徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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ベルギー・ティアンジュ原発の暗黒史

2015年09月28日 | 原発・エネルギー問題・放射能
9月19日に「18日の夜11時30分、ティアンジュ原発で技術トラブルが発生した」とエレクトラベル社が発表しました。これにより9月7日に運転再開されたばかりのティアンジュ原発1号機が再度停止しました。

ティアンジュ原発は加圧水型軽水炉3基からなる老朽化の激しい原発で、既に10年以上前からトラブルの連続に見舞われているにもかかわらずいまだに稼働し続けているとんでもない原発です。
ティアンジュ1号機は1975年、2号機は1982年、3号機は1985年に運転開始しました。3基合計容量は約1000メガワットになります。
EUの原発ストレステストでティアンジュ原発は洪水防御措置にかけているため、特に悪い成績を収めました。しかし、ベルギー政府は2012年7月、ティアンジュ1号機を本来計画されていた2025年までの稼働期間を更に10年延長することを決定しました。電力不足を避けるため、というのが理由です。

以下にドイツ放送局WDRでまとめられたティアンジュ原発のトラブルの歴史を紹介します。元記事はこちら


2015年8月13日、 ティアンジュ3号機故障のため一時停止
メンテナンス準備の際に3号機は自動的に停止。原発事業者エレクトラベルのスポークスマンは、従業員や環境への危険はどの時点でも生じていなかった、と発表。

2015年8月8日、従業員4名罷免。
ティアンジュ原発の従業員らは何度も安全規則を無視。安全監視局は「いい加減な仕事」と非難し、従業員4名を罷免し、従業員全員にスクーリングのやり直しを指示。当局は通信社ベルガによると初めてティアンジュ原発閉鎖をにおわせた。過去6週間の間だけで6件の違反があり、その一部はエレクトラベル社自身が申告していた。

2014年11月30日、ティアンジュ原発3号機で爆発。
3号機は午前10半ごろ、爆発の後に自動的に運転停止。変圧器の一つから火災が発生していた。エレクトラベル社の発表では3号機の原子力領域外での火災で、消化は速やかになされ、あらゆる安全措置が取られたという。2014年12月2日には再稼働した。

2012年、ティアンジュ2号機にひび発見。
原子炉は1年間運転停止。2013年に再稼働したが、安全性の欠陥のため何度も停止した。2号機の圧力容器外壁には9cmにも及ぶひびが2000か所見つかった。調査の結果、稼働中の際の放射線が初力容器のスティールを脆くさせたということが分かった。

2020年10月4日、酸を含む排水がマース川へ流出。
18時過ぎにおよそ600ℓの酸を含む水が排水溝からマース川へ流出した。エレクトラベル社の発表では、放射性物質は流出しておらず、酸は川の中ですぐに中和されるとのことだった。

2002年、一次冷却系で圧力低下。
2002年にはそれまでで最も危険な事故がティアンジュ原発で起こった。圧力調整弁が間違えて開けられてしまったため、一次冷却系で圧力低下が起こり、冷却水の蒸発に繋がった。幸い安全システムが反応し、格溶融は回避することができた。この事故は国際原子力事象評価尺度でレベル2の事故と評価された。因みに1986年のチェルノブイリ原発及び2011年の福島原発事故は国際原子力事象評価尺度でレベル7の「深刻な事故」と評価された。

以上WDRより引用

ティアンジュ原発で最も懸念されているのは2号機の圧力容器外壁に見つかった無数のひびです。これらのひびがいずれ圧力容器の崩壊を招き、格溶融に繋がるリスクがある、と環境保護団体や反原発団体が原子炉の即時停止を求めていますが、事業者側はその危険はないとはねつけ、現在に至っています。

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