うれしいさよなら

昼過ぎ、地元の学校の担任の先生がお見舞いに来てくれた。
いっちゃんは、緊張してあまり話せない。

時間が経つにつれて徐々に話はじめ、先生も元気な姿を見て喜んでくれている。
クラスの皆からの、お見舞いの言葉、お手紙をたくさん持って来てくれた。
いっちゃんは一枚一枚をじっくり読んでいる。
嬉しそう。

「また来るね…。」
「はい！」
先生とさよならをしたいっちゃんは、再び手紙を読んでいる。


隣のベットのななちゃんの所に先生が来て、何やら話している。
ななちゃんママの話だと、明日退院することになったという。
それを聞いたいっちゃんは、ガックリと肩を落としてしまった。

「寂しいけど、元気になったから退院できるんだから、おめでとう！って言おう　　ね。」
「…うん。」

さっきまでの元気がなくなってしまった。
気持ちはわかるけどな…。

主治医の先生が、
「いっちゃん、寂しくなっちゃうか～。いっちゃんも退院出来るからさ、頑張ろう　ね…。でも…もう少しここ（病院）にいてね～。」

いっちゃんを笑わせて、先生は戻って行った。
少し、納得したみたい？

今日は、みんなでカードゲームを思いっきり楽しんだ。
消灯時間は過ぎているけど、看護師さんは大目に見てくれた。


次の日、ななちゃんは退院して行った。
外来には頻繁に来る事になるだろうから、その時にまた顔を出してくれるという。
そして、夏祭りにも三人で会おうと、約束をした。

寂しさをこらえ、笑顔で手を振るいっちゃん。
また少し、お姉さんになった。