みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

女性が「ひとりで生きる」ための知恵・準備・覚悟『おひとりさまの老後』(上野千鶴子さん)

2008-01-09 07:09:24 | ジェンダー/上野千鶴子
昨年7月に刊行され、あれよあれよという間に42万部という
驚異的なベストセラーになった上野千鶴子さんの『おひとりさまの老後』。

「年をとって本を読むのが面倒になった」という85歳の
「おひとりさま」歴17年の母も夢中で読んでいる。
そう、そう、と共感できるところばかりだという。

とくに、「後家楽」ということばに、
「ほんと、お父さんがいなくなってからは極楽やわ」。
「お父さんより一日でも長く生きるのがわたしの夢」と口癖のように言っていた母は、
念願かなって、おともだちに会える健康ランドに入り浸り、旅行も楽しむ。

大事に育てた?息子(長男)は若いころから遠くにいて、
スープが冷めない距離にはちと遠いけど、娘3人は近くにいる。

昨日も朝一番で母から電話があり、
「おきてみたら口の中が腫れて真っ赤。舌も腫れてモコモコしてしゃべれない」。
と、これだけ言うのもやっとのようで息も絶え絶え。
「すぐ行くから、まず何か口に入れて。ジュースを飲んで待ってて」
「気分が悪くなったら、わたしを待ってないで救急車をよぶんやよ」と
とりあえず、母の家に急いだ。朝のラッシュがもどかしい。
「みいちゃんにもらった咳止めトローチ(麦門冬湯)が原因かもしれん」
(まさかっ! 風邪気味なのにバス旅行に行ったからでしょ)
口の中を見ると赤いけれど、腫れは引いている。

原因がわからないので、総合病院がよいだろうということで、市民病院へ直行。
医師も脳梗塞などの脳の異常を疑ったらしくて、すいすいと診てもらえた。
そのころには症状もかなりおさまっていて、「口内炎」(?)との診断。
単なる口内炎ではなさそうだけど、まっ仕方がない。

風邪気味の母に、「このまま家に来たら?」ときいたけど、
暖かくて仮眠もできる東洋健康ランドに行きたいという。
希望通り、車で10分ほどの東洋健康ランドまで送った。

おともだちがたくさんいて、気遣ってもらえるし、
倒れていてもすぐ見つけてもらえるようにとの母なりの知恵のようだ。
そういえば、明治生まれの母の母(岐阜のおばあちゃん)も、
11人も子どもを生んだが、だれの世話にもならず「おひとりさま」を通した
自立心が強い、自由な気概あふれる人だった。

わたしも、女系の気質をうけついでいるのかもしれない(笑)。

ということで、一人で生きる知恵が満載の
『おひとりさまの老後』上野千鶴子、法研、1400円(税抜き)
見つけた記事二つ、紹介します。
(今年も上野さん関連の記事、紹介しますね)

 あなたより長生きする彼女の『おひとりさまの老後』
~女性が「ひとりで生きる」ための知恵・準備・覚悟

nikkeibp 2008年1月9日 水曜日 荻野 進介

 昔から後家楽(ゴケラク)という言葉があるらしい。うるさい夫に先立たれたものの、生活の心配はなく、わが世の春を謳歌している女性を指す。うらやましいと思ってしまう女性(ひと)が多いのでは。ゴケラクは「ご気楽」に通じるというべきか。
 この後家楽に限らず、離婚・未婚含め、シングルの高齢女性たちがこれからますます増える。平均寿命から考えれば男より女のほうが長生きだし、少子化のいま、育児期間も短くなった。女性にとって、夫や子どもと一緒に“家族する”期間がどんどん短縮しているからだ。
 妻として、あるいは母としてどう生きるか、という本は汗牛充棟、限りなくある。しかし、老後を女性がひとりで暮らすためのノウハウ本が不足しているのではないか。日本のフェミニズム研究のパイオニアであり、舌鋒鋭い書き手としても知られる著者が、そんな問題意識から書いたのがこの本である。発刊以来3カ月で17刷というベストセラーだ。
 シングルライフへのいざないから始まり、住居の問題、友人・知人との付き合い方、おカネ、介護、遺言、財産分与、終末期の迎え方と、一通り、かゆいところまで手が届く内容だ。著者自身、現在59歳で自称“負け犬”(結婚しない女)のひとり。シングル歴は長い。しかも近年は社会学者として高齢者の介護問題に関わっているからか、理論と実践、双方の内容が充実した、「ひとりで生きる」ためのガイドブック兼思想書なのだ。

住むならばワンルーム
 まず、おひとりさまはどこに住むべきか。LDKよりワンルームがいい。部屋が複数あると、デッドスペースが増え、物置と化すのが関の山だからだ。最近では、シングルの高齢女性のための協同居住型集合住宅(コレクティブハウス)も増えている。
 容易に想像できるが、おひとりさまにとって切実なのが友人関係である。なかでも、一緒にごはんを食べる相手がいるかどうかが極めて切実な問題だ。一緒にいて楽しい人であるのが第一条件。口数はむしろ多くなくて、おだやか、他人の話をよく聞いてくれ、要所でぴりりと反応してくれる人がそれ。話題が豊富で自分ばかりしゃべっている人はごめん被りたい。必要なときに駆けつけてくれ、さみしいときは支えてくれ、慰めてくれる友人をもっておくには努力もメンテナンスも必要、という主張はその通りだろう。
 介護の項では、いかに介護を受ける状態を避けるか、という考えが蔓延している状態に著者は異議を唱える。死の前日までピンピン元気で、ある日コロリと逝くのが老いと死の理想だというPPK(ピン・ピン・コロリ)思想をファシズムに近いものとして糾弾し、介護される側になったら、堂々と勇気をもってそれを受け入れよ、と説く。
 そのために必要なのが、プロの介護を受け入れるマナーとノウハウだ。

 <もともとお世話するのが仕事だったせいで、自分がお世話されるようになることを受けいれられない>のが多くの女性。そういう人に向って、不必要な我慢や遠慮はしない、なにがキモチよくて、なにがキモチ悪いかをはっきりことばで伝える、といった著者が作った「介護される側の心得10か条」が紹介される。
 この本の通奏低音となっているのは、「人間はもともとひとりで生まれ、ひとりで死んでいくもの」という著者のスタンスだ。死の床にある実父を介護している時、著者はこんな思いにとらわれたことを正直に打ち明ける。

〈かわいそうだけど、死んでゆくのはあなたであって、わたしではない。死にゆくひとの孤独を、わたしはわかってあげられない〉

 そう、多くのおひとりさまにとって死は孤独死として訪れる。でも著者は孤独死=死の瞬間に看取る家族がいないということなら、覚悟はとっくについているという。

ならば男はどうするべきか
 心得ておくべきは、死んだら時間をおかずに発見されるよう、まめにコンタクトが取れる人間関係をつくっておき、遺したら残された人が困るようなものは早めに処分しておくこと、などである。もちろん遺言も書いておく。さすが上野さん、「人間関係が(それも男も)変わるたびバージョンを書き換えてきた」という。
 いよいよ最期である。女のおひとりさまはあまりお墓にこだわらない。自然葬を望む人も多い。著者の希望は可愛がっていた愛犬が埋めてある京都の大文字山に散骨されること。これって実現可能なのだろうか。
 世の男性たち、自分には縁遠い本と速断するなかれ。配偶者に愛想尽かされた途端、自らも「おひとりさま」となる。その意味では男性が読んでも得るところが大いにある。
 もっともフェミニストたる著者の男性に向けたメッセージは明解だ。次のように上野節が炸裂してこの本は終わる。

〈なに、男はどうすればいいか、ですって?そんなこと、知ったこっちゃない。せいぜい女に愛されるよう、かわいげのある男になることね〉

 配偶者を亡くすとすぐ老け込むのが男、と相場が決まっている。悔しいけどご指摘通りかもしれない。
(荻野進介、企画・編集/連結社)
(日経ビジネスbp 2008.1.9)


大弦小弦  (沖縄タイムス 2008年1月8日 朝刊1面)

 国立社会保障・人口問題研究所によると、今世紀半ば総人口に占める高齢女性の割合が22・5%になる。二十一世紀はおばあさんの世紀だ。
 今でも六十五歳以上の女性の半分には配偶者がいない、八十歳では八割。結婚しようがしまいが、どの道一人。そのノウハウを説いてベストセラーとなったのが、上野千鶴子さんの著書「おひとりさまの老後」。
 上野さんは「後家楽」という言葉を使い、前向きな一人暮らしを提案する。うるさい夫を見送った後はわが世の春だと。そのための最低条件は家。人とつながるコミュニケーション能力も欠かせないという。
 そんな矢先、政府の男女共同参画会議が「女性高齢者の貧困問題が深刻化」と報告した。一人暮らし高齢女性の過半数は年間所得が百五十万円未満、生活保護受給者の割合も高い。シングルライフを満喫できるのは限られた人だけなのか。
 高齢女性の経済自立が難しいのには理由がある。子育てのため就業年数が短かったり、賃金水準が低く、男性に比べ年金受給額が少ないからだ。それは日本の社会保障やシステムが男性仕様、家族仕様であることの裏返しでもある。
 「老後の不安の原因を一つ一つ取り除くと恐怖は消える」と上野さん。一大勢力となるのだから、この際理不尽な社会と立ち向かう「おばあさん党」なるものを立ち上げ、女性高齢者仕様の社会を築く必要があるのかもしれない。(森田美奈子)
(沖縄タイムス 2008年1月8日)




1月6日の朝日新聞にもでかい記事。
加藤周一さんとの対談「われわれはどこへ」。
読み応えがあるのですが、でかすぎて載りません(笑)。




という言うことで、上下それぞれで拡大してお読みください。


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最後まで読んでくださってありがとう
2008年も遊びに来てね 
 また明日ね
 


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