みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「窓」

2013-08-31 16:55:48 | ブログ短編
 通りを隔(へだ)てた家の二階の窓(まど)。その窓にはカーテンがかけられていた。以前はもっと鮮(あざ)やかな色だったのだろうが、今は陽(ひ)に焼けて淡(あわ)いピンク色になっている。
 そのカーテンがわずかに開いているのを見つけたのは、彼女がここへ越(こ)して来て一ヵ月もたたない頃だ。確かにちゃんと閉まっていたはず。そう彼女は記憶(きおく)している。それ以来、何だか気になりはじめ、部屋から外を見るたびにその窓を見てしまう。そして、彼女はそこから誰かが覗(のぞ)いているような、そんな視線を感じるようになった。
 その家は、どうやら空き家のようだ。庭は荒れ放題(ほうだい)で、夜も灯りがつくのを見たことがない。人の出入りだって…。だから、誰かがそこにいるはずはないのだ。
 友だちが遊びに来たとき、彼女はそのことを話した。
「ホントなのよ。あの窓のカーテン、少しずつ開(ひら)いてる気がするの。あたし、写真だって毎日撮ってるのよ。ねえ、一緒(いっしょ)に見てくれない? あたし一人じゃ恐(こわ)くて」
 彼女はカメラを手に取ると、最初から日付順で画像を出して行く。彼女が言うように、カーテンが動いているようには見えない。「これが最後よ。今朝撮ったのだけど…」
 彼女はカメラのボタンを押す。出て来た画像を見た彼女は、小さな叫び声をあげてカメラを投げ捨てた。そこにはカーテンが開けられた窓があり、少女が微笑(ほほえ)みかけていた。
 彼女は震える声で、「嘘(うそ)よ。あたし…。カーテンなんか、開いてなかったわ」
<つぶやき>世の中には不思議な事があるのです。でも、あまり詮索(せんさく)しない方がいいかも。
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「別れなさい2」

2013-08-29 20:12:38 | ブログ短編
 幸奈(ゆきな)はウエイトレスに紅茶を頼むと、貴子(たかこ)の方に微笑(ほほえ)みかけて言った。
「そうね。先輩の部屋に来る女はいるわ。でも、そんなの、すぐいなくなるから」
「えっ? 何で、そんなこと…」
「偶然(ぐうぜん)なんだけど、あたしの部屋の隣(となり)が、先輩の部屋なんだ。もう、ビックリしちゃった。今朝も、先輩のとこ覗(のぞ)いてみたら、まだぐっすり眠ってたわ」
 顔をこわばらせている貴子を見つめて、幸奈はかすかに笑みを浮かべた。
「あら、どうしたの? 心配しないで。先輩は来ないわよ」
「あなた、何をしたの? 彼に…」
 貴子は店を出ようと立ち上がった。しかし、幸奈は貴子の手をつかんで引き戻す。
「まだ話は終わってないわよ。もう、せっかちさんなんだから」
 幸奈の言葉は温和(おんわ)に聞こえるが、顔は無表情で鋭い目つきで貴子を見つめていた。貴子は身体が震えた。まるで、ヘビに睨(にら)まれたカエルのように。
 ウエイトレスが紅茶を運んでくると、幸奈は何事もなかったように紅茶をすすった。
「それで、相談なんだけど。先輩と別れてくれない? お願い」
 貴子は震える声で答えた。「イヤよ。彼だって、あなたのこと好きになるはずない」
「あたしの部屋に前(まえ)住んでた人、どうしていなくなったか知ってる?」
<つぶやき>恐いですね。前に住んでた人どうなったの? 考えただけで背筋が凍ります。
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「別れなさい1」

2013-08-27 20:00:55 | ブログ短編
 貴子(たかこ)は、いつも彼と待ち合わせをする喫茶店で雑誌を読んでいた。
 その時、誰かに声をかけられた。「やだ、貴子じゃない。久しぶり。元気だった?」
 それは大学の時の知り合いで、顔は何となく覚えているんだけど、名前が出て来ない。
「あたしよ、木下幸奈(きのしたゆきな)。こんなとこで会えるなんて、すごい偶然(ぐうぜん)ね」
 彼女は貴子の前の席に座った。もうすぐ彼が来るので、貴子は戸惑(とまど)った。でも、彼女はそんなこと気にもしないで話しかけて来る。
「ちょうど良かったわ。ねえ、近藤(こんどう)先輩のこと覚えてる?」
 覚えてるもなにも、今、貴子は近藤先輩と付き合っている。もうすぐ、ここに来るのだ。
「あたしね、近藤先輩のこと好きになっちゃった。今度、告白しようと思うの。貴子、どう思う? あたしたち、うまく行くと思う?」
 貴子は驚いた。幸奈が彼のことを知ってるなんて。だって、大学にいた頃、二人に接点(せってん)なんかなかったはずよ。貴子は訊(き)いてみた。
「どうして、近藤先輩のこと知ってるの? 私とだって、そんなに話したことないのに…」
「あたしね、大学の頃から、先輩のこと気になってて。この間、偶然会っちゃったの。今日みたいにね。あたし、何か運命感じちゃって。そういうことって、あるでしょ?」
「ええ…。でも、先輩、好きな人がいるんじゃないかな…。きっと、いると思うよ」
<つぶやき>これは偶然なんでしょうか? それとも、必然。波乱の予感がしてきます。
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「お姉さん」

2013-08-25 19:44:09 | ブログ短編
 好美(よしみ)は、これから一人で夕食を始めようとしていた。彼女にとっては至極(しごく)の時間だ。別に彼氏がいないわけではないのだが、一人でまったりするのも好きなのだ。彼女がお箸(はし)を持ったとき、電話が鳴り出した。彼女は受話器を取ると、
「どうした? 彼とはうまく行ってるの?」
 相手は後輩(こうはい)の亜希(あき)である。今夜は初めて彼を家に呼んで手料理を振る舞っているはず。
「ねえ、どうしたの? ……ちょっと、なに慌(あわ)ててるの? ……えっ?」
 どうやら、トラブルが発生しているようだ。亜希はかなり取り乱している。
「だから言ったじゃない。難(むずか)しい料理なんかやめて、簡単なので……。味が変って、ちゃんとあたしが教えたように作ったんでしょ? …分かった。じゃ、それはやめて違う料理に…、亜希がいつも作ってるヤツでいいじゃない…。あっ、ごめんキャッチが入ったから」
 好美は電話を切り替えた。今度は吉岡(よしおか)。今、まさに亜希と一緒にいるはず。
「吉岡、どうした? えっ、彼女がトイレに入って出て来ない。……どうしたらいいかって。そのまま待ってなさい。いい、これはとってもデリケートな……。えっ? ……キッチンがグチャグチャで、火にかけてある鍋(なべ)から焦(こ)げ臭(くさ)い…。ちょっと何やってるのよ! 火を消しなさい。すぐ! ……もう、それぐらい察(さっ)しなさいよ」
<つぶやき>頼りになるお姉さん的存在の彼女。気苦労(きぐろう)が多そうですね。お察しします。
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「初めての…」

2013-08-23 09:33:32 | ブログ短編
 たまり場になっているお店。涼子(りょうこ)がやって来てカウンター席にドスンと身を沈めた。
 そこには親友の早紀(さき)が来ていて、
「どうしたのよ。何か、お疲れみたいね?」
 涼子はわざとらしく答えた。「あらっ、来てたんだ。もう、やだっ」
「何なのよ。気持ち悪い。――まさか、新しい彼とデート?」
「まあ、そんな、感じ? でも彼ったらね、あたしのことすっごいお嬢(じょう)さんだと思ってて」
「うそ。あたしらの中で一番遊んでたくせに。何でそうなるのよ」
「知らないわよ。何か、彼といると調子(ちょうし)出なくてさぁ。あたしどうしちゃったのかな?」
「それで、その変人(へんじん)の彼とはどこで出会ったの?」
「それが…、お茶会? 何か知らないけど、ママに無理やり着物(きもの)着せられて、連れてかれたの。そこで、何か、紹介されて…」
「それってさ、お見合いなんじゃない?」早紀はニヤニヤしながら言った。
「そ、そんなんじゃないわよ。何言ってんの? たまたまよ、たまたま…、偶然(ぐうぜん)…」
「まあ、どっちでもいいけど。で、その変人さんと結婚を考えてんの?」
「けっ、結婚!」涼子は口をあんぐりと開けて、目を見開いた。「――そそそそ、そんなこと…。考えてないわよ。何言ってんのよ。この間、会ったばかりなのよ」
 早紀はクールに言った。「考えてんだ。今度、あたしらにちゃんと紹介しなさいよ」
<つぶやき>初めて逢(あ)った印象って、ずーっと残ってませんか? あまり良すぎると…。
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