2008年10月23~24日の株価の動きは、これまでとは違っていた。
『日米の株価:史上最大の上昇率。 ~2008年10月14日。』(下記URL参照)
の記事以後の動きは、荒っぽい流れの中で大きな動きこそあったものの、基本的には調整局面と見ていた。
東京株式市場における株価の動きは、アメリカ(NY株式市場)の動きに同調するかのように上下し、8500円~9500円の間(8500㌦~9500㌦)に終値がくれば、取引中の一時的な大きな動きは、気に留めなくてよい値の中で取引が行われていたように思う。
10月16日に過去2番目の大幅な下落率を記録したものの、その2日前に過去最大の上昇率を記録していただけに、終値が8458円と想定内であったため大きな動揺を感じることはなかったし、一時的な時間内乱高下の幅の大きさは、電子取引が一般社会に普及した後、最初の株式史上での大混乱のために、過去のデータと比較すること事態に無理があるのかな?とも感じていた。
それよりも、あまりにアメリカの株価の動きと同調するため、株価の動きを支配しているのは海外投資家で、資金確保のための<見切売り>が、すべての価格(株価:相場)に連動して起きているのだろうと考えられた。
そもそも世界が同調しての金融機関の保護を確定(G7合意=行動計画の表明)したことで、リスクの多い株式投資よりも確定利率(各国の公定歩合)が少なくても、資産を減らす不安のない預金への資金のシフトは予測できたことで、個人投資家の多くが資産確保(不安→安心へのシフト)に奔走した2週間だったと思う。
情報(メディア)が、金融危機から実体経済の下降に目を変えたことで、企業収益の見込めない株式投資から一時撤退して、政府に保護される金融商品に買い換えることは、投資家にとって賢明な手段なのかも知れない。(その後、状況を見ながら下げ止まりを見極め、手放した株を買い戻す。)
今後、金融機関保護のための財政投資を行う欧米諸国の政策金利の引き下げは明白な事実と考えられるが、それまでの期間、金利幅のある預金に不安定資産をシフトすることは安全策と考えられ、株価が徐々に下落傾向に進むのは仕方のないことと感じていた。
ただし、昨日、今日(23~24日)の動きはこれまでとは違っていた。
アメリカの株価が持ち直しているのに日本の株価が急落したのだ。
これは、報道の通り急激な円高を嫌った国内投資家の動きが顕著と思われ、世界的な金融危機の中で日本に対する評価が高まったことが裏目に出てしまったことを表す。
国内需要に見切りをつけて、海外市場にばかりに気を取られていた日本企業への厳しい目が、一般投資家に嫌われた結果だろう。
ただし、これまで好調をキープし続けた日本企業は、アメリカ企業の著しい衰退と比較すれば体力が残されており、また円高が進もうとも高品質・高燃費・環境保全の商品開発力は、まだまだ他国の追随を許さず、安価ラインで攻める他のアジア諸国とも違ったコンセプトを持って高い収益性を出せるブランド力(多少高価でも欲しいと思わせる製品)を身に付けて行けば、この円高も驚異になるまい。
今回の世界の混乱の中で、僅か3ヶ月前の洞爺湖サミット時の、
<インフレ懸念が、一時的ではあるにせよ払拭>できそうなことは、体力を低下させた国内産業に涼風をもたらし、本来なら株価が上がるべき企業も多くあるはずで、報道機関は、そうしたプラス要因にも目を向け、国内に蔓延する陰気なイメージを取り払うことに努力すべきだと考える。
当面は、国内消費の推進(内需拡大)に向けてのイメージづくりが肝要で、インフレ懸念が解消されると考えられる、あらゆる好材料を探し出し紹介することも情報伝達媒体すべてにとって課せられた使命と感じる。
また、原油高のために体力を落とし大きな損益を出した業界も、今後暫くは原油価格が低めで推移する中、廉価競争にばかり目を向けるのではなく、価格の維持と労働者の賃金確保に奔走すべきで、そのためにも各種業界の先頭を走る企業は、収益と価格のバランスをしっかりと見直すべき機会だとも感じる。
すべての事柄のプラスにはマイナスがある。
すべての事態には、明と暗がある。
プラス要因を作り出すのは、場当たり的な対策ではなく、臨機応変に対応できる企業体質と、未来を見据えた商品開発に他ならない。
幸い、今日の段階での日本は、世界の中での脅威指数は低いと考えられる。
<関連記事へのリンク。>
*日米の株価:史上最大の上昇率。 ~2008年10月14日。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/4c922bb11d9dec63c957b5b181c84467
*株価の暴落と欧州の混乱。 ~2008年10月/第2週。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/27ecb245dc19af302d67da71209289a1
*記録的な株価の乱高下 ~2008年10月(第5週の動き)。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/b696393a261d313646c4cc0742ad7f9f
【 2008年10月22日 ~24日の推移。】
日時 日本株 アメリカ株 円⇔ドル 円⇔ユーロ 原油価格
10月22日 8693円台 8519㌦台 99円台 127円台 67㌦台
10月23日 8460円台 8691㌦台 97円台 125円台
10月24日 7649円台 8378㌦台 95円台 120円台 64㌦台
9月16日 11609円台 10860㌦台? 103円台 147円台
~リーマン・ブラザースの破綻適用の翌日。
【 資料:2001年以後の高値/安値。 】
<日経平均株価>
↑最高値:2007年 2月26日→18,300円39銭
↓最安値:2003年 4月28日→ 7,603円76銭
<ダウ工業株30種平均>
↑最高値:2007年10月 9日→14,164ドル53セント
<米国産標準:原油価格(WTI)>
↑最高値:2008年 7月11日→1バレル147ドル台。
↓最安値:2001年11月15日→1バレル 16ドル台。
<円高:過去の史上最高値>
↑最高値:1995年4月19日→79円75銭
~以下、日本経済新聞 :Web記事編集転載。
<東京株式市場>
*16日の東京株式市場で日経平均株価は、急反落した。
大引けは前日比1089円2銭(11・4%)安の8458円45銭だった。
下落率は、1987年10月20日(14・9%)に起きた、ブラックマンデーに次ぐ歴代2位の大きさ。
*22日の東京株式市場で日経平均株価が、4営業日ぶりに反落。
終値は、前日比631円56銭(6.79%)安の8674円69銭。
*23日の東京株式市場で日経平均株価は続落。
終値は、前日比213円71銭(2・466%)安の8460円98銭。
*24日の東京株式市場で日経平均株価が、バブル崩壊後の最安値寸前まで急落。
終値は、前日比811円90銭(9・60%)安の7649円08銭。
<ニューヨーク株式市場>
*22日のニューヨーク株式市場の、ダウ工業株30種平均は、前日終値比514・45ドル安の8519・21ドルまで下落して取引を終えた。
*23日のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均は、3営業日ぶりに反発し、前日比172ドル4セント高の、86911ドル25セントで取引を終えた。
前日までの2日間で、約750ドル近く下げていた反動もあり、取引終了にかけて割安感からの買いが優勢になった。
*24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は急反落。
前日比312ドル30セント安の、8378ドル95セントと2003年4月25日以来の安値で週を終えた。
前日の日本株やアジア株の下落を嫌っての取引。
<米国産標準油種(WTI)>
*22日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、世界的な景気悪化懸念などを背景に急落。
米国産標準油種(WTI)の12月渡しの終値は、1バレル=66・75ドルと今年7月のピーク時の半値以下となった。
*24日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は急反落。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の12月:先物は、前日比3・69ドル安の1バレル64・15ドルで取引を終えた。
原油先物は、一時62・65ドルまで下げ、2007年5月末以来、約1年5カ月ぶりの安値を付けた。