若いときは 腕を組むのをいやがっていた
ペアのセーターだって 恥かしいと言っていた夫が
今は人ごみに迷子になってはねと ごまかしてするりと組む私の腕
解き放とうともせずにいてくれる
私よりひとまわり半違う馴染みの婦人が 今日一人になられた
十年くらい前だった
元気で留守がいいなんて思っていたけれど
今はもし 明日この人がいなくなったら・・と そう思って暮らすようになったのよ
そう思うと 今日が尽くせるから・・と
言葉が心に刺さった
尽くす相手がいなくなって 一人になられた
小柄な婦人の 身体中から溢れるような悲しみの姿をみた
この腕 離さない・・