メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

最近の作業…20

2018-06-21 08:53:55 | 整備
最近の作業です…


まずはFR1プロフィア …
エンジンはA09C。

エンジンチェックランプが点灯したという事で現地まで出張で見に行く事に。
お客様曰くチェックランプが点いてエンジンの吹け上がりが悪くなったらしいです…

現地に到着して…


早速確認すると…
現在点灯中。


ドライバーさんの言うようにアクセルを踏み込んでもブスブスとくすぶってしまいスムーズに吹き上がりません…

故障コードを確認すると…


EGRアクチュエータ故障…

ほぼ答えですね…笑

写真撮り忘れましたがデータ上のEGR開度はフェイルセーフの為、目標が0%なのに対し実開度は51%と開きっぱなしで固定されてました。
これではエンジンも吹けないはずです…

その後何度かキーのON、OFFを繰り返すと動いたり動かなかったり…と動作は安定しませんが完全に固着してる訳でも無さそうです。


という事でEGRアクチュエータの不良で間違いないでしょう。

通常EGRが故障と判定されるとフェイルセーフで全閉状態で固定されるので運行にはさほど影響もありませんが、今回のように開きっぱなしで固着するとエンジンの吹け上がりはすこぶる悪くなります…
また、フェイルセーフにより全閉固定されるとEGR制御によるNoxコントロールが出来なくなるのでアドブルーの消費量は一時的に多くなったりもします。
もちろん走れるからといって、そのままずっと運行する事は出来ないので早めの修理が必要ですが…


部品を問い合わせると近くの営業所に在庫もあるようなのでそのまま車をお預かりして修理する事に…
作業的には特に苦労する事はありません…




パイプごと取り外しEGRバルブを交換します。


が、しかしパイプの中は…




バルブも…


カーボンがゴテゴテに…
更にEGRクーラーのコアも…



出来る範囲で掃除はしますが…



コレですよ。笑


このカーボンがエンジンに吸われる訳です…
当然、エンジンにとって良い事は何一つありません。

EGRは本来エンジンにとっては全く必要ない機構ですからね…

環境対策の副作用として修理コストが高くなりそれをユーザーが負担する…

どう思います⁇


新品のEGRバルブASSY…
135000円です…(;´д`)



パイプ類のカーボンも出来る限りキレイにしてバルブを取り付け…





更にエンジンに組み付けて…




データを確認…
目標開度に対して実開度の追従も良好です。


という事で修理は完了。

しかし環境対策の為に車の維持管理コストは確実に上がってますね…
最近のディーゼルエンジンのトラブルはカーボンやブローバイガスを起因とするものがほとんどです…

少々話逸れますが…
つい先日、あるケミカル関係のプロフェッショナルの方とお会いする機会があり、昨今のカーボントラブルについて色々とお話をさせて頂きました…
業界としてはディーゼルエンジンのカーボントラブルに対して徹底的に原因究明やテストを繰り返し行っている趣旨、最近では良好な結果が出た事など非常に為になるお話をさせて頂いて、やはり第一線を行く方は違うなぁ…と感心しました。

その中で一つ勉強になった事…
ディーゼルエンジンに対する『エンジンオイルの成分や特性』
これが我々が思っているよりはるかに重要だという事…
DPF付き車両にはDH-2オイルが指定されているのは周知の事実ですが、最近の研究ではDH-2でも内容成分によってカーボンやブローバイのトラブルに繋がる事が判明したようです…
もっと言ってしまえば純正メーカーが指定するオイルでさえ不十分な事もあるらしいです…

更に意外だったのは交換サイクルもオイルの成分によっては頻繁に交換するのはかえって逆効果になるという事。

多くの人が最近のディーゼルエンジンのカーボントラブルは機構上避けられない事と思ってる中、(私もそうでした…)実験と検証を繰り返し原因を追求、それに対する対策を行いまたテスト…という途方もない苦労を重ね、現状のトラブルを無くそうとする姿勢は尊敬に値します。
某メーカーさんには純正採用が決まったようなので今後が少し楽しみです…
様子を見てウチも検討してみます…

話が逸れましたが…


恒例?の分解チェック。


EGRバルブにギヤ、コントローラが一体になっておりCAN通信にて制御されてます。
カバーを取り外すと…


錆が…


アマチュアを抜き取ると…


ブラシレスモーター。


見るところベアリングからの錆っぽいですね…
ベアリングにはガタがあります…
そのガタによりステータコイルとローターコイルも接触してます…

ギヤ類には問題ありません…


これは経年劣化っていうよりベアリングの耐久性の問題じゃないでしょうか…
こういった状況をメーカーが製造側にフィードバックする事で今後がキチンと対策されていれば良いんですけどね…

どこかのメーカーみたいに何でもかんでも定期交換部品だなんてバカげた話は勘弁してくださいね…笑

という事でプロフィア は終了。



お次はタイミングベルトの交換で入庫したKDH200Vハイエース…



走行距離は約30万キロ…
インジケータも点灯してます。


タイミングベルトに加えウォーターポンプやサーモスタット、オイルシール関係を交換するフルコースです…
写真だけサラッと…笑
















交換した部品達…


インジケータをリセットして完了です。


それからマイカーの運転席アームレストの表面がひび割れして肘がチクチク痛かったので…


新品に交換して


完了。


アームレスト単品で6000円…
高いのか安いのかよく分かんないっす…笑

とりあえず左肘の不快感からは解放されたのでヨシとします…





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10 コメント

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アンバランスな後家合わせ (元UDサービスマン)
2018-06-21 10:23:49
「あちらを立てれば こちらが立たず」
NoX減らせばススが増える
効率の良いディーゼルエンジン 規制の連続で重くなり複雑になりましたね
これ以前にもブレーキやクラッチの「摩擦材」 アスベスト対策された物は発熱量が多く、ドラムやフライホイルにクラック 最悪は「割れ」が生じました
正規の燃料を使って居れば、黒煙やススは少ないはずなのだが、不正な燃料(A重油や灯油のミックス)を使えば「カス」が増えるのは当然
小生もメーカー指定のオイルを使っていますが、オイル以上に「フィルター」は小まめに換えてます
小生の考えは「ドリップ珈琲」で、どんなに良い豆でも濾過がマズイと味を損ねる
なにせ昭和時代の「叩き上げ」整備士
現代社会では「お呼びで無い」ですが、自然の摂理には叶っていると自負してます
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Unknown (三流セルフメンテナンス)
2018-06-21 15:38:33
インティーク系のカーボンの付着には閉口しますね。
あれだけふさがって正常に機能しているのか疑問に思います。
ECMでは、バルブの動いた量だけを監視して実際のEGR自体の量は?

構造上仕方ないのかも知れませんね。
ケミカルには、興味が湧きますね。
ディーゼルオイルにもガソリン車以上のコンディションが求められるようになりそうですね。
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Unknown (にわか整備士)
2018-06-21 21:52:33
お疲れ様です(*´Д`*)
A09C EGRは先日ウチの管理車にもありました。幸いにも岐阜日野経由で保証とゆう形になりましたが
値段もビックリですし
外してビックリですし…
フソウも日野もトラブルは同じなのだなと思います。
今の職場は運行管理もさることながら
美観やトラブルの対象、修理費用等
制約があるので
高額修理は決済が降りるまでに
難航いたします。
メーカーも対策は考えているのでしょうが、結果に結びつかないのが現状なのかと・・こればっかりは環境を守る副産物なんですかね・・

エンジンオイルなんですが
分からなくもない話ですね
フソウにいた頃は純正のDH2を使用して下さいと勿論ユーザーにはお話をしてました、が!
自社整備をお持ちのお客様のオイルだと
なぜか内圧検査も大丈夫ですし
CCVブローバイ等も詰まりは少なく
同じDH2でも違いがあり
メーカーに話た事が何回もあります
が、あくまでメーカーは純正オイルの使用と
なのでディーラーマンだった頃はお客様にこっそり持ち込みをお願いしてましたwww

ケミカル品は良いものは良いのですが
胡散臭いのはホントに外れますからねwww
見極めるのもまた整備士の仕事なのかなと思います(*´∇`*)
長文失礼致しました。
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Unknown (CHAU)
2018-06-23 11:03:29
おはようございます。
EGRのカーボン蓄積、ホントどうにかならないものか
ですよね。
DPD装置の故障と併発してるとお客様に説明する時
理解してもらうのに苦労します。
お客様は同じ所に付いてるものと思ってる場合が多く
なんでこんな所が詰まるんだ!的に言われます。
あと部品交換してもカーボン蓄積が治るわけでは
ないんですよね。
結局しばらくした後にまた詰まるでしょうし。
オイルはウチは基本いずれかのメーカー純正オイルを
値段次第で決めて現在はドラム缶にDH2表記してある
理由で三菱にしてますが、そのオイルに関する話、
非常に興味あります。
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Re:アンバランスな後家合わせ (mikiaxis)
2018-06-24 20:34:47
元UDサービスマンさん お疲れ様です。

NoxとPMはトレードオフの関係ですからね…

昨今のディーゼルエンジンは排ガス規制に対応する為ガソリンエンジンよりも緻密な制御になってます…
燃料噴射も1サイクルで最高7回噴射もあるくらいですからねぇ…
そんな細かい制御に使う燃料もそれなりじゃないとダメなんですが…
実は市場に出回ってる燃料は最近のエンジン制御レベルに対応出来ていないとの見方もあります。

が、大手石油会社各社は燃料を変えるのは現実的じゃないと判断してるようで、その為ケミカル関係会社が軽油中の不純物などを取り除く添加剤を出してる訳です…

ただし、添加剤の類は効果が分かり難いという事もありそれを逆手にとって詐欺まがいの商品があるのも事実です。
理想的な事を謳うのが常なので注意が必要ですね…
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Re:Unknown (mikiaxis)
2018-06-24 20:54:21
三流セルフメンテナンスさん お疲れ様です。

最近のディーゼルエンジンのインテーク内のカーボンは明らかに正常範囲を超えてるレベルがほとんどですよね…
アレでは正確な燃調はとれませんから…
悪循環でしかないでしょうね…

構造上仕方ないと思われてきたトラブルですが最近では原因が判明してきたようで…
エンジンの設計やシステムの問題よりもエンジンオイルや軽油に含まれる成分が大元の原因のようです。

今回私が聞いた会社は決して大手ではありませんが、口コミで段々と全国に広がっています…
私は実際に使って効果を実感した訳ではないので名前は伏せますが…
某メーカーが純正採用したという事もあり今後更に知名度は上がってくると思うのでそのうち耳に入るかもしれません…
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Re:Unknown (mikiaxis)
2018-06-24 21:12:10
にわか整備士さん お疲れ様です。


最近のディーゼルエンジンのトラブルはカーボンや煤、尿素SCR関係やそれを起因とするトラブルが7割を占めてるらしいです…

どのメーカーも同じように似たトラブルを抱えている事から構造上のトラブルと思われてましたが、実際には原因は他にあったという事だと思います。

どうやらメーカーもその根本原因を把握してるけど公表出来ない事情もあるようです…

ただ、ケミカル関係は本当に当たりハズレがありますからね…
普段私もその手のうまい話には懐疑的でしたが今回は開発に携わる方の話を聞いて妙に納得してしまう事が多かったです…
勿論、実際に使って効果を実感するまでは100%は信じませんけどね…笑

とりあえずウチでは試験的に使ってみようかと思います…
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Re:Unknown (mikiaxis)
2018-06-24 22:03:50
CHAUさん お疲れ様です。

私も構造上カーボンは仕方のないトラブルだと思ってました…(^_^;)
カーボンの原因がエンジンオイルにもあるなんて想像もしませんでした…

どうやらメーカーもオイルにも原因があるという事は把握してるようです…
その理由としてオイル成分の一部を非公表にしてるらしくその非公表の成分の中にカーボントラブルの原因となる成分が含まれてるみたいです。

メーカーが公表しないのは色々な事情があるからだとは思いますが、ユーザーに不利益をもたらす可能性のある事はキチンと対応して欲しいものです。

ただ、某メーカーでは添加剤として純正採用が決まったようなので今後広まってくる可能性は大いにあります…
ウチでも何種類かテスト用で買ったので試してみようか⁉︎…という段階です。
結果が良好ならまた記事にでもしてみようと思います…笑
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コモンレール高圧噴射だからってカーボンは出続ける (wiseman410)
2022-04-23 19:02:56
コモンレール高圧噴射と微細多孔ノズルで燃焼壁面の未燃カーボンが減少すると説明されているが、実際は大した効果はない様に感じます。

EGRアクチュはモーターベアリングのシールが悪くかベアリング寿命が短すぎでしょう。もしかすると、ベアリングの負荷容量が小さすぎるのかも。

アクチュの部品代高いが、CAN制御と云うことですがCANトランシーバーチップにボッシュのパテント料が入れ込まれていることも理由かも・・・。ボッシュは政治力あり巧く儲けている。

AO9Cには2022/4/23のネットコメントに以下の輸送事業関係者と思われる記述があり、信頼性が欠ける様に感じます。

sor***** | 1時間前 4/23 14:00
自社も、日野トラックですが、すべて、A09Cのエンジンです、4台、エンジン載せ替えしていますが、メーカ側は、オイルせいにしています、ちなみに純正オイルが、DH2.自社使用オイル、エネオスCF4オイルです、オイル交換もメーカー指定より、早めに交換しています、エネオスCF4オイルは駄目なんですか?
大きいな、メーカーは、改ざん、ウソ、もOKなのですか?、小さい会社は、泣き寝入りですか、理解ある方お助けお願いします。
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Unknown (mikiaxis)
2022-04-30 10:21:31
@wiseman410 確かにコモンレールといえどカーボンは発生しますが、高圧化と噴射口の微細化によってカーボンが減少するのは間違いありません…
なので効果がないというわけではなく、昨今のディーゼルエンジンに関してはEGRとブローバイガス還元による影響の方が圧倒的に大きいです…
EGRバルブ然り…
カーボンやスラッジが稼働部分に堆積すればそれ以降のリンク類やモータに負担がかかるのは間違いありません…

BOSCHが巧く儲けているのは間違いないですね…笑

A09Cに関してもオイルが重要なのは間違いありませんが、私個人的な見解を言えば設計コンセプトに少し無理があるように感じます…
あのサイズ感に6気筒でダウンサイジング高過給ターボ…
そりゃ全域でブローバイの発生量も半端ないと思います…

それとオイルで言えば規格はあくまでも規格でしかありません…
ユーザーに分かり易くするには規格は好都合ですが、実際に調べていくと規格を通っているだけで実際には低品質なオイルはたくさんありますよ…
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