mimi-fuku通信

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「ゲイツとバフェット、後輩と語る。」マイクロ・ソフトの苦悩。

2008-02-24 21:43:36 | 経済・産業・mono

 約一週間かけて、「ゲイツとバフェット ~後輩と語る。」にこだわって書いてきた。
 
 この番組を最初に見た時には、別段大きな感動はなかった。
 言葉の中に新しい発見がなかったからだ。
 しかし、バフェットの啓蒙的姿勢を若い読者さん向けて、書き写すのも良いかなと始めてみると意外と色々なことが見えてきた。
 
 今回は、これまでとはまるで違った角度から、この番組の感想を、ひとつだけ集中して述べてみたい。
 ゲイツが言った、
 「当社にとって、最大の失敗は、
 <将来現実となって大きな成功を収めるものを見逃してしまうこと>です。」
 との発言にはアメリカらしさが垣間見える。

 日本の多くの企業の場合、まず最初に誰かが成功したことを手本に事業計画を立てる。
 また、日本には、、「勝ちに乗る。」との言葉をもじって、
 <勝ち馬に乗る。~勢いづく者に便乗するとの意味か?>との言葉もあり、不確実な事に対して、先頭に立って競争に参加する企業は少なかった。
 最近では、グローバル化の波もあり、一歩遅れると事業計画事態が窮地に追い込まれるといった例も見受けられる。
(カメラのデジタル化に乗り遅れたミノルタ等。)

 <最大のミスは、将来現実となって大きな成功を収めるものを見逃してしまうこと。>
 
は、現実にマイクロ・ソフトにも起きている。

 例えば、アップルに先を越された、携帯音楽プレーヤーの躍進。
 グーグルが先行した、WEB2,0と呼ばれる通信技術の改良がもたらした検索技術の驚異的な発達と、それにともなう広告収入型のビジネス・モデル。。
 マイクロ・ソフトの資金力があれば、早い時期に気づき、競争に入っていれば、競争力も対等以上にあったと考えられる。
 しかし、一歩で遅れたことが、今のヤフー買収計画につながっているのだろう。
 
 マイクロ・ソフトが、パソコン用基本ソフトOS(operating system)分野の独占を果したことで、すべてのコンピューターに関連する事業を先行、または独占するかに見えた。
 何をするにも、Windowsを介してアプリケーション(application software)を作動しなければならないと考えられたからだ。
 OSの占有率を高め、ほぼ独占状態になることで、アプリケーションの互換性がない他のOSは、事業規模を縮小せざる得なかった。
 そして、技術情報を秘密にすることによって、他のソフト会社がWindows 向けの応用ソフトの開発をしにくい状況をつくり出し、自社の電子メール・ソフト、表計算ソフト、文書作成ソフト、などを抱き合わせることによって、市場を独占、巨額の富をもたらした。
 ソフトの専有は、マイクロ・ソフトの独走を許し、王国を築き上げたのだ。
 
 <最大のミスは、将来現実となって大きな成功を収める可能性を見逃してしまうこと。>

 最近になってマイクロ・ソフト社は、、ヤフーの買収や、自社のOSの技術情報を無償で公開すると報じられている。
 このことから、マイクロ・ソフトの苦悩を読み取ることができる。
 マイクロ・ソフトの誤算は、時代の急激な変化を見逃したことなのだ。

 OSの情報公開によって、競合会社は、Windowsと互換性のある応用ソフトを開発しやすくなる。
 そのことは、実は、マイクロ・ソフトが自社のOSに対して危機感を持ち始めたことへの証明になるのだ。
 技術情報を公開することで、他のソフト会社に対して、Windows 向けの様々な応用ソフトの開発を促進し、Windowsの使用を継続してもらいたいとの思惑を感じることができるだろう。
 自社技術を知的財産として秘密主義に徹し、独占的な経営方針を貫いてきた同社がなぜここで方向転換しなければならなかったのか?

 1つは、世界の規制当局による自由競争の促進策に準ずる、欧州委員会から受けた独占禁止法違反に対する調査と是正命令。

 1つは、高速インターネット網が急速に普及することにより生じた、排他的なビジネス・モデルへの消費者の反発とそれに答えるかのごとく現れた、新たなビジネス・モデル。
 
 さらに、基本ソフトの分野でも、世界中の複数のソフト開発者が、インターネット上で連携しながら共同開発が進行するリナックス(Linux)の無償提供は、マイクロ・ソフトの経営基盤にまで脅威を与える可能性を秘めている。

 アプリケーション・ソフトも、インターネット上での無償提供が浸透(ソフトを無料で提供しながら広告料で稼ぐといったビジネス・モデル)しはじめており、マイクロ・ソフトへの依存度は今後、低下するだろうと見られている。

 このように、
 <将来、現実となって大きな成功を収める可能性を見逃してしまうこと。>
 が持つ大きな意味を知ることができるし、現代の世界の企業経営の現実を知る言葉になっている。

 逆に、
 <将来、現実となって大きな成功を収める可能性を誰よりも先に見つけること。>
 
が、これからの企業戦略にとって、最重要課題となることは予見している。

 大きな成功を収める可能性は、どこよりも先に消費者の願望をみつけだし、それを具体的な形にして提示する努力。
 言葉では理解していても、行動することは困難だ。
 イメージと現実。
 提示と受諾。
 提示と拒否。
 企業は絶えず、高速な時代の中で、選択することを求められている。 

 「ゲイツとバフェット ~後輩と語る。」
は、こうした現代の社会情勢や、今後の世界の動向をを示唆する多くの言葉が散りばめられていた。
 聞くだけでは、聞き逃してしまうことも、書くことや読むことで深く理解できることも多くある。
 そんな事に気付かされた一週間だった。

「ゲイツとバフェット/テキスト版。」へのリンク。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/cccbf051fb82250a6393f39d77915734

「ゲイツとバフェット/若者へのメッセージ。」へのリンク。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/c515054b2c36c262e3a5aa280d2fad47
 


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