「惣菜」のルーツ

2005-06-23 19:46:51 | Weblog
 現在の惣菜業らしきものが出てくるのは江戸時代の初期になってからである。惣菜業の歴史が比較的浅い理由は、惣菜が加工食品であり保存食品でもあるため、しょうゆや砂糖などの調味料が普及してから成りたった商いのためと考えられる。
 惣菜業は、初め江戸(東京)や上方(大阪)の大都市に「煮売屋」として登場し、煮物や餅を大道で売ったり、天秤棒で担いで売り歩いたりしていた。また、この頃にはそばがきをうどん風に細切りした”けんどりそば切り”(現在のそば)を売る店も現れ大衆に多いに受けた。明暦の大火(1657年)の後には、「煮売屋」の座商化として料理屋が出現し、茶飯に豆腐汁、煮しめ、煮豆などを出して珍しがられた。文化大政の頃の江戸では飲食商売が繁盛し、そば、すし、かばやき、てんぷら(魚を油で揚げたもの)、田楽なども売られていた。
 食生活史の中に「総菜屋」という言葉が初めて出てくるのは明治時代に入り開国された頃である。江戸時代の煮売に加え、揚げ物、コロッケ、フライなど各種の加工食品を売る店が現われ「総菜屋」と呼ばれるようになった。