テレビとパンティマン

1007小さな寝息

 
米国の統治下、勿論、保険制度もなく手術や渡航滞在費等、細々と暮らす一家にとって、とてつもない費用。
遊び疲れたのだろうか、妹は膝に抱かれ小さな寝息、ランプの薄灯かりに映し出される、疲れ切った父の横顔は、藁をもつかむ眼差し。
普段ですら無口な父は、更に無口になって行きました。
11歳の多感なひかる少年は、この大きな試練に家族が押しつぶされるのではないか、と不安に成り子供心にも明るく振る舞う。
無邪気な妹の遊び相手をするよう、心掛けたのでした。
そのうち小児マヒが伝染病でない事が分かり、明るさを取り戻して行ったのです。
9年後の昭和38年、ひかるは高校卒業と同時に東京へ出、魔法の箱、テレビを解明しようと決心。
経済的、精神的にもまだ暗いトンネルの中、上京は誰が考えても無理な相談。
心の内を父に相談すると「自分の思った通りやればいい・・」と一言。
しかし周りは大反対、年老いた両親と足の悪い妹を島に残し、なんで東京に出るんだ!
せめて沖縄本島位にしたらどうだ・・
無口な父は、ただ黙っているだけ・・
人間は一度不幸のどん底に落ちると後がなく、怖いものが無くなるのだろうか・・
これから先一家は離散、それぞれの幸せをコツコツと築き上げて行ったのです。

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