失敗

　色々な事をやってみるから。「この方法では上手くいかない」と言うことが分かるのではないかと思う。
　高校の時の物理の先生が、『こういう方法では、上手くいかなかったという事を、書く事によって、他の人に対して、「この方法では上手くいかなかった」という知識を与える事が出来た』という説明をしていたけれども。
　ふぐの肝を食べて、死んだ人がいる事によって。『ふぐの肝を食べたら、死ぬ』という知識を、みんなが知る事が出来た訳で。だから、ふぐの肝を食べて死んだ人の事を、『人間として、駄目な人』と言うのは、良くないと思う。ふぐの肝を食べて死んだ人の存在によって、我々は、『ふぐの肝を食べたら死ぬ』という知識を得る事が出来るのだからして。
　もちろん、分かっていて、やるのは、駄目だけど。１度失敗した事を、２回目する必要はないかも知れない。でも、それだって、人類にとっては、貴重な、重要な情報なのである、と。

　少年Aの『絶歌』という本について。被害者の親は『納得いかない』と言っているらしいが。殺人犯の、被害者の親が満足する本なんて、出版価値ないでしょう、と思う。そんな本は、人類にとっては、無益である。被害者の親が納得しない本だからこそ、人類にとっては、価値がある本である。『凶悪犯罪をする人の、心情というのは、こういう考えなのだ』と言うことを、知る事が出来るのだからして。

　色々やって見ないと、分からない事がある。韓国に行って、『韓国は、つまらない』と思った。でも、『韓国はつまらない』と感じた事自体に、韓国に行く、価値はあると思う。何でも、やってみないと分からない事は多い。まあ、２回目は、行かないと思うが。

　『楽しい事』だけを、体験する事は出来ない。”つまらない“経験なしに、”楽しい”経験は出来ない。
　成功をつかもうと思えば、失敗も経験しなければならない。それが、人生だと思う。

　生きていくと言うことは、「何かを正しいと定義し、何かを間違いであると定義していく」ことかも知れないが。自分にとって、「間違いであると定義した」からといって、その「間違いであると定義したもの」が、悪だとか、この世に存在してならないものである、とか言うことは言えないと思う。私は、そう思うのだけれども。

　ちなみに。『犯罪者に、反省させるな』という事を言っていた人がいたと思うが。本当に、刑務所に入っている人に、再犯させない方法は、自分の信じている事を、言語化して、表現する事を教える事だと思う。少年刑務所に入っている人達に、”詩”を書く事を教える事によって、彼らの状態を良くしようという詩集（本）を読んだが。実際、自分の信じている事を、言論化する事は重要である。世の中には、暴力でしか、自分の思っている事を表現する事が出来ない人は多い。『みんな、自分の信じている事を、言う権利は持っています』のは。その権利を認めないと、暴力によってしか、表現する事が出来ない人が、大勢いるからである。言論は、どんなに暴力的な言論であれ、実際の暴力による表現に比べれば、何百倍もましである。『言論の自由』を認めないと、『暴力』が発生する。それに比べれば、『言論の自由』を認める事の方が、何百倍も平和である。そういう考えがあって、『みんな、自分の信じている事を、言う権利がある』のだ。それを認めないと、暴力によってしか、表現出来ない人達が、出てきてしまうから、ということで。

　『戦争』は、問題の解決方法として、最悪の手段だが。”戦わない事”が、正義な訳ではない。「平和的、手段によって、戦うべきだ」と主張しているだけなのである。
　
　『人を殺す方法でしか、自分の主張を言うことが出来ない』という考えを持つ事が、悲惨な事なのであって。平和的手段で、自分の主張を言うことは、正しい事だと思う。
　みんな、自分の信じている事を言う権利を持っている。それが、例え、どんなに破滅的な意見、考えであれ。なぜなら、その権利を認めないと、物理的暴力によってしか、自分の思っている事を伝える事が出来ない人達が出てくるからである、と。