みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0984「率直な彼女」

2020-11-14 17:55:26 | ブログ短編

「わたしのしたことは間違(まちが)っていたのでしょうか?」
 彼女は、先生(せんせい)を前にして言った。先生は困(こま)ったような顔をして、
「いや、間違ってはいないと思うが…。でもなぁ…」
「わたしは、彼女のために言ったつもりです。彼女の判断(はんだん)は誤(あやま)っています。わたしは、率直(そっちょく)にそのことを伝(つた)えただけです。でも、彼女には…分かってもらえなかったみたいです」
「そうか…。考え方は人それぞれだ。でもな、自分の考えを押(お)しつけるのは、どうかと思うぞ。つまりな、相手(あいて)の気持(きも)ちをもうちょっと思いやって…」
「忖度(そんたく)した方がよかったのでしょうか? でも、それでは彼女のためにはならないと――」
「忖度することは、けして悪(わる)いことではないぞ。忖度しなくては角(かど)が立つこともある。それに、白黒をはっきりさせるだけでは解決(かいけつ)しないこともな…、あると思うぞ」
「それは、どういうことでしょうか? 物事(ものごと)の正解(せいかい)はひとつしかないはずです。そうでなければ、すべてのことが曖昧(あいまい)になってしまいます。それでは美(うつく)しくありません」
「えーとなぁ、うん…、そうか…。でもなぁ、君(きみ)は…難(むずか)しく考えすぎてると思うぞ」
「わたしは、熟慮(じゅくりょ)して結論(けつろん)を出しただけです。どこがいけなかったのでしょうか?」
「いや、だからな…。先生が言いたいのは、これは、喧嘩(けんか)をするほどのことでは――」
「彼女は太(ふと)りすぎてます。今すぐにお弁当(べんとう)の量(りょう)を減(へ)らさなと大変(たいへん)なことになるんです」
<つぶやき>そこなんですねぇ。うーん、確(たし)かに…。提案(ていあん)の仕方(しかた)を考え直してみましょ。
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