ミカエルの函館散策記

美しい夜景と異国情緒溢れる町・函館。
名所・旧跡・食べ処をご紹介していましたが今や万屋。
ご訪問に謝々。

第44号 元町カトリック教会 

2006年10月20日 | 教会、寺院、神社、墓地、碑、像

所在地=函館市元町15番30号

 

右の写真は既に掲載済みの写真であるが、石畳の二十間坂から構えたもの。
瓦の大屋根の建物は東本願寺函館別院で、このように和洋の宗教建物を同じ画像に組み入れたものは珍しいと思うのだが・・・。
青空がいっぱいに広がり、それがこの教会のシンボルである鐘楼を美しく溶け込ませている。

初めてカトリック神父が来函したのは安政6(1859)年。
そして最初の教会聖堂を建てたのは、マレン神父で明治8(1875)年であった。
しかし、明治40年、木造建築であったために聖堂が焼け、ゴシック式のレンガ造りの
聖堂に建替えた。

その後も火災に遭ったが、部分修復で済ませた。
鐘楼部分だけは増築され、鉄筋コンクリート造である。
聖堂の祭壇は、当時のローマ法王・ベネディクト15世からの記念すべき贈り物である。北海道、東北の教会を治める格式ある教会である。

日本の道・百選に選ばれた「大三坂」に面し、傍らに作家・亀井勝一郎が育った洒落た洋館風の建物がある。
グロード現神父は、夏の夜、五稜郭公園で上演される「函館野外劇」の市民団体の理事長職を努めたり、福祉の面でも多大な功績がある。
絵筆を握り、心が広く、笑顔を絶やすことなく、多くの市民から慕われている。

今月から受講を始めた「はじめてのエッセイ」。
その宿題をようやく書き上げ講師へ提出した。作文を書き、先生の採点を受けるのは中学以来のできごと。
次回の受講日にどのような批評をいただけるのか?ちょっぴり不安な日が続く。

     ミカエル

この記事につきまして、「元町画廊主人」様から、下記のようなご指摘を2009年9月8日に頂戴し、感謝しております。
自分の無知を大いに反省しております。

どうぞ、ご指摘文をお読み頂ければ幸いです。

                    記


「初めてカトリック神父が来函したのは安政6(1859)年。」これは正しいですね。そしてこのときの神父はフランス人のメルメ・カション神父です。彼は称名寺の境内に一軒家を借りてそこでささやかなミサをあげたようですが、同時に他の国の領事達が羨ましがるような土地の借用に成功し、そこに小さな聖堂を建てました。たぶん1860年1月頃の完成でしょう。函館最初のカトリック聖堂は境内の一軒家ではなくきちんとそれように建てた後者とすべきでしょうね。場所は不明ですが、彼がパリミッション会に送った手紙からすると、現在の函館西高校あたりと思われます。
1863年メルメ神父は失意のうちに函館を去ります。(以後4年間神父不在の空白期)

1867年ムニクー神父とアルムブリュステル神父が来函。メルメ神父の小聖堂が他の人に使われていたため、現在の敷地の中に小聖堂を建設します。(1867年)これは1879年焼失。(函館中央図書館に古写真あり)

1875年マラン神父着任。
1877年(明治10年)現在の場所に木造の大きな聖堂を建てる。1891年この教会が司教座となる。(当時の函館は北日本の中心であった)
 大聖堂としてはこれが第一番目といえるが、 聖堂としては第三番目となるのではないか?
1907年(明治40年)大火で焼失。

1910年(明治43年)ゴシック式煉瓦造りの大聖堂完成。ベルリオーズ司教の活躍で寄付金集める。
1921年(大正10年)大火により焼失。

1923年(大正12年)現在の大聖堂完成。
高齢のベルリオーズ司教は再建募金のためアメリカを駆け回った。ゴシック式鉄筋コンクリート造り。(前聖堂の焼け残った煉瓦壁を最大限に利用、木田保造施工)時の教皇ベネディクト15世より祭壇、十字架の道行きを贈られた。日本国内では唯一のもの。

かつては北海道と東北全体を函館司教区と呼んでいたが、1936年仙台司教区と改称しました。そして司教座は仙台に移りました。(これは、函館に要塞司令部があり、布教のためにいろいろ支障があったためと久保田恭平氏は述べています。)
1952年に札幌司教区が設立され、函館はその中の一つの地区という扱いになりました。(函館の盛衰が窺われますね)
こんな事から、現在では、「かつては、北海道、東北の教会を治める格式ある教会であった。」とすべきでしょうね。

グロード現神父となっていますが、1976年よりグロード神父はこの教会を去り、旭岡の特別養護老人ホームの専属となっています。現神父はやはりフランス人のジェル・ロー神父です。

いろいろお節介を述べて申し訳ありませんが、インターネットで調べものをしている方達に間違った情報を伝えてはまずいかなと思い、老婆心からコメントを書かせて頂きました。

なお、元町画廊では9月15日より「カトリック元町教会150年のあゆみ」展を開きます。
150年の中でも、特に困難な時代に焦点を当てて展示します。戦時中にどのような迫害を受けそれにどう対応したのかなども掘り下げてみたいと考えています。よろしかったらどうぞ見に来て下さい。聖堂内部のすてきな写真やペリーが帰国後に発行した「日本遠征記」(150年前に印刷された実物)、それに新たに発見された珍しい写真も見所です。