みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0363「嫉妬するほど」

2018-10-29 18:11:43 | ブログ短編

 由里(ゆり)は駆(か)け込んで来て言った。「拓也(たくや)! その女は誰(だれ)? こんなとこで何してんのよ!」
 振り向いた女の顔を見て、由里は驚(おどろ)いた。それは友だちの、「亜利沙(ありさ)? 何で拓也と…」
 亜利沙は困(こま)った顔をして、「由里…。あのね、これは…、別にそういう――」
「何なのよ。亜利沙、どういうことか説明(せつめい)して。――逃(に)げても無駄(むだ)よ!」
 こっそりと逃げようとしていた拓也は立ち止まった。友里の方にゆっくりと振り返ると、作り笑いをしながら、
「ちょっと待(ま)ってよ。俺(おれ)は別に、まだ、何もしてないから」
「まだ何も…? ということは、何かしようと思ってたってことよね。違(ちが)う!」
 見かねた亜利沙が、「由里、違うのよ。私たち、そういうあれじゃ…ないのよ」
「じゃあ、どういうあれなの? あたしに分かるように言ってみてよ」
 亜利沙と拓也は視線(しせん)を合わせる。何か隠(かく)し事(ごと)があることは間違(まちが)いなさそうだ。
「こんな人気(ひとけ)のない公園(こうえん)で、隠(かく)れるようにして会ってるなんて。どういうつもりよ」
「俺たち、別に隠れてなんかいないし。たまたま、他に人がいないだけで」
「屁理屈(へりくつ)言わないで。いつからよ。二人して、あたしのこと…」
 そこへ男が声をかけた。「由里ちゃん、びっくりパーティーの打ち合わせじゃないの?」
「ヒロシ、あなたも?」亜利沙は渋(しぶ)い顔をして、「もう、二人とも誕生日(たんじょうび)が同じなんだからさ。二人してサプライズしあっても無駄だと思うんだけど」
<つぶやき>誕生日が同じカップルなんて。別々の場所でパーティーはできませんよね。
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