです。
失ってようやく優しさを得たのだから、と。

私なら、そんな声が聞こえたら
夢でも何でも、きっと即座に
「はい、お願いです!」と叫んでしまいそう。

人が病気になったり怪我をしたりするのは
そこに学ぶことの出来る何かがあるからなのかな。

いつかわたしが、自分の人生に起こることすべてを
「はい、わかりました」と
しっかりと受け入れる覚悟が出来た時、
きっとすべての病気も怪我も
わたしの人生の恵みになるのかな。

わたしにはまだまだ
この大野勝彦さんや、星野富広さんのような
強さも覚悟もないけれど、
手首の多少の痛みくらいで弱音を吐くのをやめて
手があり、指があり、仕事を続けられることを
まずはせめて、感謝することから始めなくては。

富良野の美術館で購入した彼の詩画集の裏表紙には
彼のサインと、こんなメッセージが手書きされていました。
-----この道、喜んで

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