とのさま日記なるもの

思いのすべてを書きます

未練の呪縛

2020-02-14 21:23:48 | 私の詩

未練の呪縛


佐由子は
そっとドアを後ろ手に閉める
振り返ることはしない

思い出に流される気持ちはない
部屋のすみに置かれた本棚と洋服箪笥
すべてが空っぽである

押し入れの中も……
すべてを袋に詰めて捨て去ってしまった

北向の薄暗い部屋には使っていたベッドとテレビ……

まるで佐由子自体が空になってしまったようである
捨ててしまうのは簡単なことだ
佐由子の暗い過去をそれらと一緒に捨て去るのだから
もっと早くそうしていれば苦しむこともなったろう

その場から去るということに未練を持ちすぎたのかも知れない
もうその部屋には佐由子はいない

だから
そっと後ろ手にドアを閉めたのである

佐由子の心のドアが鈍い音を立てて閉まってしまった











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