みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0233「苦手なもの」

2018-06-18 19:02:39 | ブログ短編

「教授(きょうじゅ)、何か分かりましたか?」女刑事(けいじ)が訊(き)いた。
「いや別に、ただの家じゃないか。住む人がいなくなって二、三年ってとこかな」
「ここに住んでた人の所在(しょざい)が分からないんです。何か手掛(てが)かりが欲(ほ)しいんですよね」
「そんなことを言われても、私は人捜(ひとさが)しは専門(せんもん)じゃないからね」
「あっ、言い忘(わす)れてましたけど、ここ、出るみたいなんです。だから、教授にお願(ねが)いして」
「出るって? こんなところに何が出るっていうんだ」
「ですから、これは噂(うわさ)なんですが、幽霊(ゆうれい)が出るみたいなんです」
 教授は青白(あおじろ)い顔をして、「私は、これで失礼(しつれい)するよ。これは、私の仕事(しごと)じゃないな」
「何言ってるんですか。教授は、超常現象(ちょうじょうげんしょう)の専門家(せんもんか)でしょ。お願いしますよ」
「私は、超常現象と言っても、こういう系(けい)は扱(あつか)ってないんだ」
「まさか、怖(こわ)いんですか?」
「こ、怖いとかそう言うことじゃないんだよ」
 教授は慌(あわ)てて逃げ出そうとして、下にあった座布団を蹴飛(けと)ばした。その下から現れたのは、黒い大きな染(し)み。女刑事はそれを見て顔色を変えた。
「これは、血痕(けっこん)かもしれません。署(しょ)に連絡(れんらく)しますのでここにいて下さい」
 その時、すでに教授は意識(いしき)をなくしていた。
<つぶやき>誰にでも、苦手(にがて)なものはありますよね。なるべく近づかないようにしましょ。
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