みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「奔放な女」

2014-05-01 19:19:54 | ブログ短編
 それは一本の電話で始まった。電話の相手はお袋(ふくろ)で、早口でまくし立てる。僕はその電話で起こされたので、寝惚(ねぼ)けながら生返事(なまへんじ)で聞き流す。最後にお袋は、「じゃあ頼んだよ。よろしくね」と言って電話を切った。僕はベッドに起き上がり、今のは何だったのか、しばらくボーッと考えた。
「誰かが…、どっかへ行くって…。それで、その…」
 僕は一つの単語が頭の中で大きく膨(ふく)らんで思わず叫(さけ)んだ。「姉さんが!」
 あの、爆弾(ばくだん)女が…、ここへ来る。僕はベッドから飛び出すと、鞄(かばん)をつかんで玄関へ走った。あやうく寝巻(ねまき)姿で会社へ行くところだった。僕は部屋へ戻ると慌(あわ)てて着替えをすませ、ネクタイをもどかしくしめる。その時だ。玄関のチャイムがピンポーンと鳴った。僕は思わず唾(つば)をのみ込んだ。そして心の中で、「誰もいません。留守(るす)ですよ」と呟(つぶや)いた。
 玄関の方から姉の声が、「あたし。お姉さんですよ。いるんでしょ。開けなさいよ。開けないと、どういうことになるか、分かってるんでしょうね」
 姉は何をするか分からない。姉には一般常識(いっぱんじょうしき)なんて通(つう)じないのだ。僕は、恐る恐る玄関の鍵(かぎ)をはずし扉(とびら)を開ける。いきなり姉の平手(ひらて)が僕の頭へ飛んで来た。
「もう、遅いんだよ。しばらく泊(と)まるから、よろしくね」
 姉はそう言うと、ずかずかと部屋へ上がり込み、僕のベッドへ潜(もぐ)り込んだ。
<つぶやき>自由奔放(ほんぽう)に生きるのも、大変なのかもしれません。嵐(あらし)が去るのを待ちましょ。
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