宮崎正弘 中国も銀行倒産に備え始めた

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(中国も銀行倒産に備え始めた)

中国、銀行預金の保険制度を五月から導入
  個人、法人の預金を1000万円まで保証する新制度だが

 石炭企業の高利回り債権が出回り、案の定、その会社はデフォルト寸前に陥った。突如、「大資本家」が登場して、巨額を注入し、当該企業は倒産を免れたことがあった。
 何のことはない。
これは国有企業で共産党幹部が経営にかかわっており、メンツにかけても倒産させては困ることになるため、モラルハザード(おそらく国有銀行が救済した)となった。

 モラルハザードがある限り、国有企業は倒産することはないと言われたが、すでに中国では多くの国有企業は経営危機に陥っている。

 「銀行は潰れない」というのも神話である。
 世界的常識からいえば、銀行も民間企業である以上、倒産することはある。欧米の銀行、証券、どれほど倒産してきたこととか。日本でも多くの銀行がバブル崩壊後、倒産し再編され、エリート行員の多くが失業した。

 ところが中国では銀行も国有企業なのである。この厄介な社会主義的陥穽が、今後の中国経済が失速し始めるとき、どうなるか?

 中国の預金保証制度は、過去二十一年間も議論されてきたが、結論が出なかった。ようやく2015年3月31日に「預金保険制度」を発足させることが決まった。
五月から導入され、これにより個人、法人の銀行預金は上限1000万円までが保証される(人民元で50万元)。

裏を返していえば、中国も「銀行の倒産に備えよ」というシグナルを送っているのである。
すでに周知のように、中国の外貨準備は空っぽ、かろうじて保有する米国債権は、ドルと人民元交換の担保であり、引き上げるわけにはいかない。だから中国はいま猛烈に外国の金融機関から外貨建てでカネを借り入れている。

虎の子の米ドルが、高級幹部や国有企業の経営者等によって海外へあらかたが持ち出されたため、台所は火の車なのである。

人民元はいずれ紙くずとなるだろう

対外プロジェクトにも支払い遅延が生じはじめた。
バハマ諸島のリゾート群建設、コロンボ沖のマリーンアイランド建設も中断、そしてギリシアのピレネー港の買収が白紙となった。いずれ、ニカラグア運河も途中で資金が途絶える可能性が高い。

もうひとつ言えば、ビットコインの80%は中国人、庶民は金買いに走り、人民元を手元に置かないように心がけている。そして中産階級以上のひとたちは「人民元が高くて、しかも使える裡に」を合い言葉に海外へ押し出し、日本で耐久消費財などを買いまくる。

日本でマンション、リゾートホテルなどもまとめ買いするインセンティブは、人民元が紙くず化する懼れ、そのことを中国人は本能的に知っているのだ。

つまり換物投機である。嘗てソ連崩壊のときルーブルが紙くずとなってマルボロが通貨となったように。近年中に人民元は大暴落を演じることになるだろう。したがってAIIBなどはバブルの仇花と化すのではないのか。

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