色々な事を感じた一日でした。
最初は、取り留めの無い話から始めます。
まず、先週の気になった話題を2件。
アナウンサーの川田亜子さん(29)が5月26日に駐車中の乗用車内で練炭自殺をされた話は、同じ石川県の出身者として、さみしい思いをしました。
ウェブ検索では色々な噂が掲載されていましたが、川田さんのお母さんの気持ち(自慢の娘さんだったろうに)を考えるとやりきれない思いになりました。
先週の話題をもう一つ書くと、同じ5月26日のニュースとして、
三浦雄一郎さんの75歳の挑戦は複雑な思いを感じました。
「エベレスト登頂は、本当に涙が出るほどつらく、苦しく、厳しく、うれしい。今回はお 天気に恵まれ最高の気分です。ヒマラヤの山々をすべて見渡し本当に祝福してくれていると感じます。本当にありがとう。」
75歳7カ月での登頂は、前日の25日にネパール人男性のミン・バハドゥール・シェルチャンさんが76歳で登頂しとことで、世界最高齢の登頂記録の更新はなりませんでしたが、2度の心臓手術を乗り越えて不整脈治療を続けながらの登頂にはただただ感動。
99歳でフランス・モンブラン山系の氷河をスキー滑降した父敬三さんとともに、挑戦することの大切さを行動で示す姿勢には、冒険家の言葉だけでは片付けられない強さを感じる。
今回は、1日の差で運の無さを感じましたが、次は80歳での挑戦を明言している三浦さん。
私達凡人が意見を言えるレベルではない精神力を感じます。
ホントに、求道者にとって年齢は、挑戦を刻む通過点でしかないのかも知れませんね。
昨日は、夕方から金沢の百万石祭りに行ってきました。
電車で行ったのですが、金沢到着が午後3時17分で、帰りの電車が午後4時38分ですので滞在時間僅か1時間20分。
午後7時から会合があったので、5時半までに帰って、7時までにお風呂と夕食を済ませたかったので、仕方ないですね。
そこまでして行かなくても良いのにと家族に言われますが、決めた時間割は守っていかないと何事も前には進みません。
会合が終わって、9時ちょっとに帰ったら友人からサッカーをもに行くとメールが。
10時から、ワールド・カップ3次予選を見ながら色々な話をしました。
サッカーは、2つのPKが明暗を分けたと思います。
なにより、後半8分での反則を審判が取ってくれなかったら負けていたような。
そんな思いをしました。
今日は、朝からバタバタとしていて午前に福井まで買物に付き合って、午後は夏服の準備と靴磨き等をして、エコかなと自転車で図書館まで行ってきました。
自転車で走っているのは、高齢者と学生くらいで地方の自動車偏重の気質は変わりそうにないです。
途中、白人のカップルが自転車に乗ってて、近頃、外国の方が多く入って来ている事に驚きます。
そういえば、昨日の電車の中でも浅黒い南アジア系の男性のグループを見つけ外国人派遣労働者の存在を身近に感じました。
ちなみに図書館で借りてきた本は、以前読んでいる、ダニエル・ヤーギン著「石油の世紀」下巻です。
夜の食事で、大きなニュースがあったので7時からのニュースを10分間だけ見てから、
BS朝日で放送されていたYOSAKOIソーラン祭り、ファイナル
(大通公園西8丁目ソーランイリュージョン会場より生放送)を見ました。
昨年も放送されていたこの番組は、本当にレベルの高い演技が堪能できブログ内で放送の紹介をできなかったのが残念です。
5連覇がかかった、新琴似天舞龍神(北海道札幌市)と、永遠のライバル?平岸天神(北海道札幌市)との争いは昨年に続きアマチュアの域を越えた高いレベルでの争いでした。
今年は、平岸天神の華やかさに軍配はあがりました。
私の目でも色彩と躍動の点で平岸天神の方に感動を覚えました。
和の美しさを演出した新琴似天舞龍神の演技にも艶があり来年の巻き返しが今から楽しみです。
来年からは、地上波の全国放送だと良いのですが。
誰が見ても感動できる内容ですし、短時間ながらも1つの演技の中に見える、多くの情報量は大画面デジタルに相応しいものです。
演技、意匠、演出、小道具、楽器、構成。
すべてに繊細で緻密な舞台計画を感じることのできる各団体の練習量や団体としての団結力。
「今日が終われば、明日から来年のための準備が始まる。この人達にとって退屈なんて言葉は無いだろうね。」
家族の言葉です。
次にスピード社の水着について。
世界新記録を量産することで話題の、イギリス/スピード社製の高速水着「レーザー・レーサー」を試着した選手が、日本新記録を連発する映像は多くの方々の目に驚きとして映ったことでしょう。
そして今日、男子200メートル平泳ぎで、北島康介選手が、2分7秒51の世界新記録をマーク。
この記録は、ハンセン選手の持つ世界記録を0秒99更新(約1秒)。
北島選手が、世界記録を出すのは、2003年の世界選手権以来5年ぶりとのことです。
北島選手もまた、イギリスのスピード社の水着を着用していました。
スピード社の水着→http://www.speedo.jp/lzr_racer_about.html
しかし、ちょっと残念に感じることもあります。
たぶん、スピード社の水着を着用した記録は、これまでの記録を全て否定する結果を生み出すでしょう。
個人の能力ではなく、水着の機能が記録を作る。
進化を否定することは愚問かも知れませんが、女性スイマーの談話として、LRを着用するのに3人がかりで25分もかかるそうで、身体を強く締め付けることで水の抵抗を極力軽減し、これまでの常識を覆す水着の革命であることは明らかなようです。
この水着を日本が採用するかしないかは、選手の判断に委ねるべきと考えますが、できれば国際水泳連盟で、今回のオリンピックの公平性を保つためにスピード社の水着着用を禁止してくれたほうが、見る側としては世界記録の更新への期待感が高まります。
せっかく良い記録を出しても「水着のおかげ。」じゃ選手の喜びも半減するような気がします。
あるレースを見ていたら、「1~4位が世界記録。」って絵は、個人的には見たくないような気がします。
でも、記録は破られるためにある。
仕方がないのでしょうね。
日本の水着メーカーは、選手に高いストレスを与える締め付けを想定しての水着作りを念頭に置かなかったことが敗因なのでしょうか?
ちなみにスピード社の水着は、1日70着程度しか生産できない高性能なもので、一般のスイマーの手に入ることは、極めて困難な希少品だそうです。
本来は、北島選手の世界記録と言う明るい話題が今日のトップニュースのはずなのに、今日の最期の話題は、痛ましく憎むべき事件。
秋葉原通り魔事件は、今日の昼すぎ歩行者天国でにぎわう東京・秋葉原で起きた事件です。
男が通行人を、レンタルした2t トラックではねたあと、次々にサバイバルナイフで刺して男女7人が死亡、10人が負傷しました。
犯人の加藤智大容疑者は、青森県出身で静岡県に住居を持つ25歳の男性で、殺人未遂(逮捕時)の疑いで逮捕されました。
「世の中が嫌になり、人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった。」
と供述しているようです。
加藤容疑者は、静岡県裾野市にあるマンションの3階で1人暮らしをしており、部屋は東京都内の人材派遣会社が借り上げ契約しているらしく、静岡県内の自動車部品工場に派遣され働いているとの情報が入っています。
またか。
と思わせる事件が、楽しいはずの日曜日の繁華街で起きました。
色々な憶測はできますが、こうした事件を精神障害で片付けようとする姿勢に先んじて釘をさすべきでしょう。
1999年下関で起きた無差別殺傷事件との手口の類似点から、明らかに計画的な行動と判断しても良いのではないかと考えられますし、連動する模倣犯罪のひとつではないかと思います。
この事件では、5人が死亡し、10人が重軽傷を負っています。
こうした、意志を持った殺傷行動を断じて許してはならないと感じます。
この事件は、直接の被害者ではない私達にとっては記憶の通過点ですが、被害にあわれた方々や、その家族にとっては、生活の変更を意味し、それを生涯にわたって辛い重石として背負わなくてはならないのです。
そのことは同時に、来年以後の新しい裁判員制度の中でも議論される課題として、私達にも判断を委ねられる事実を、今の内から受け止めなければなりません。
通り魔事件は、偶発的なものではなく意志を持った個人行動であり、それはテロの行為となんだ変わりはないと考えます。
<6月9日:追記/通り魔事件の資料>
*類似事件と関連性
1999年9月8日、
池袋通り魔殺人事件:包丁と金槌で通行人を襲い、女性2人が死亡。
(犯行当時23歳)
1999年9月29日、
下関市通り魔殺人事件:JR下関駅で、車で突っ込んだ男に刺されるなどし5人が死亡、10人が重軽傷。
(犯行当時35歳)
2005年4月2日、
仙台アーケード街トラック暴走事件:仙台市青葉区の商店街にトラックが暴走し、3名が死亡、4名が重軽傷。
(犯行当時41歳)
2008年3月23日、
土浦市通り魔事件:土浦駅で男女8人が男に包丁で刺され、1人が死亡、7人が重軽傷。
(犯行当時24歳)
2008年6月 8日、
秋葉原通り魔事件:歩行者天国にトラックで突っ込みナイフで無差別殺傷。7人が死亡、10人が重軽傷。
(犯行当時25歳)
*2008年6月8日/秋葉原通り魔事件、
犯行日の携帯サイトへの書き込み。
タイトル「秋葉原で人を殺します」
<8日>
時間:書き込み内容
05:21 車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います。
みんなさようなら。
05:21 ねむい。
05:34 頭痛が治らなかった。
05:35 しかも、予報が雨。最悪。
05:44 途中で捕まるのが、一番しょぼいパターンかな。
06:00 俺が騙されてるんじゃない。俺が騙してるのか。
06:02 いい人を演じるのには慣れてる。みんな簡単に騙される。
06:03 大人には評判の良い子だった。大人には。
06:03 友達は、できないよね。
06:04 ほんの数人、こんな俺に長いことつきあってくれてた奴らがいる。
06:05 全員一斉送信でメールをくれる。
そのメンバーの中にまだ入っていることが、少し嬉しかった。
06:10 使う予定の道路が封鎖中とか。やっぱり、全てが俺の邪魔をする。
06:31 時間だ 出かけよう。
06:39 頭痛との闘いになりそうだ。
06:49 雨とも。
06:50 時間とも。
07:12 1本早い電車に乗れてしまった。
07:24 30分余ってるぜ。
07:30 これは酷い雨。全部完璧に準備したのに。
07:47 まあいいや。規模が小さくても、雨天決行。
09:41 晴れればいいな。
09:48 神奈川入って休憩。いまのとこ順調かな。
10:53 酷い渋滞。時間までに着くかしら。
11:07 渋谷ひどい。
11:17 こっちは晴れてるね。
11:45 秋葉原ついた。
11:45 今日は歩行者天国の日だよね?
12:10 時間です。
<7日>
06:43 今日は電車がとまりませんように。
08:03 今日は秋葉原、お金をつくりに行く。
09:14 隣の椅子が開いてるのに座らなかった女の人が、2つ隣が開いたら座った。さすが嫌われ者の俺だ。
09:19 そういうことされると、殺したくなる。
10:45 秋葉原ついた。
11:41 定価より高く売れるソフトもあった
13:14 レンタカーに空きがなかった、トラックじゃ仕方ないかも。
13:16 車が無いとお話にならないんだが。
13:33 どーせ俺なんて、中年になっても6畳1間のボロアパートで1人暮らしでしょう。工場で派遣のアルバイトで月に12万稼いで、家賃を払い残った金でワンカップの日本酒を買い、休日に飲んだくれるのが唯一の楽しみの染みったれたオヤジになるでしょう。
13:42「準備をきちんとしていれば、高い山も登れます。あなたに必要なのは、最初の一歩を出す勇気です。」一見いいこと書いてるみたいだけど 必要なのは勇気じゃなくて準備じゃないのかしら。
13:43 さあ帰ろう、電車に乗るのもこれが最後だ。
13:50 直接行ってみよう、大きいのが無かったら普通のでいいや。できれば4tが良かったんだけど。
15:35 大きい車を借りるにはクレジットカードが要るようです。どうせ俺は社会的信用無しですよ。
16:01 小さいころから「いい子」を演じさせられてたし、騙(だま)すのには慣れてる。悪いね、店員さん。
16:03 無事借りれた。準備完了だ。
18:02 頭痛が痛い。
19:11 無事帰れた。
19:33 明日は運転するんだから、お酒は控えめに。
19:36 「死ぬ気になればなんでもできるだろ、」。死ぬ気にならなくてもなんでもできちゃう人のセリフですね。
20:34 もっと高揚するかと思ったら、意外に冷静な自分にびっくりしてる。
20:53 体調が悪いのが気がかり。
20:53 中止はしない、したくない。
<6日>
01:32 まだ始まってないけど、終わりでいいや。
01:44 あ、住所不定無職になったのか。ますます絶望的だ。
02:48 やりたいこと…殺人。
夢…ワイドショー独占。
02:54 工場で大暴れした。被害が、人とか商品じゃなくてよかったね 。
02:55 それでも、人が足りないから来いと電話がくる。俺(おれ)が必要だから、じゃなくて、人が足りないから。誰が行くかよ 。
02:55 誰でもできる簡単な仕事だよ 。
03:00 別の派遣でどっかの工場に行ったって、半年もすればまたこうなるのは明らか。
03:04 彼女がいない。それが全ての元凶。
03:07 仕事に行けっていうなら行ってやる。流れてくる商品全部破壊してやる。
03:09 彼女がいれば、仕事を辞めることも、車を無くすことも、夜逃げすることも、携帯依存になることもなかった。
03:10 で、また俺は人のせいにしてると言われるのか。
03:10 いつも悪いのは、全部俺。
05:04 出勤時間になると目がさめてしまう。もう行かないんだから寝かせてくれ。
06:41 とりあえず出発しよう。
07:06 飛び込み自殺で東海道線がとまりました。何もかもが私の邪魔をしています。
08:10 三島まで出れた。
08:15 0826のこだまに乗れる、名古屋に1016着予定で、乗り換え5分でひかりに。
09:46 こっちまで電車で来たのは、トヨタの期間工に応募して落ちたとき以来だ
10:35 米原で乗り換えだ。
10:37 長良川超えた、堤防でいちゃついてるカップル。流されて死ねばいいのに 。
11:01 福井に向かってみる。
11:14 通販だと遅いから福井まででてきた。
13:09 買い物終了。たったこれだけのために往復2万とか、バカじゃないですよ。
14:39 店員さん、いい人だった。
14:42 人間と話すのって、いいね。
17:59 三島ついた。
20:30 うん、長旅だった。
20:49 ナイフを5本買ってきました。
20:51 とりあえず、投げてみよう。
21:02 こんなもんか。
<5日>
06:17 作業場行ったらツナギがなかった。辞めろってか、わかったよ。
06:19 鮮やかに帰宅、やってらんね。
07:00 ツナギ発見したってメールきた、隠してたんだろが。
07:32 やっぱり悪いのは俺だけなんだよね。こうやって邪魔者を排除するわけですね。
08:48 スローイングナイフを通販してみる。殺人ドールですよ。
10:44 明日福井に行ってくる。
11:06 往復2万か、まあいいや。
11:51 犯罪者予備軍って、日本にはたくさん居る気がする
12:02 ちょっとしたきっかけで犯罪者になったり、犯罪を思いとどまったり、やっぱり人って大事だと思う。
12:04 人と関わりすぎると怨恨で殺すし、孤独だと無差別に殺すし 難しいね。
12:05 「誰でもよかった」 なんかわかる気がする。
12:32 東京の道路って面倒くさい
12:33 トラックで行くのは無謀かもしれん。
<4日>
00:53 一人で寝る寂しさは、お前らにはわからないだろうな。
00:55 勝ち組はみんな死んでしまえ。
00:55 そしたら、日本には俺しか残らないか。
00:58 俺が何か事件を起こしたら、みんな「まさかあいつが、」って言うんだろ。「いつかやると思ってた。」 そんなコメントする奴がいたら、そいつは理解者だったかもしれない。
05:51 親が書いた作文で賞を取り、親が書いた絵で賞を取り、親に無理やり勉強させられてたから勉強は完璧。
05:52 親が周りに自分の息子を自慢したいから、完璧に仕上げたわけだ。
05:53 中学生になった頃には、親の力が足りなくなって、捨てられた。
05:55 中学では小学校の「貯金」だけでトップを取り続けた。中学から始まった英語が極端に悪かったけど、他の科目で十分カバーできてたし。
05:57 当然、県内トップの進学校に入って、あとはずっとビリ。高校出てから8年、負けっ放しの人生。
05:58 自分で頑張った奴に勝てるわけない。
15:52 味方は一人もいない
15:53 この先も現れない 一生無視される 不細工だもの
17:07 土浦の何人か刺した奴を思い出した
20:06 8時6分 友達ほしい
20:07 でもできない なんでかな
20:08 不細工だから 終了
<6月22日追記>
警視庁万世橋署捜査本部は、20日、加藤容疑者の供述内容(動機)を発表した。
「人生のうっぷんのようなものが出てきてしまい、(世の中が)嫌になって事件を起こした。」
「現実の世界で嫌なことがあっても言うことができず、そこから逃げてネットの世界にのめり込んでいった。」
「現実の世界でも、ネットの世界でも、(誰も相手にされることがなく)孤独になった。」
「ネットの世界の人間に、自分の存在を気づかせてやろうと思ったが、無視される状態だった。」
「(自分の存在を知ってもらうために、)どうせやるなら大きな事件を起こしてやろうと考えた。」
「たくさんの人を殺そうと考え、歩行者天国を狙った。」
また、犯行直前に携帯電話サイトの掲示板に犯行を予告をしていることで、
「(有言実行の意識から、)もう引き下がれないと感じた。」と供述している。
<JR下関駅の無差別殺傷事件。>
上部被告の死刑確定:最高裁
山口県下関市のJR下関駅で1999年9月に起きた、5人を殺害、10人に重軽傷を負わせた事件で、殺人罪などに問われた元運送業、上部康明被告の上告審判決で最高裁第2小法廷は、被告の上告を棄却した。
これで、2008年7月11日、死刑が確定することになった。
事件発生から約9年の歳月が過ぎている。
犯行の動機について裁判長は、
「将来に失望して自暴自棄になり、自殺を考えたが、自分をそのような状況に陥れたのは社会や両親であるとして、衝撃を与えるため多数を道連れにする無差別大量殺人を企てた」と指摘。
その上で、
「通り魔的な大量殺人事件として社会に与えた衝撃は大きく、死刑を是認せざるを得ない」とした。
9年間もの長期化の要因は、公判で犯行時の責任能力の有無が最大の争点となり、1、2審で計3回の精神鑑定が行われたことだ。
1審の2つの鑑定は、
「心神耗弱状態だった」。
「著しい障害は見られない」と対立。
鑑定の難しさを浮き彫りにした。
この事件は、2008年6月に発生した秋葉原の事件と酷似する。
犯人がレンタカーで突っ込み、無差別に刃物で殺傷する犯行の手口に、下関事件の被害者は、「いち早く刑が確定していれば、秋葉原事件を未然に防げたのかもしれない。」と悔やんだ。
2件の事件では、凶器が、車と刃物に分かれているために、同じ被害者でありながら、自動車自賠責保険と、犯罪被害者給付金とで補償に格差が生じる。
下関事件を契機として給付金を自賠責並みに引き上げる法改正が実現したが、施行日は今年7月1日。
秋葉原の被害者には適用されない。
◇復讐心転化と親との確執、2件の事件の背景。
上部被告は仕事や人間関係での挫折から不満を募らせ無差別殺人に向かった。
事件の手口だけでなく、置かれていた状況も、秋葉原17人殺傷事件の加藤智大容疑者とほぼ共通している。
人間関係が苦手で、周囲から評価されないとの思いが復讐心に転化している点も同様で、親との確執も共通要素だ。
家庭に恵まれ学校の成績も良かった過去の栄光と、現状との落差が事件の根底にある。
大きなことができると顕示し、注目を集めたいという思いが犯罪に向かわせている。
2人とも周囲に相談する人がおらず、家族も心理的に遠い存在で人間関係が歯止めにならなかった。
現在は、核家族化や地域社会の崩壊で「孤立」した人間が増え、会社の社会福祉的機能も失われている。
こうした環境が背景の可能性があり、社会全体で考えていくべき問題だ。
秋葉原事件の後、同様の犯行予告が相次いだ。
下関事件のころは異常と見られていたものが、今回は親近感に近いものを感じる若い人たちがいる。
非正規雇用の増加など社会の不安定さが、現状への不満につながっているのではないか。
< 作田明(聖学院大客員教授、犯罪心理学)談 >