美加レディースクリニック いちご通信

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不育症の検査 プロテインS比活性検査を行っています。

2018-05-11 18:55:26 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

当院でも、「プロテインS比活性検査」 ができるようになりました。

なぜこの検査法が、重要なのかというと・・・・、ちょっとむずかしいお話になりますが、興味のある方は、以下をご覧ください。

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不育症とプロテインS欠乏症:  プロテインS比活性の有用性について

 不育症の原因はいろいろ考えられますが、その一つとして、血栓症により、流産・死産をくり返す場合があります。

血栓症の原因となるのが、抗リン脂質抗体症候群や、凝固因子の異常プロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症、第因子欠乏症など)です。

このような異常があると、流産・死産とならなくても、胎児の発育遅延や胎盤の異常を来すことがあります。

この中でも、日本人に検出される頻度が比較的高いのが、プロテインS欠乏症 です。

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またまた、難しいお話になりますが、プロテインSは、血液を固める(凝固させる)活性化Va因子、活性化VⅢa因子を不活性化させる作用があり、血液凝固を防いでいます。

プロテインSが減少すると血液凝固が起こりやすくなり、血栓、塞栓ができやすくなります。

妊娠中は、プロテインS量が低下しやすいため、血栓症のリスクが高くなります。

プロテインS欠乏症は白人では0.03~0.13%と低率ですが、日本人では1.6%と高率で、日本人に多いのが特徴です。

厚生労働科学研究班の報告では、不育症患者ではプロテインS欠乏症が7.4%と日本人の平均より高率でした。

 

日本人に多い、遺伝子変異 「プロテインS徳島」

日本人では、「プロテインS徳島」というプロテインS遺伝子の変異が白人よりも多いと言われており、この遺伝子変異があると、

プロテインS活性が低下して、血液の凝固を防ぐ力が弱くなり、静脈血栓症のリスクが高くなることが報告されています。

日本人には、プロテインS遺伝子の変異がある人の割合が、約1.3~1.8%もいて、欧米白人の20倍も頻度が高いといわれています。

この遺伝子変異があると、繰り返し血栓症をおこすことが多いとされています。

 

プロテインS比活性とは?

 

血液凝固制御因子であるプロテインSの異常/欠乏は、静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism, VTE)の危険因子であり、

日本人の血栓性素因であることが明らかになりました。

日本人には「プロテインS徳島」というプロテインSの機能低下を伴う遺伝子変異が1.3%~1.8% に存在し、

その保因者はVTEを発症する危険性が高くなります(Odds比:3.7~8.6)。

これまで、「プロテインS徳島」などのプロテインS機能異常を正確に診断するには、

遺伝子検査に頼らざるを得ず、時間と手間が掛かり煩雑でした。

プロテインS比活性検査は、自動分析装置で総プロテインS活性と蛋白量を測定し、

蛋白量あたりの活性(総活性 / 総蛋白量)を算出してプロテインS機能低下を判定します。

したがって、プロテインS比活性検査は、これまでより迅速かつ簡便にプロテインS機能異常を検出することができるので、

VTEの予防や診断・治療に大いに役立つものと思われます。

計算方法

総プロテインS蛋白量に対する総活性の比率をプロテインS比活性としました。

 

 

<プロテインS比活性の有用性~まとめ~>

 

①  「静脈血栓症がおきやすい体質かどうか?」を調べるのにも有用な検査です。

   静脈血栓塞栓症は、妊娠中や体動を制限される長距離の旅行、避難所生活、大手術の後などに起きる場合がありますが、

  血栓症がおきやすい個人の体質を予め知っておけば予防することが可能です。

  不育症の原因検索だけでなく、血栓症がおきやすい体質かどうかを知る上でも有用な検査です。

 

②  遺伝子検査を行わずに血液検査で診断できます。

 

   このような体質を知る検査は、今までは遺伝子の検査をする以外に難しかったのですが、

    プロテインS機能検査(プロテインS比活性測定)がごく最近開発されたことにより、

    遺伝子検査をしなくても、通常の血液検査で個人の体質が判るようになりました。

   プロテインS徳島のような遺伝子変異は,血中に分泌されるプロテインS抗原量は正常ですが,活性が低下する「Ⅱ型異常症」です。

    したがって、プロテインS活性とプロテインS抗原量を測定し,プロテインS比活性(比活性=活性/抗原量)を求めることで,

    間接的にプロテインS遺伝子変異を検出することが可能です。

 

③  より正確に血栓症のリスクを診断できます。

        従来のプロテインS活性検査では、血栓リスクを十分に診断できない部分もありましたが、

       「プロテインS比活性検査」を行うことにより、より正確な情報を得られるようになりました。

 

④  妊娠後でも、プロテインS活性より、正確に診断できます。

     妊娠後は、血栓症リスクのない正常の妊婦さんでも、一般に行われている、「プロテインS活性」の血液検査の値は低下してしまいます。

    そのため、妊娠による見かけ上の低下なのか?それとも、本当に活性が低下しているのかの判断をすることができません。

     しかし、「プロテインS比活性検査」を用いると、妊娠後も正しく判断することができます。

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 当院では、プロテインS比活性の検査を行っております。

  

 

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