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Mark Barrott - Everything Changes,Nothing Ends(アルバムレビュー/感想)

2025-02-28 20:25:15 | 音楽レビュー/感想 2024
音楽レビュー/感想 2024



「これまでの人生の物語」と「これからの人生の物語」を
情感たっぷり且つ雄弁に音楽で表現している
哲学的で幽玄的で雄大で深遠でありながら
切なくて儚くて愛おしくて気高くてエモくて温かくて尊くて美しい
アンビエント/ドローン/エレクトロニック/ポストクラシカル作品



◆Mark Barrott - Everything Changes,Nothing Ends
イギリスのDJ兼プロデューサー/コンポーザーである「Mark Barrott」の新作で、
元々は闘病していた妻と病院で一日過ごした後に
寒くて暗い冬の家に独りで戻ってくる孤独を和らげるためだったり、
2023年1月25日に妻が他界して悲しみや孤独感に襲われて
自己セラピーとして作られていたという
パーソナルな作品だったようなんですが、
最終的には「Mark Barrott」が今作について
「飛行機での偶然の出会いによって結ばれた2人の人生が
90年代後半のベルリンの狂乱から北イタリア、
南米、そして最後はイビサの田舎の静けさを経て、
その後20年以上を共に過ごす物語」
と語っているように、
亡き妻との生活&闘病生活と死を振り返って
彼女へのトリビュート&レクイエムの意味合いも込めつつ
彼のこれまでとこれからの人生を描いているという
彼の人生の集大成とも言える内容になっており、
哲学的で幽玄的で雄大で深遠でありながら
人間らしくて切なくて儚くて愛おしく
あまりに尊くエモーショナルで気高く美しい…

これまでの作品と違ってテクノ色はほぼ無く、
アンビエントを軸にノイズ含む様々な電子音を駆使しつつ
ピアノにベースにドラムに弦楽器に管楽器に吹奏楽器にクワイアーなどなど
いろんな生楽器や生声を多用していて、
ジャズやクラシックや教会音楽要素なんかも聞かれるように
「Johann Johannsson」や「Olafur Arnalds」や「Max Richter」や「Sylvain Chauveau」や「Fennesz」や「Tim Hecker」や「坂本龍一さん」辺りに通じる感じがありますが、
「Mark Barrott」らしさは随所で感じられますし、
彼の人生という物語を描いているという事で
サントラ的な雰囲気もあるのですが、
今作はあくまでも音楽作品という事で
音楽だけでも酸いも甘いを噛み分けてきたであろう
彼の人生の物語を情感たっぷり且つ雄弁に表現しているので、
聞いているといろんな情景が浮かんで来て
いろんな想いが頭の中を駆け巡って
心(感情)が揺さぶられる…


そしてこの作品は最初に書いたように、
彼のこれまでの人生の物語であると同時に、
これからの人生…人生の終わりへの物語でもあるんだよね~


「物の哀れ(もののあはれ)」を知って導き出された人生の答え、
限られた時間の中で人に出来る事はたかが知れていて、
大自然の前では人はちっぽけな存在でしかなく、
遅かれ早かれ人はいつか死んでしまう。
どういう人生が幸せなのか、
どういう死を迎えるのが幸せなのかと
問いかけてくるような感じもあるし、
「生」と「死」を真正面から見つめていて、
人生とは最終的には「死の物語」であると
達観しているような雰囲気もある。

ただMark Barrottが、
「これは私の物語だが、どこかの誰かの為に喜びをもたらし、
夜を乗り切ろうと最善を尽くしている。
私達の慰めになればと願っている。光は必ず戻ってくる。」
と語っているように、
「悲しみ」から来る達観では無い…
…「死」をネガティブなものだけとは捉えていないようで、
タイトルにあるように
全てのものは存在している限りは終わることなく変わっていく訳であり
人も病気に罹ったり老いていき最終的に死んでしまうとはいえ、
思い出は消えたりしないように残るものも多くありますし、
今は暗い夜の中に居ても朝になれば太陽が昇って来るように、
悪い方に変わることだけではなく良い方に変わることもある。
そういうものが人間の尊さであり「光」なのかなと思いますし、
妻の命日をタイトルにした「January 25th」ですら
荘厳で物悲しい中に気高さや尊さを感じるように
悲しみだけでは覆われていないので、
人生の物悲しさや儚さと共に希望や慈悲を与えてくれるような
エモくて気高くて深遠で温かくて美しい作品であり、
下手な映画見るより感動出来て何かを伝えてくれる作品かと。
力作で良作で名作!


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