『我が偽りの名の下へ集え、星々』紹介ブログ

カクヨム掲載中、ファミ通文庫より発売予定のライトノベル『我が偽り名の下へ集え、星々』の紹介ブログです。

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汎銀河帝国 その1

2017-05-10 | 設定:歴史
汎銀河帝国は帝国を名乗るにしては、勇ましい英雄も居なければ、ドラマチックな建国伝説も無い、不思議な国家である。
汎銀河帝国の建国者はチェーザレ・バイロン一世とされているが、これは後年の権威付けであり、本人にはその意思がなかったのは明らかである。
チェーザレ一世は緩やかに衰退していく人類社会に、なんら有効な手段を打てない銀河共同体評議会に業を煮やし、事実上の無血クーデターで権力を掌握した。改革に乗り出したチェーザレ一世だがわずか二年後には急逝。チェーザレ一世のカリスマ性と市民からの人気に支えられていた臨時改革委員会は、当時18歳だった息子チェーザレ二世を実権の無い特別代表に据えた。これはあくまで広告塔としての起用であった。
チェーザレ二世は父と違って政治的センスは皆無であったが、容姿端麗で弁舌も巧みで、なによりを人を引きつける魅力に溢れていた。自らの政治的センスがない事も悟っていたチェーザレ二世は、広告塔としての役割を着実にこなした。しかし一つ想定外の事が起きてしまった。チェーザレ二世はずば抜けた長寿であり、実に120歳まで生きたのだ。特別代表として銀河系各地を回る事108年間。死の間際まで精力的に各地を周り、臨時改革委員会とその後身銀河市民議会への支持を訴えた。だが一般市民にとっては頻繁に代わる改革委員会や市民議会議員よりも、チェーザレ二世の方に親しみがあった。そして何より「チェーザレ」という名は「シーザー」即ち「皇帝」を意味する。初めは冗談半分であっても、108年の間にいつしかチェーザレ二世を本物の皇帝と思い込む市民も現れ始めた。
120年の生涯を閉じたチェーザレ二世だったが、死後新たな問題が浮上した。チェーザレ二世は大層な猟色家だったのだ。18歳の時にはすでに数人の隠し子がいたといわれ、亡くなった時、彼の子供、孫とされる人間は実に三桁に及んだ。
その一方で法的な配偶者はおらず、当然のように後継者問題が浮上した。もっともこの時点でのバイロン家は皇帝では無い。後継者にもチェーザレ一世、二世のような地位が与えられるとは限らない。財産はそれなりにあったものの、あくまで一般市民の後継者争いに過ぎなかった。それに介入した男がいた。
後に「帝国の設計者」と呼ばれるクラウス・リンツである。クラウスはチェーザレ二世が特別代表を務め、市民から「皇帝」と慕われていた時代が比較的平穏で平和だった事に気付いており、これに利用価値が有ると分かっていた。クラウスも緩やかに衰退していく人類社会に危惧を抱いており、その打破には社会の安定とその上でトップダウンによる強権発動が可能な社会体制が必要と考えていたのだ。
クラウスはチェーザレ二世の孫と言われる女性アレッサンドラの後ろ盾になり、バイロン家の後継者となるよう尽力した。クラウスの援助もありバイロン家を正式に継ぐ事になったアレッサンドラは、バイロン朝汎銀河帝国第三代皇帝に即位する事を宣言したのである。
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