みけの物語カフェ ブログ版

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0800「しずく75~不安」

2020-02-09 18:23:51 | ブログ連載~しずく

 柊(ひいらぎ)あずみは水木涼(みずきりょう)が落ち着くのを待って優(やさ)しく語(かた)りかけた。
「もう大丈夫(だいじょうぶ)? 刺激(しげき)が強すぎたかも知れないけど、あなたに自分(じぶん)の能力(ちから)を自覚(じかく)させなくちゃいけなかったの。悪(わる)く思わないでね」
「能力(ちから)…? 私に…」涼は半信半疑(はんしんはんぎ)で呟(つぶや)いた。そして何を思ったか、突然(とつぜん)立ち上がると手にしていた竹刀(しない)を空(そら)へ放(ほう)り投(な)げ、飛んで行く竹刀に手をかざした。するとどうだろう、竹刀は空中(くうちゅう)で動きを止めて、次の瞬間(しゅんかん)、涼の方へ戻(もど)ってきて彼女の手におさまった。
「こういうことね。すごいわ…」涼は驚(おどろ)くというより楽しそうに微笑(ほほえ)んでいた。
「やるじゃない。最初(さいしょ)からそこまで能力(ちから)をコントロールできる人はそんなにいないわ。あなたには能力者(のうりょくしゃ)としての才能(さいのう)があるようね」
 間近(まぢか)で見ていた神崎(かんざき)つくねも驚(おどろ)きを隠(かく)せないで言った。「すごい…、すごいじゃない」
「ありがとう」涼は笑顔(えがお)でつくねに答えた。「私に、こんな能力(ちから)があるなんて…。これさえあれば、もう誰(だれ)にも負(ま)けることなんてないわよね」
「それはダメよ」あずみが先生の口調(くちょう)になって言った。「その能力(ちから)は、人前(ひとまえ)では使わないこと。誰(だれ)にも知られてはいけないのよ。もし、あいつらに知られたら、あなたもしずくの家族(かぞく)のように狙(ねら)われることになるわ」
「あいつら…? 何のことを言ってるのよ。しずくって誰なの?」
<つぶやき>能力(ちから)をどう使うかは、その人の手に委(ゆだ)ねられている。正しく使わないと…。
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