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突発的豪雨(ゲリラ豪雨)を読む/ 2008年8月4~5日関東。

2008-08-05 23:44:55 | 自然・気象・災害

*この記事は、2008年の8月4日~5日に、関東地方で起きた、
 突発的な天候変化についての情報を記事にまとめ掲載しています。

 <mimifukuの見方。>

 8月5日の昼頃に、東京・豊島区で起きたマンホール内での下水道工事中の事故は、衝撃的な水害事故として、記憶に残るだろう。 
 事故の詳細については、下記の記事を参照にしていただきたい。

 今回の突発的な豪雨は、同じく2008年7月27~28日に、北陸~近畿で起きた豪雨とは傾向が違うように感じる。
 北陸での豪雨は、前線に沿った雨雲の接近が数時間前から確認できたこと。
 また、金沢市・浅野川水害では、基本的な形態として、下層にまで及んだと思われる発達した積乱雲の塊が、浅野川上流の山地にぶつかり、その地域に限定して強い雨を降らせたこと。
 日本海側で、2時間に200ミリを超える雨量を記録した事実以外は、教科書通りの降雨形態であると考えられる。

 しかし、今回の関東で起きた局地的な豪雨の雨雲の動きを、テレビ画面のレーダーで確認すると、東京湾周辺から立ち昇る雨雲とは別に地上から湧き上がる形で雨雲が発達しているように見える。
 一見すると夕立の現象(山側斜面等からの積乱雲の発達)と見えるが、降雨量が夕立とするには尋常ではない。

 気象庁の説明では、教科書どおりの、
 「前線が、南からの湿った空気と、北からの弱い寒気の狭間で大気の状態が不安定になったため。」としている。
 しかし、こうした状況は今年だけではなく、過去にも何度も経験済みの気象配置のはずだ。

 もうひとつ注目されるのが、ヒートアイランド現象。
 「様々な要因で熱っせられた都市の空気が、上昇気流となって海上からの湿った空気を呼び込むことで、積乱雲の発達を助長し、短時間に豪雨を降らせる。」とされる説である。

 東京では、この日を含め26日間連続の真夏日を記録している。
 充分に暖められた地表に向かい、前線+北の寒気+南の湿潤な空気。
 さらに、今日の午前9時30分には、日本の南西海上に台風9号が発生。

 今回の台風9号は、香港の南に位置し、はるか遠くに存在する。
 こんなに離れた台風(熱帯低気圧)が、日本列島に影響を与えるのかは疑問だ。
 しかし、時計の反対廻りの台風が、南西海上にあると日本列島に南風をもたらし、前線の南側では大量の雨を降らせることは知られているし、その南風はフェーン現象を生み出し、列島の気温を上げる確立も高いように思う。
 台風時、暴風域と強風域にばかり目が取られるが、遠く離れた微風域が大気や前線、あるいは気温にどのような影響を与えているのか調査が必要だろう。
 *この日(8月5日)は、岐阜県多治見市で38度を超える猛暑日を記録。

 個人的な話で恐縮だが、私の住む石川県では、昔から沖縄(南西の方向)に台風があると気温が2~3度上昇すると言われている。
 初めてこの話を聞いたのは、高校生時代に土建屋さんのアルバイト先で、「今日は暑いですね。」と話しかけた時に、職人さんから教わったものだ。
 後にも、農家の人や地元の大工さんなど、外仕事をされる方に同じような話を聞いた。
 暑さを体感する人達の経験が生んだ言葉なのだろうと思う。
 しかし、気象学の教科書には、遠くはなれた台風と気温の関係に触れているものはないと感じる。
 
*ただし、すべての台風が気温に密接するわけではなく、7~9月の期間が著しい。
   また、日本海側を通る台風は、例外なくフェーン現象をもたらし大幅な気温上昇が見られる。

 今回の突発型の豪雨の原因についてのキーワードは、
 *前線の活動。
 *北からの寒気。
 *南からの湿った空気。
 それに加えて、
 *地表(下層域)温度の上昇(ヒートアイランド等)。
 *南西海域の台風(熱帯低気圧)の存在。
 
の5点セットが揃うことで起きる現象だと感じる。

 例えば、7月27日~28日の北陸地方の豪雨の時は、台湾周辺に台風8号が存在した。

 しかし、8月2日~4日にかけての北海道~北日本の大雨は、長時間でまとまった雨量を記録したものの、短時間豪雨情報は入ってきていないと認識している。
 この時は、南西海上には台風はなかった。

 8月4日~5日(あるいは6日)の関東での短時間豪雨は、4日の時点での熱帯低気圧の存在を見逃すことはできない。
 (追記:8月6日は、近畿地方~飛騨地方で局地的豪雨を記録し、被害を出している。)

 ひとつ仮想例を書かせていただくなら、金沢でのスポット豪雨は、西から東に直線状に延びる雨雲(積乱雲)が、金沢市の都市部上空でヒートアイランド現象で熱せられた下層の空気が、進入してきた積乱雲を刺激・発達させ、浅野川上流の山沿いに辿り着いたと考えることもできないか?
 金沢でも、この日以前は、15日間連続真夏日を記録していた。

 遠く離れた台風の存在を意識すること。
 前線が近づく前の観測地での、長期間の高温状態や、ヒートアイランドの有無を気象予報の参考にすること。
 こうした特記事項をひとつ、ひとつを分析し、今後増えるであろう突発的(突然現れる積乱雲)な豪雨を予測することは肝要であると感じる。

 表記に<ゲリラ豪雨>としたが、この表記は気象学を考える上で適当でないと感じるので、敢えて表記した。
 報道機関は、下世話な造語の使用を慎むべきだし、気象用語は後世に正しく伝えなければならない義務がある。
 *ゲリラ:( 小戦争の意味。ナポレオン一世が、スペイン征服当時、スペイン軍がしばしば用いた戦法に由来する。)

 遊撃戦を行う小部隊、また、その遊撃戦法。<出典:広辞苑第4版。>
 *ゲリラ2:ゲリラの意味は、本来武装勢力に対して用いられるべきものが、ベトナム戦争の折、<ゲリラ戦で相手を攪乱する>との戦法が、神出鬼没な奇襲戦法であったために、突然に襲ってくる突発的な出来事をゲリラ的などと表現したため、言葉の変化は、時代の流れの中で、
 <ゲリラ=突発的な事態:出来事>に対して用いられるようになったと考えられる。

 ただし、今までとは違った短時間型集中豪雨の出現が今後も増えると考えられるので、
 気象予報上の新しい表現も必要に思う。
 
あくまでも素人の個人的な見解ですので、誤り箇所があればコメントで指摘してください。

*大気の状態不安定による大雨。
  (PDF気象庁) 8月4日~8月9日
   http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/new/jyun_sokuji20080804-09.pdf

 
 <8月5日の被害・豪雨>

 5日午後0時20分ごろ、東京都豊島区の住宅街で下水管工事現場の地下マンホール内で、工事中の男性5人が流され、そのうち1人が死亡、4人が行方不明になっている。
 流された5人の作業員は、古くなった下水道管を補強するため、管の内壁に樹脂を張り付ける作業をしていた。
 現場付近の豊島区南大塚では、午後0時~午後1時頃の間に、66ミリの大雨が降った模様で、短時間に大量の雨水が下水道内に一気に流れ込んだことが、今回の事故の直接的な原因だと考えられる。
 この工事は、大雨警報の発令時には、すべて中止の対策が立てられていたが、大雨洪水警報が出されたのは、事故発生から約50分後とされている。

 東京・足立区では午後1時前、道路が大規模な陥没を起こし、オートバイに乗っていた男性が、この穴に落下し、腰の骨を折る重傷を負った。

 新宿区では午後1時頃、マンホールなどから水があふれ、商店などが浸水。
 床上浸水等の被害が、各地で相次いだ。

 成田空港では、午前11時からの1時間雨量73ミリという非常に激しい雨を観測。
 運航に影響が出た。

 栃木県那須塩原では、50ミリ。静岡市で、43ミリ、群馬県赤城山で、43ミリなど、雨は広範囲に渡って降っている。

 この日東京では、26日連続の真夏日だった。


 <8月4日の被害:落雷・停電>

 4日午後、関東甲信地区を中心に局地的に激しい雷雨となった。
 山梨県では、ほぼ全域の約56万戸で、午後6時29分に一斉に停電があり、全面復旧まで約1時間半かかった。
 南アルプス市では停電で信号が作動せず、交差点で女性がひき逃げされ死亡している。
 原因は落雷による送電トラブルとみられている。

 JR中央線や総武線、西武鉄道、東武鉄道が落雷による停電などでダイヤが大幅に乱れた。
 東京都内では、西武鉄道が午後4時20分ごろから約1時間45分にわたり、新宿線、国分寺線、拝島線、多摩湖線の全線で運転を見合わせ、約12万人の足に影響がでた。
 JR線も、東京都あきる野市の東秋留駅近くに落ちた落雷の影響で、同駅構内の信号制御装置にトラブルが発生し、五日市線が約4時間40分間にわたって運転を中止した。

 山梨県の大月では、観測史上最多の、1時間79ミリの雨量を観測。


 <原因:毎日新聞Web記事より転載。>

*集中豪雨:広範囲で積乱雲が急激に発達/関東甲信。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20080806k0000m040082000c.html
 
 8月4日~5日、関東甲信地方に大きな被害をもたらした集中豪雨は、上空に寒気、地表付近に暖気があり、それに暖かく湿った空気が流れ込んだのが原因で、広い範囲で積乱雲が急激に発達したとみられる。
 
 気象庁によると、例年は太平洋高気圧が日本列島を広く覆って安定した晴天が続く。
 しかし今回、関東甲信地方は二つの高気圧に挟まれ、その間の上空約6000メートル付近に氷点下4,5度の寒気が流れ込んだところに、地表~約1500メートルに暖かく湿った空気が入り込み、大気の状態が極めて不安定になった。


*大雨:発達した積乱雲が引き起こす/北陸近畿。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080729k0000m040150000c.html

 大阪管区気象台によると、7月27日~28日に、北陸近畿地方に大きな被害をもたらした集中豪雨や突風被害は、いずれも発達した積乱雲の影響で、仕組みは同じだったと考えられる。 
 専門家の意見として、台湾付近の台風8号の影響や、上空の気温がいつもより低かったことなどの複数の条件が重なった結果で、「かなり珍しい現象」と見られる。

 積乱雲は、入道雲とも呼ばれ、夏場に雷雨を起こす。
 発達には、湿った空気が大量に供給されることが条件。
 温度の高い地上と、冷たい上空との温度差が大きく、大気の対流が起きやすい不安定な状態であることも必要だ。
 7月27~28日は、日本海から北陸、関東にかけて東西に前線が延び、太平洋から暖かく湿った空気が流れ込んだ。
 さらに、台湾付近にあった台風8号の影響で、湿気の流れが増強された。

 地上は30度を超える暑さ。
 一方、高度5000メートル付近の上空の気温は、通常より3~4度低い氷点下6~7度だった。
 地上と上空との温度差がいつもより広がり、積乱雲の発達が促された。
 また、発達した積乱雲からの激しい下降気流が四方に広がって吹きだし、突風が起きたと考えられる。


  気象庁、初の異常気象分析検討会。(8月8日)

 気象庁は、7月以降の西日本の高温と少雨を議題に異常気象分析検討会を開きました。

 西日本では7月の気温が平年より1・6度も高く(東日本でも1・5度高)、1946年以来、第3位の高温を記録しています。
 また、西日本の太平洋側の降水量は平年の29%にとどまっており、過去最少の降水量を更新するなど異常気象となっています。

 これについて検討会は、
 7月下旬以降に偏西風が弱く、さらに蛇行も見られ、西日本上空を中心に高気圧が強まりやすい状況になったことなどが要因とする見解をまとめています。
 この原因は、北緯20度付近から赤道にかけてのインド洋で対流活動が活発になると、偏西風が影響を受ける傾向があるとし、梅雨前線の活動が活発でなかったこととも関係しています。

 *原因のまとめ。
 「上空に安定した高気圧が居座った。」
 「日本上空の偏西風が蛇行することで、梅雨前線の活動が弱まった。」
  ことが、西日本での高温少雨に関係していると結論付けました。

 また、最近の局地的豪雨についても触れ、
 「温暖化が局地的豪雨の一因となっている」との見解を示しました。



 <関連記事>
 スポット的集中豪雨対策、~携帯電話の雨雲レーダーの活用。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/10bc8c4b698deb79022987c4af5957b4

 


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