LKG-EXD52ギガ…
エンジンは6WG1。

エンジンとアドブルーのチェックランプが点灯、アドブルー噴射異常というモニターが出て、おまけにブザーまで鳴った…との事で入庫しました。

いすゞさんはアドブルーのチェックランプが点灯してから300キロ以上走ると耳障りな『ピー』という音が鳴り始めます。
現在故障であればエンジン切っても再始動するとブザーがなり続けます。
これは運転手に『もう勘弁してくれ…こんな不快な音は嫌だ! 早く修理してくれ‼︎』と言わす為のブザーで…笑
要は修理しないとメンタル的に乗り続けるのが困難な設定なんです。
これはお国が厳しく決めている排ガス規制…
その排ガス浄化機構であるSCRシステムが正常に機能しない状態では運行出来ないようにする必要がある為で、故障内容によっては1度エンジンを止めると再始動出来なくなる制御もあります。
SCRシステムが出始めた頃、某メーカーさんの車両はSCRが機能していなくても普通に走れちゃう設定、つまり保安基準不適合の状態でも公道を走れちゃう状況で、それを重く見た国が是正勧告…
自動車メーカー各社に徹底するように通達が出たとか出ないとか。
これも一般のユーザーさんは気にした事すら無いと思いますが排ガス規制値は年式別に法律で上限が決められており、その規制値を超えるような排ガスを排出する事は違法なんです…
そんな訳で今現在では各メーカー共々、SCR系のトラブル時にはチェックランプに加えブザー音、更には再始動禁止制御などの設定が必ずあります…
で、実はこの車両…
以前にもSCRシステムのトラブルで1度入庫した車両でその時は尿素水品質異常のコードでした。
その時の記事はこちら
その時は故障コードを消去して様子を見てもらってました。
それ以降チェックランプは点いてなかったんですが…
もしかしてまた同じコードかなぁ…と思いながら
診断機を繋げて故障コードを確認してみると…

P20E8 尿素水低圧異常…
全然違った…
通常、SCRシステムはエンジン停止時には凍結や結晶化による詰まりや破損を防ぐ為に配管内に残った尿素水をポンプで強制的にタンクに戻す制御をします…
その後エンジンを始動して各温度、凍結の有無、解凍制御などの所定の条件が満たされるとSCRシステムはスタートアップ制御に入り、ポンプを駆動させ尿素水を配管内に充填させいつでも噴射できまっせー…という状態になります。
その後、各センサーからの数値を見て通常制御に移行するんですが…
このP20E8の検出条件を調べてみるとスタートアップ制御時の尿素水圧力が650kPaを下回るか、もしくは通常制御時に750kPaを下回った状態を数十秒以上検知するとチェックランプを点灯させるようです。
原因を探る為に故障コードを一旦消去してデータ上の尿素水圧力を点検。
まずは各データを確認してみると、システムが起動していないにも関わらず尿素水圧力が6548kPa…⁉︎

そんな数字はシステム的にあり得ない数値ですが…
表示がバグってるだけかな⁉︎という事でTPMでも確認…
すると-4.9kPa…

なるほど、あのあり得ない数値はマイナスだった訳か…
どうやらG-SCANはマイナス表示に対応してないようですが…
それにしても圧力がマイナスってのは少々納得いきません…
念のため圧力センサーがキチンと反応するかどうか確認する為にドージングモジュール側でホースを取り外しプレッシャーテスターを接続…

圧力をかけるとデータ上の数値も動きます…


が、リニアには反応するものの、かけた圧と表示する圧に少々誤差があります…
ドージングモジュールの噴射口付近は結晶化してますがこれはどの車もこんなもんですね…

お湯でキレイにして再度組み付け…
ドージングモジュールのアクティブテストも指示値に対して実dutyは全域で良好…


次はエンジンを始動してスタートアップ制御時の各データを確認…
エンジンを始動してSCRシステムを起動するんですが、条件によっては一向に始まらないのでそんな時はDPDを再生させます。

これも作業サポートなんかでシステムテストや試運転があれば良いんですけど…
純正機ではきっと出来るんでしょうね…
再生させて…

しばらくするとスタートアップ制御が始まり、尿素水圧力がグングン上昇していきます。

ところが圧力の変化を見ているとどうも安定しない。
更に通常スタートアップ制御時は尿素水圧力は約900kPaまで昇圧されその後、圧力センサーのフィードバック制御で900kPaを維持します…
実際にはポンプがダイヤフラムポンプのせいか850〜950kPaで上下しますが…
ところが現在のデータでは最大値は811kPaで現在値は777kPa…

しばらく眺めていても現在値が400〜700kPa位で乱高下…

最大値からも分かる通りスタートアップ時には故障検出条件である650kPaを下回る事はありませんでしたが本来900kPaまで上がらないといけないのに811kPaなので若干低め。
その後、通常制御に移行しても上限700kPaよりも上がらない…
そうこうしてるうちにDPDの再生も終わったと思ったら…

点きました…笑

故障コードは…

なるほど…
という事で通常制御時に750kPa以下が数十秒以上続いた為にチェックランプを点灯させたようです。
これで症状の確認はオッケー。
ここから何故、尿素水の圧力が上がらないのか原因を調べていきます…
症状は確認出来たので後はこの不具合の原因となる可能性のある箇所を潰していきます。
まずは加圧部での尿素水の外部への漏れ…
こちらは見たところ外部には漏れは無く、ドージングモジュールの噴射口でのお漏らしもナシ…
他にも尿素水フィルターなどに詰まりが無いかを確認すると…
新旧比較…

こんな汚れてるフィルター始めて見た…
更にサプライモジュールの尿素水のインレットコネクタ部にもゴーズフィルターがあるのでそちらも点検しましたが詰まりは無さそう。
とりあえず、尿素水フィルターは新品に交換。
これが原因だったらいいなーなんて思いながら再度テスト…
ところがやっぱり圧は上がりきらず…


再度チェックランプ点灯し故障コードはやっぱり…

どうやらフィルターが原因ではないようです。
となると残る可能性は尿素水圧力センサーかサプライポンプ…
が、どちらも単体点検は不可能でセンサーもポンプもサプライモジュールの中に組み込まれています。
という事で…
注文しました…
お値段20万円…

と、記事が長いのでとりあえずここまで。
その2へ続きます…
エンジンは6WG1。

エンジンとアドブルーのチェックランプが点灯、アドブルー噴射異常というモニターが出て、おまけにブザーまで鳴った…との事で入庫しました。

いすゞさんはアドブルーのチェックランプが点灯してから300キロ以上走ると耳障りな『ピー』という音が鳴り始めます。
現在故障であればエンジン切っても再始動するとブザーがなり続けます。
これは運転手に『もう勘弁してくれ…こんな不快な音は嫌だ! 早く修理してくれ‼︎』と言わす為のブザーで…笑
要は修理しないとメンタル的に乗り続けるのが困難な設定なんです。
これはお国が厳しく決めている排ガス規制…
その排ガス浄化機構であるSCRシステムが正常に機能しない状態では運行出来ないようにする必要がある為で、故障内容によっては1度エンジンを止めると再始動出来なくなる制御もあります。
SCRシステムが出始めた頃、某メーカーさんの車両はSCRが機能していなくても普通に走れちゃう設定、つまり保安基準不適合の状態でも公道を走れちゃう状況で、それを重く見た国が是正勧告…
自動車メーカー各社に徹底するように通達が出たとか出ないとか。
これも一般のユーザーさんは気にした事すら無いと思いますが排ガス規制値は年式別に法律で上限が決められており、その規制値を超えるような排ガスを排出する事は違法なんです…
そんな訳で今現在では各メーカー共々、SCR系のトラブル時にはチェックランプに加えブザー音、更には再始動禁止制御などの設定が必ずあります…
で、実はこの車両…
以前にもSCRシステムのトラブルで1度入庫した車両でその時は尿素水品質異常のコードでした。
その時の記事はこちら
その時は故障コードを消去して様子を見てもらってました。
それ以降チェックランプは点いてなかったんですが…
もしかしてまた同じコードかなぁ…と思いながら
診断機を繋げて故障コードを確認してみると…

P20E8 尿素水低圧異常…
全然違った…
通常、SCRシステムはエンジン停止時には凍結や結晶化による詰まりや破損を防ぐ為に配管内に残った尿素水をポンプで強制的にタンクに戻す制御をします…
その後エンジンを始動して各温度、凍結の有無、解凍制御などの所定の条件が満たされるとSCRシステムはスタートアップ制御に入り、ポンプを駆動させ尿素水を配管内に充填させいつでも噴射できまっせー…という状態になります。
その後、各センサーからの数値を見て通常制御に移行するんですが…
このP20E8の検出条件を調べてみるとスタートアップ制御時の尿素水圧力が650kPaを下回るか、もしくは通常制御時に750kPaを下回った状態を数十秒以上検知するとチェックランプを点灯させるようです。
原因を探る為に故障コードを一旦消去してデータ上の尿素水圧力を点検。
まずは各データを確認してみると、システムが起動していないにも関わらず尿素水圧力が6548kPa…⁉︎

そんな数字はシステム的にあり得ない数値ですが…
表示がバグってるだけかな⁉︎という事でTPMでも確認…
すると-4.9kPa…

なるほど、あのあり得ない数値はマイナスだった訳か…
どうやらG-SCANはマイナス表示に対応してないようですが…
それにしても圧力がマイナスってのは少々納得いきません…
念のため圧力センサーがキチンと反応するかどうか確認する為にドージングモジュール側でホースを取り外しプレッシャーテスターを接続…

圧力をかけるとデータ上の数値も動きます…


が、リニアには反応するものの、かけた圧と表示する圧に少々誤差があります…
ドージングモジュールの噴射口付近は結晶化してますがこれはどの車もこんなもんですね…

お湯でキレイにして再度組み付け…
ドージングモジュールのアクティブテストも指示値に対して実dutyは全域で良好…


次はエンジンを始動してスタートアップ制御時の各データを確認…
エンジンを始動してSCRシステムを起動するんですが、条件によっては一向に始まらないのでそんな時はDPDを再生させます。

これも作業サポートなんかでシステムテストや試運転があれば良いんですけど…
純正機ではきっと出来るんでしょうね…
再生させて…

しばらくするとスタートアップ制御が始まり、尿素水圧力がグングン上昇していきます。

ところが圧力の変化を見ているとどうも安定しない。
更に通常スタートアップ制御時は尿素水圧力は約900kPaまで昇圧されその後、圧力センサーのフィードバック制御で900kPaを維持します…
実際にはポンプがダイヤフラムポンプのせいか850〜950kPaで上下しますが…
ところが現在のデータでは最大値は811kPaで現在値は777kPa…

しばらく眺めていても現在値が400〜700kPa位で乱高下…

最大値からも分かる通りスタートアップ時には故障検出条件である650kPaを下回る事はありませんでしたが本来900kPaまで上がらないといけないのに811kPaなので若干低め。
その後、通常制御に移行しても上限700kPaよりも上がらない…
そうこうしてるうちにDPDの再生も終わったと思ったら…

点きました…笑

故障コードは…

なるほど…
という事で通常制御時に750kPa以下が数十秒以上続いた為にチェックランプを点灯させたようです。
これで症状の確認はオッケー。
ここから何故、尿素水の圧力が上がらないのか原因を調べていきます…
症状は確認出来たので後はこの不具合の原因となる可能性のある箇所を潰していきます。
まずは加圧部での尿素水の外部への漏れ…
こちらは見たところ外部には漏れは無く、ドージングモジュールの噴射口でのお漏らしもナシ…
他にも尿素水フィルターなどに詰まりが無いかを確認すると…
新旧比較…

こんな汚れてるフィルター始めて見た…
更にサプライモジュールの尿素水のインレットコネクタ部にもゴーズフィルターがあるのでそちらも点検しましたが詰まりは無さそう。
とりあえず、尿素水フィルターは新品に交換。
これが原因だったらいいなーなんて思いながら再度テスト…
ところがやっぱり圧は上がりきらず…


再度チェックランプ点灯し故障コードはやっぱり…

どうやらフィルターが原因ではないようです。
となると残る可能性は尿素水圧力センサーかサプライポンプ…
が、どちらも単体点検は不可能でセンサーもポンプもサプライモジュールの中に組み込まれています。
という事で…
注文しました…
お値段20万円…

と、記事が長いのでとりあえずここまで。
その2へ続きます…
尿素関係、続いてますね。
やはり最近の車はこの手の故障修理で
修理代が跳ね上がるのが我々はともかく、ユーザー様に
とっては看過できない問題ですよねぇ。
ホントその通りだと思います…
排ガス規制のおかげで最近のトラックの修理代は右肩上がりですからね〜(^_^;)
エミッションコントロールとは名ばかりで、こうもポンポンと壊れてもらっては全然エコじゃないですよね。
ユーザーだけにこのシワ寄せがいく状態はホントに理不尽な話です…
R30年式23万キロ走行のファイターでも同じ症状が出ていて、今回交換しました
ペーペーの運転手は修理工場に持って行くだけの事ですが、ドージングモジュールが気になり色々と調べる中でこの記事が大変参考になりました
ありがとうございます
しかし、こんな高価な部品を常に在庫していて直ぐに交換できるって事はそれだけ頻繁にトラブっているのでしょうね(笑)
自称、アドブルーシステムを最初に開発したのは三菱でノウハウは他社の比ではないと言ってますが(笑)
何かをはずしてしまうとか。宜しくお願い致します。
まず何のセンサーか不明なので対策云々はなんとも言えません…
また基本的に半導体を使っているセンサーを修理するというのも難易度高いです。
昨今では多くの業界が半導体不足で困っているので、そういう意味では早く入荷するのを待つしかない状況ではあります。