蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

時間が繋がり、話が終わらない

2021-03-29 | 
普通、引っ越しする場合は、前の家を引き上げて、次の住まいに移る。
わたしの親は次々と増やしていって、前の家を処分しなかった。
転々としないが、点々が増える。
だから、実家の実家、みたいな、元々の家が残存する。

祖父は、大正時代に曽祖父に祖父の実家の隣に家を建ててもらい、分家した。
その家で父は生まれた。
ついでに、わたしたちきょうだいも全員、そこで生まれ育った。
父の仕事とわたしたちの学校の都合で、就学前までは村に両足で立っていたが、片方の軸足を残しながら、村から街にもう片方の足を移した。
(その後、次第に軸足はゆっくり街にシフトしていく)

次男だった曽祖父に、曽祖父の親は、自分の家の隣に家を建て分家させたわけだが、曽祖父は、隣に曽祖父の親や長兄一家が住むという構図。
隣家が実家。
一種の細胞分裂である。
隣なので、即、里帰り出来る。
が、嫁に来たわけでもない男性は、里帰りの意味を持たない。
だから「里帰り」とは言わない。
父親や兄貴が目の前に住んでいるのも、厄介かも?
いや、そんなチマチマしたことにとらわれず、世の動きとしては、皆んなで力を合わせて生きていく時代だろう。

明治生まれの祖母は、なんと数百メートル(五百メートル未満?)の数百メートル離れたところから嫁に来た。
近すぎないか?
里帰りは、数分(五分以内)で出来る。
一日に、何度も里帰り出来る。
ただいま〜。おかえり〜。
というか、縁談、近場でマッチング、適当すぎないか?
祖母の実家では、次男は親に隣に家を建ててもらい分家した。
祖母は実家の隣に、甥っ子一家が住む家があり、その家の前を通って実家に帰った。
家父長制なので、直系だけがイエを継ぎ、長男以外は、どんどん枝分かれしていく。
その曽祖父の建てた家、父が晩年の祖母を新たな拠点自宅に引き取って以来、今現在は、恐ろしく維持費のかかる空き家になっている。

かたや、、、
夫の実家の場合は、先祖代々住み続けていた家は建て直されたり修復されたりし、今は、客間としての離れだけが当時のままの姿で現存している。
背が高い人なら頭を低くしないと鴨居をくぐれない。
おもてなしの場として使われていた。
最後に使われたのは、娘婿のご両親を迎えた時。
もう七年?以上も前になる。

新しく昭和4年に建てられた家に、最後は夫の祖父、祖母が住んでいた。
さらに昭和40年代後半頃に夫の父(舅)が、その棟とは別の、古い母屋を壊して新築した。
その家に、舅、姑が、二人で住んでいたが、夫の父の兄弟たち(おじ)一家、夫の父の妹(おば)一家、夫一家(わたしたち)、夫の姉一家が集う。
姑がまだバリバリ元気な頃は、冠婚葬祭の度に、遠くに出て行った義理の親戚たちが実家に家族を引き連れて宿泊した。
てんやわんやの、どっと疲れる状況。
特に、長男の嫁(姑)、次男の嫁、三男の嫁たちの間で熾烈な争い、確執も生まれていた。
わたしのポジションは、序列争いを他人事のように垣間見る、新しい次世代の嫁。
姑にはまだ上に姑がいた時代。
(姑から嫁たちに対しても好き嫌いや、えこひいきは普通にあった)
今は、実家に帰るにもホテルを利用するようになり、お互いの負担が軽減された。
姑の時代の長男の嫁は、それはそれは大変だった。
わたしの実家なら、みんなご近所、徒歩圏内なので、自分の家に泊まる。
人の往き来がない田舎なんだろう。

そもそも、宿泊しなければならないような遠隔地とは縁談が成立しなかった。
交通の便を考えてだろう。
しかし、近場で繰り返される婚姻よりも、ぽーーんと遠く離れたところからの血を取り入れるほうが遺伝子が大胆に混ざるのか、優秀な子供が生まれる率が高いように思う。
ヨーロッパ貴族や皇室なども、婚姻、血縁が近すぎ、血が濃すぎる。
(庶民の話にいきなり、なんなんですが)

そもそも、血は混じるもの。
陸続きなら、すんなり混じるだろうが、日本のように海で隔離された島国は、外からの血を取り入れにくい。
と、話は行ったり来たり。
もう話に着いてきてくれている人は、あの人と、あの人の合計二人だと推測する。

家は住まいだけでなく、喜怒哀楽、人々の暮らしが延々と詰まって継続されている。
リセットするのは断腸の想いの人もいるだろうが、スッキリ爽やか、こころ晴れ晴れ快晴の人もいることだろう。
一つ一つを丁寧に大切に思い起こすのもアリ、ブルトーザーで一気に取り崩すのもアリ。
なんでもあり。
家が現存しなくても、こころの中には残っている。
祖父、祖母、おじ、おば、いとこ、、、いろんな人々の長きにわたる、顔、顔、顔。
家を中心に取り巻いていた登場人物たちである。


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