常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

予期せぬ大雪

2024年01月25日 | 日記
雪のない大寒であったが、昨日から各地が大雪に見舞われ、名神高速の関ヶ原では数キロにわたって車が立ち往生し、19時間もの間、解消されなかった。770台もの車が動けなくなってしまったのだ。この事態を聞いて、私はすぐに小国で起きた車の立ち往生を思い出した。もう50年も前のことだが、雪に閉ざされた車の中で、寒さをしのごうとエンジンをかけ続けたため、排気ガスが車内に入り込んで運転手が亡くなってしまったという悲劇だ。高速道路では、動けなくなったら降りて歩くこともできない。今回は簡易トイレや食料の配布などの対応が行われ、幸いにも命を落とした人はいなかったが、車内に閉じ込められた人々はどれほど恐怖を感じたことだろう。


昭和55年12月24日、山形の大雪のことも今でも覚えている。午後2時ごろから降り始めた雪はどんどん積もっていき、一日で1mもの積雪になった。外出していた同僚は、30分ほどで帰社できるはずの道のりに3時間もかかってしまった。私も早めに帰宅しようと会社を出てバスに乗ったが、雪のせいで渋滞がひどくてバスはほとんど動かなかった。本来なら20分ほどで家に着く距離だったが、私も3時間もかかってしまった。国道13号線は夜になっても動かず、車を道に置いまま帰った人も多かった。雪は命に関わる危険な自然現象だが、雪国育ちの私には雪を楽しむことも生活に取り入れている。スキーや雪山登山で見る雪景色は、目を奪われるほど美しい自然の姿だ。

徳富蘆花は『自然と人生』のなかに、雪の日を以下のように書いている。
「起き出で見れば、満天満地の雪。午前は粉雪紛々霏々。午後は綿雪片々飄々。終日間断なく降り暮らす。障子を開けば、玉屑霏々乱れて斜めに飛び、後山も雪の為におぼろなり。風大いに至れば、積りし雪また乱れ立って走る。午後はいよいよ降りしきりて、馬車も通はずなりぬ。積る雪の重量に、何の木にやぽきと折るる音するもの両三度。」
蘆花はただ降る雪の様子を書き続けるが、その心のうちには雪を楽しんでところも見てとれる。明治33年2月16日の「湘南雑筆」に見える記事である。
コメント
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