31年前、村上春樹が38歳の時に書いた作品。かの有名な「ノルウェーの森」をやっと読んだ。
どんなに有名でも名作でも読んでいない本の方が圧倒的に多いので、いつ読んでも今更と言うこともない。
ただ、全く予備知識がなかった。
少なくともノルウェーでの出来事を綴った物語だと思ってたのに。
ビートルズの楽曲だったとは。
と言っても私はビートルズをあまり知らない。ストーンズは大好きだったけど。
だからどんな曲だったっけなぁ、と思いながら読んだ。
読み終わって聞いてみると、ああこれがノルウェーの森か。なるほど作品とピタッとくる。と感じた。
中身は、こじらせまくった人たちが複雑な思いと複雑な人間関係で日常を過ごすと言うものだ。
ただただおしゃれな文章と言い回し。素敵だ、と素直に思う。
本を読みながら勝手にキャストを考えるのはよくあることだ。
しかし松山ケンイチだったとは。
岩井俊二みたいな人だといいな。でも彼は俳優ではなく映画監督だ。
優しく寛容な主人公は常に流れに身を任せ、全てを受け入れる。
浮遊する生活に浸水し始めた翳り。やがてはい出すことのできない沼の底に沈められていく。
女性との関係においては、どうせそうなるんだろ、と言う展開ばかりで単純なものだ。
背景にある学生運動。幼かった私は母は「ゲバ棒買ってー」とねだったそうだ。
寮の風景、呼び出し電話。レトロでもあり想像もつく。
どれだけのセールスだったかと言うと、2008年時点で上巻が238万部、下巻が211万部の計449万部。
ここで特筆すべきは、27万人が上巻だけしか読んでないと言う想像だ。なんで?飽きた?
考察の糸口なんていくらでもあるがどうでもいい。
文庫化と増刷で結果的に1000万部を超えてベストセラーになった頃、私はこの小説になんの興味も持たなかった。
全く別の方向から同じ話をしよう。
先日、大阪はあべので人々の長蛇の列を見た。
一体これはなんのイベントなんだ?
列を観察する限りビジュアル系でもアイドル系でもなさそうだ。
調べてみると・・・
愛について/超ラッキー⭐︎ magical2
・・・・・・・
全くわからない。
こんなに多くの人を動員する事について、私は全く知識も意識もない。やばい。
ワード検索でひっかかった人、ごめん。
村上さんの本はよく売れていますが、内容は結構、マイノリティーだと思うんです。
世の中の大勢に動かされる人々の憧れなのかな?
ベストセラー=一般受け=マジョリティ
多数派が少数派に憧れる。
確かに「売れ筋」って、多くに受ける個性なんですよね。腑に落ちました。
草間彌生さんのアートや、ヒグチユウコさんのイラストもそう言う香りがします。