みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0151「おそろい」

2018-02-01 19:00:53 | ブログ短編

 私には片思(かたおも)いの彼がいる。同じクラスで、しかも隣(となり)の席(せき)。これってすごいよね。振(ふ)り向けば彼がいるんだよ。授業(じゅぎょう)に身(み)が入らないのも分かるでしょ。
 今、私は彼の持ち物をチェックしている。彼と同じものを探(さが)しては、買い集(あつ)めてるんだ。ノートや筆入(ふでい)れ、消(け)しゴムやシャーペンなどなど…。もうずいぶん集めちゃった。でもね、学校(がっこう)へは持って行かないの。そんなことしたら、友だちになんて言われるか。
 私が彼のこと好(す)きなのは誰(だれ)も知らないんだ。私は片思いでいいの。もし、私から告白(こくはく)して、断(ことわ)られたら最悪(さいあく)じゃない。だから、彼とおそろいのもので充分満足(じゅうぶんまんぞく)してる。
 でもね、この間…。私、間違(まちが)えて彼とおそろいの筆入れをカバンに入れちゃって。授業で使うわけにいかないじゃない。だって、中に入ってるの全部(ぜんぶ)おそろいなのよ。絶対(ぜったい)にまわりの子から訊(き)かれちゃうわ。どうして一緒(いっしょ)なのって…。
 その時よ。私が困(こま)った顔してると、彼が声をかけてくれたの。いつもは、おしゃべりなんかあんまりしないのに。それで、それでよ。彼、貸(か)してくれたの。彼がいつも使ってるシャーペンを。私、手が震(ふる)えちゃった。だって、彼のものに触(ふ)れるなんて――。
 これは、きっとチャンスよ。私の頭の中で、そんな声が聞こえた。告白のコールが鳴(な)り響(ひび)いてる。でも、いきなり告白は無理(むり)よ。絶対無理。まずは、少しずつ…。そう、たわいのないおしゃべりから始めるの。でも――、私の趣味(しゅみ)を彼に知られたら、どうしようぅ…。
<つぶやき>告白には勇気(ゆうき)が必要(ひつよう)。でも、ちょっとしたきっかけがあれば踏(ふ)み出せるかも。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 0150「超人サプリ」 | トップ | 0152「リセットの呪文」 »

コメントを投稿

ブログ短編」カテゴリの最新記事