mimi-fuku通信

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【国宝:阿修羅像】 ~展覧会記録を塗り替えた仏とNHKの番組。

2009-11-08 21:43:00 | 美術・芸術・創造


 ハイビジョン特集:再放送
 「阿修羅:天平の謎を追う」
 
 放送局:NHK-BShi(ハイビジョン) 
 放送日:2009年11月9日(月) 
 時間  :午前9時~午前10時30分

 <mimifukuから、一言。>

 今回紹介する番組は既にNHK-BSハイビジョンで2度放送され、
 
NHK総合でもワンダー×ワンダーでダイジェスト版が放送されている。
 美術品としての<国宝:阿修羅像(奈良興福寺蔵)>について、
 この記事で触れるつもりはない。

 注目すべきは、
 2009年の6月~9月にかけ展覧された『国宝:阿修羅展』に詰め掛けた人々
 東京会場で約90万人、福岡会場で約70万人の計160万人を集めた事実。
 それは当然全国からひとつの仏像を目当てに一箇所に集まった事実。

 1997年。
 東京国立博物館で今回とは違った<興福寺展>が開催されている。
 阿修羅像は来なかったものの8部衆立像2体を含め、
 国宝17種:30点余りが出品された豪華で贅沢な展覧会だったのだが、
 比較的ゆったりとした雰囲気の中で観ることができたと記憶している。

 1300年も前の仏師が造成したと考えられる一体の仏像。
 脱活乾湿:彩色で造られた緻密な表現
 また、
 三面六臂の複雑な造形を破綻のない構成で仕上げたデザイン性
 しかしそれが阿修羅像の人気の本質だとしたら、
 もっと優れた技術力を示す像を指摘することもできる。

 阿修羅像に観る、
 リアルな人間性とは裏腹なデフォルメされた身体表現
 細く長い手足は、
 宮崎駿監督の大ヒット映画『千と千尋の神隠し』の、
 主人公:荻野千尋(少女)の身体表現を髣髴させる。
 ~阿修羅像が持つ少年と少女の二面性を指摘できる。

 先日NHKハイビジョンで放送された、
 「巨匠達の肖像:運慶」の番組中に紹介された運慶の代表作、
 『国宝:八大童子立像』の内、<制多伽童子>と<恵光童子>
 
*2003~4年に東京、名古屋、京都等で開催された『空海と高野山展』で展観。

 日本の仏像表現の中でも屈指の傑作とされる、
 <制多伽童子>と<恵光童子>と<阿修羅像>との
共通点。
 少年のような表情を持つ3体の像は、いずれも端整で現代的
 奈良時代や鎌倉時代の他の仏像のような神々しさとは違う少年の面持ちは、
 おそらく日本人の手による日本人の表現と多くの鑑賞者は感じるのだろう。
 
*阿修羅像の時代=渡来人の指導や手による仏像の可能性は否定できない。

 話を元に戻そう。
 阿修羅像が奈良の地を離れ東京や福岡に、
 「出開帳(でかいちょう)」に赴き多くの人を魅了する事実。
 阿修羅像を見るために数万円もかけ他府県から移動し宿泊する事実。
 その経済効果たるや如何程のものだろうか?

 法隆寺の名宝:夢違観音(幼児性の表現)が法隆寺の金銭的な窮地から、
 元禄時代に江戸の地を旅(出開帳)したとの話を聞いたことがある。

 平成に生きる人達が何を欲して阿修羅像や仏像を訪ね歩くのか?
 また、
 物質とは違う精神文化や信仰心を求める事に支払いを躊躇わない事実。
 <知の冒険>が物質とは違った経済効果を生み出す事実。

 この国の将来を占うヒントが、
 国宝:阿修羅像に隠されているよな気がする。 


 <ブログ内:関連記事>
 *ハイビジョン特集:【にっぽん心の仏像】
  → http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/1689cf1542f1a1e0803214f03e13bfba


 ~以下、NHKホームページより記事転載。
 
 3つの顔と6本の腕を持ち“天平の美少年”と呼ばれる国宝仏:阿修羅。
 史上初めて360度あらゆる角度から阿修羅を撮影した映像で、
 謎めいた3つの表情の秘密を解き明かす。
 1300年前に阿修羅がいた壮大な空間もコンピューターグラフィックスで再現。
 さらに、
 天平彫刻の幻の技法、実物大の阿修羅を作り上げる5か月のドキュメントも。
 魅惑の仏像・阿修羅のすべてを明らかにする。

 ~以下、朝日新聞Web記事転載。

 *東京・上野公園の東京国立博物館で開催(2009年:3月31日~6月7日)された
 『国宝:阿修羅展』(朝日新聞社など主催)の総来場者は約94万6000人。
 同館でこれまで80万人を超えたのは、
 約150万人を動員した「モナ・リザ展」(1974年)。
 約129万人の「ツタンカーメン展」(65年)に次ぐ、
 歴代3位の記録となった。
 また、
 2008年の「国宝:薬師寺展」(約79万人)を抜き、
 同館での日本美術の展覧会として史上最多記録を更新した。
 2005年の「唐招提寺展」が約40万人。
 2006年の「仏像」展が約34万人。
 近年、東京国立博物館で開かれた仏像を中心とする展覧会は、
 いずれも盛況だった。

 *九州国立博物館で開催(7月14日~9月27日)された、
 奈良・興福寺創建1300年記念/特別展『国宝:阿修羅展』」の、
 総入場者数は最終的には71万138人。
 九州で開催された展覧会動員数としては新記録となった。

 

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