『正しい恋愛のススメ』の初版発行は1996-1998年で、古い作品ですが、これもとっても面白かったです。
主人公はパワフルで一風変わった思考回路を持つ女子高生・小泉美穂。黙っていればかなりかわいい女の子だけど、恥じらいもなくずけずけと口に出してしまうところが玉に瑕、というキャラ。彼氏の竹田博明はかなりの美少年だけど、「だるい男」。美穂とも彼女の押しに負けて断るのが面倒だから付き合いだしたという、年の割に冷めていて、ちょっと退屈している男の子。そんな彼に、見かけは優等生だけど随分意味深な同級生・護国寺洸から「出張ホスト」のバイトを持ち掛けられます。最初は怪我した彼の代理として。「寂しい女に愛情を売るのが仕事。体はオプション」と言われて、博明は依頼者の好みに合わせて自分を演出することに興味を示し、本格的にそのバイトを始めます。その過程で紹介されたのがバイト先の店長(ホモ)の元妻で、現在は彼の上客となっている玲子さん(39)。彼女は美人で、年齢を感じさせないかっこいい大人の女(職業作家)。博明は彼女に段々惹かれていき、「欲情」を感じていることに気付いて戸惑ったり、初心な感じがかわいい。
ただ、この玲子さんは実は博明の彼女・美穂の母親でした。玲子も娘の彼と分かった後も気に入っている博明との関係を止められず、博明は玲子の指示通りそのまま美穂と付き合い続けるのだけど、美穂は彼が誰かに恋をしていることを敏感に感じ取って…という母娘で争う三角関係の話なんですが、美穂のキャラのせいでかなりコミカルになっています。博明は相当悩み苦しむのですが… 美穂はかなり後まで母親が恋敵とは知らないままでした。なんというか、すごくすっ飛んでて強い女の子。「最後に笑う女」という影の呼び名(by護国寺)に相応しいキャラです。結局、玲子と博明はお別れ旅行で気持ちの区切りをつけて別れます(その旅行中に美穂とその親友にばったり出くわし、全てばれてしまうのですが)。美穂は英作文が認められてイギリス留学の誘いが来たので、母・玲子に慰謝料として留学資金を請求(つえー!)。父とばれてしまった原田とともに渡英します。
なんとなく美穂のパワフルなノリは有閑倶楽部の有理を思い出させますね。有理の方がもっとハチャメチャで、恋愛方向はからっきしでしたが。
どこらへんが【正しい】恋愛なのかよく分かりませんが、楽しい恋愛をしたくなるような作品でした。
ちなみに本編は1-4巻で、5巻は番外編のみが収録されています。