みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1372「ぬれぎぬ」

2023-03-28 17:27:07 | ブログ短編

 男はベッドの中で目を覚(さ)ました。隣(となり)には行(ゆ)きずりの女が気持ちよさそうに寝息(ねいき)をたてている。男は、昨夜(ゆうべ)の激(はげ)しさを思い起(お)こしてニヤついた。そして、女のしっとりとした吸(す)い付くような肌(はだ)に触(ふ)れようとして、思い止(とど)まった。
 時計(とけい)を見ると、早朝(そうちょう)の四時過(す)ぎ…。ここを引き揚(あ)げるにはちょうどいい頃合(ころあい)いだ。男はベッドからそっと抜(ぬ)け出すと、手早(てばや)く服(ふく)を着た。女が目を覚ます気配(けはい)はなかった。男は薄暗(うすぐら)い部屋(へや)から出ようと玄関(げんかん)に向かった。その時だ。流(なが)しの前の窓(まど)に人影(ひとかげ)が見えた。
 男はギョッとして立ち止まった。外(そと)は明るくなっている。人影は部屋の中をうかがうように動き回っていた。男は息(いき)をひそめて立ちつくす。この女には、男がいたのかもしれない。鉢合(はちあ)わせなんてごめんだなぁ。男は、そんなことを思っていた。しばらくすると、人影はどこかへ立ち去(さ)ったようだ。あきらめたのか…? 少し時間をおいて、男は足早(あしばや)に女のアパートを後(あと)にした。
 その日の昼(ひる)のこと。ニュースで女が絞殺(こうさつ)されたと報道(ほうどう)が流(なが)れた。男はそれを見て驚(おどろ)いた。それは、今朝(けさ)までベッドを共(とも)にした女だった。男はひどく動揺(どうよう)した。これは、どういうことなんだ!? いったい何があったんだ。
 それから間(ま)もなく、男が勤(つと)めている会社(かいしゃ)に刑事(けいじ)たちがやって来た。どうやって男の身許(みもと)をつかんだのか? 男は、刑事たちに囲(かこ)まれて連行(れんこう)されてしまった。
<つぶやき>真犯人(しんはんにん)は誰(だれ)なのか? 真実(しんじつ)は、この女との出会(であ)いに隠(かく)されているのかもね。
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