みどりの一期一会

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検証:検察の暴走/障害者郵便割引不正 村木元局長無罪

2010-09-12 08:37:31 | ほん/新聞/ニュース
一昨日、大阪地裁で注目の判決がありました。

大阪地裁は障害者郵便割引不正事件に関与したとされる、厚生労働省元局長・村木厚子さんに
無罪判決を言い渡した。
裁判所は、検察の言い分をことごとく退けての、まっしろな無罪。

そもそもまったく事実無根のシナリオを書いて、
無実のひとを陥れた悪質な検察の暴走を断罪したともいえる判決を、
検察関係者は、真摯に反省して受け入れるべきである。

とうぜんだけど、控訴はしないで、まずは村木厚子さんに謝罪し、
すみやかに復職させてほしい。
彼女がうしなった時間と名誉を、すべて取り戻すのは困難であるとしても・・・。

今日はこれからWANのリニューアル記念シンポで京都に行くので、
とりあえず、無罪判決と検察の暴走の関連記事をアップしておきたい。

 クローズアップ2010:障害者郵便割引不正 村木元局長無罪 暴走した特捜部 

◇指弾された裏付け不足
 厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)に無罪を言い渡した10日の大阪地裁判決は、客観的証拠を厳密に分析し、検察側が有罪判決に向け望みを託していた一部の供述調書や証言について「客観的証拠と合致しない」と退けた。有罪の立証を捜査段階の供述調書に頼る検察に対し、厳しい見解を示したと言える。無罪判決を受けて検察側は、控訴するかどうか本格的な検討を始めた。【日野行介、久保聡、三木幸治、鈴木一生】
毎日新聞 2010年9月11日

 実体のない障害者団体「凜(りん)の会」に郵便料金の割引を認める厚労省の偽証明書が発行された郵便不正事件で、最大の物証は元係長、上村勉被告(41)が作成した村木元局長(当時課長)名の偽証明書と、その発行手続きが省内で進んでいると装う偽の決裁文書(稟議書(りんぎしょ))だった。凜の会の倉沢邦夫被告(74)は偽証明書について「04年6月上旬に省内で村木元局長から受け取った」と証言。検察側はこれに有罪の望みを託していた。
 しかし判決は、上村被告がパソコンで偽証明書を作成した際、フロッピーディスクの最終更新日時が「6月1日午前1時20分」だった点に着目し「5月31日深夜から6月1日早朝までに作成」と認定。上村被告は5月以降、凜の会から証明書発行を催促されており、判決は「作成当日に連絡するのが合理的で、証明書交付は6月1日だと強く推認される」と判断。そのうえで、倉沢被告の手帳によると6月1日は関西にいたことから「受け取るのは不可能」と断じた。
 上村被告は5月中旬、凜の会に対して証明書の発行手続きを進めていると装うため稟議書を偽造した。これについて判決は「証明書の発行が組織ぐるみで決まっていたなら、上村被告が村木元局長らに相談することもなく偽稟議書を作成するのは不可解」と指摘。上村被告は偽証明書の発行までに、いわば「時間稼ぎ」を1人で行っていたことになる。
 こうしたことから判決は、「偽証明書は独断で作成した」とする上村被告の証言に軍配を上げ、村木元局長が関与したとする検察側の構図を否定。さらに判決は「村木元局長が5月中旬ごろ、倉沢被告の目の前で当時の郵政公社幹部に電話し『証明書の発行は間近』と伝えた」とする検察側主張を検討。「電話の(後に事態がスムーズに進んだなどの)効果など、電話の事実を裏付ける痕跡がない」と、裏付け捜査の不足を指摘し、主張を一蹴(いっしゅう)した。
 判決は最後に「人間の供述は認識、記憶、表現の3段階で誤りが混入する可能性がある。供述の具体性や迫真性は後で作り出すことも可能で、客観的証拠の裏付けのない供述についての信用性は慎重に判断すべきだ」と指摘。客観証拠より供述調書に頼る特捜部の捜査に警鐘を鳴らした。

 ◇幹部のチェック不全
 「国民の期待も関心も高い特捜部の事件だけに、裁判所の判断は重い」。無罪判決に法務・検察幹部らは一様に表情を曇らせた。
 「どうしてあんな取り調べになるのか」。ある幹部は、元係長の上村被告ら主要な関係者が公判段階で次々と供述を覆した点に首をひねった。「元係長が『(検事が取り調べで)自分の話を聞いてくれない』と不満を抱いていた。物証の少ない特捜事件では、信頼関係を基に話をさせて心証を得ないといけないのに信じられない」
 別の幹部は「チェック機能が働かず、特捜部の暴走を止められなかった。下の報告をうのみにせず、幹部が『これに反する証拠があるんじゃないか』とチェックしないと」と指摘する。また「パソコンで簡単に情報を得られる時代の影響なのか、最近の若い検事は聞いた話が本当なのか吟味せず、つなぎ合わせて簡単に調書をつくってしまう。供述の裏付け捜査など、当たり前のことができていない」と若手の教育に言及する首脳もいた。
 とは言え、一部で捜査の不備を認めつつ「完全無罪」を疑問視する声もある。ある幹部は「元係長が独断で偽造し、上司の村木さんは何も知らなかったのか。この事件は『金太郎あめ』のように、どこから切っても必ず無罪になるとは言えない」と語る。
 判決の指摘を受け入れて無罪を確定させるのか、それとも控訴に踏み切るのか。大阪高検のある幹部は、証拠請求した8人の捜査段階の供述調書計43通のうち34通が採用されなかったことを問題視。「これだけ多くの供述調書が証拠採用されなかった例はない。(裁判官の)法令違反ということも考えられないか検討し、対応を慎重に協議する」と話す。
 一方で「高裁で逆転有罪に持ち込める見込みがあるなら控訴するが、あくまで証拠で判断すべきだ」との意見もある。不採用とされた調書については「客観的な証拠と矛盾している以上、高裁が採用してくれる可能性は低い」との見方も。過去には、捜査にミスがあり1審で無罪とされた事件で、控訴を断念したケースもあった。
毎日新聞 2010年9月11日



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 【社説】村木元局長無罪 説明せよ 検察の暴走 
2010.9.11 中日新聞 

特捜の捜査がこれほど否定された判決もないだろう。厚生労働省の公文書偽造事件で村木厚子元局長に無罪が言い渡された。裁判員時代にこのずさんである。検察当局はよく調べ説明すべきだ。
 公判で大半の調書が不採用となった時、私たちは「特捜検察は猛省せよ」との見出しで捜査のずさんさを憂えた(五月二十九日)。その裁判の判決理由は「供述調書は信用性が高いといえない」「客観的証拠と符合しない」と何度も指摘し、言い換えれば丁寧に捜査の矛盾を列挙した。これが精鋭とも呼ばれる特捜が手掛けた捜査への評価だった。
 元局長の部下の元係長らの供述調書の大半は「誘導された疑いがある」と証拠採用されず、この日の無罪判決は想定はされていた。
 それにしても、裁判が明らかにした捜査の実態は恐ろしくなる。
 自称障害者団体が郵便割引制度を悪用しようと民主党の石井一参院議員に口利きを頼み、キャリア官僚の村木元局長が部下の元係長に偽の証明書を発行させた-。大阪地検特捜部のシナリオは壮大だった。しかし事実を丹念正確に積み上げていたなら、自分たちの誤りに気づいたのではないか。
 村木元局長は一貫して否認したが、取り調べは当時の上司や部下らから、時には強引に、都合のいい供述だけを集めた。村木元局長の指示を供述調書では認めたとされた元係長は「違うと言ったが、聞き入れてもらえなかった」と、弁護士差し入れの被疑者ノートに書きとめていた。
 元係長のフロッピーディスクに実際に残っていた偽証明書の作成日は、「指示された日」より前だった。これらは裏付け捜査で容易に分かったはずだ。
 この事件は裁判員裁判の対象犯罪ではないが、もし裁判員裁判で捜査機関の出す証拠がずさんだったのなら、と考えれば怖くなってしまう。警察や検察の取り調べをすべて録音録画する全面可視化への動きは時代の要請でもある。
 特捜は、政財界の汚職や経済事件を手がけることが多い。証拠の乏しい密室の犯罪では供述を引き出すことが重要になる。しかしだから誤れば社会的影響は大きく、綿密に供述などの証拠を照合する慎重な姿勢が当然、必要になる。それを忘れては国民を裏切ることになる。
 特捜が国民の信頼を回復しようとするなら控訴よりも、なぜ暴走したのか、なぜ防げなかったのか、検証しぜひ説明すべきだ。


 社説:元厚労局長無罪 検察捜査の徹底検証を 

 大阪地検特捜部が摘発した障害者団体向けの料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、厚生労働省の元局長、村木厚子被告に対し、大阪地裁は検察の描いた構図をことごとく否定した上で、無罪を言い渡した。検察は、捜査の問題点を徹底的に洗い直し、国民の信頼を取り戻さなければならない。
 実体のない障害者団体が、厚労省から偽の証明書の発行を受け、企業のダイレクトメールを大量発送して、郵便料金約80億円の支払いを免れたというのが事件の内容だ。検察は、国会議員が口添えした「議員案件」だったと主張し、村木元局長が部下の元係長に偽の証明書の作成を指示したとして、虚偽有印公文書作成の罪などで起訴した。
 判決は、元係長が独断で偽の証明書を作成したことを認めた上で、元局長との共謀を明確に否定した。検察が描いた「議員案件」との筋書きも退けた。
 元局長は一貫して無罪を主張し、関係者も法廷で、元局長の関与を認めた捜査段階の供述調書の内容を相次いで覆す証言を行った。
 裁判では、検察が取り調べの経過などを記したメモをすべて破棄していたことも明らかになった。メモは最高裁が「捜査上の公文書」との判断を示し、最高検も「適正な管理」を全国の高検、地検に通知していたという。調書の任意性を立証する上で、廃棄はいかにも不自然に映る。
 一方で、元係長が拘置中に取り調べ内容などを記録した「被疑者ノート」の記述は、元局長の関与を否定した法廷証言と合致した。今回の裁判は法廷で示される証拠をより重視する裁判員裁判の対象ではないが、判決は客観的証拠に基づき法廷証言の信用性を認め、検察の供述調書の大半を裏付けが不十分と退けた。
 「密室の犯罪」を扱う特捜検察では、関係者の供述を積み重ねる手法が常道とされる。ただ、捜査の過程で、自ら描いた構図と異なる供述が出ても軌道修正されにくい。今回の判決は特捜検察の捜査手法のあり方を厳しく問う結果になった。
 捜査の透明性を確保するうえで、取り調べの全過程を録音・録画する可視化の実現が急務である。千葉景子法相はコスト面などを理由に可視化の対象事件を限定して法制化する方針を示しているが、限定することが妥当なのか、幅広い論議が必要だろう。
 元局長は逮捕から5カ月以上も身柄を拘束された。起訴後も長期間にわたり拘置されたが、逃亡や証拠隠滅の恐れがあったのか疑問を抱かざるを得ない。元局長の身体的、精神的な苦痛は計り知れない。検察は控訴を断念し、元局長の一刻も早い名誉回復を図るべきだ。
毎日新聞 2010年9月11日 


 社説:村木氏無罪―特捜検察による冤罪だ 
2010.9.11 朝日新聞

 あらかじめ描いた事件の構図に沿って自白を迫る。否認しても聞く耳をもたず、客観的な証拠を踏まえずに立件する。郵便不正事件での検察の捜査はそんな強引なものだった。
 大阪地裁は昨日、厚生労働省の局長だった村木厚子被告に無罪を言い渡した。村木被告は、郵便割引制度の適用団体と認める偽の証明書をつくり、不正に発行したとして起訴されていた。
 村木被告は大阪地検特捜部に逮捕された当初から容疑を否認し、一貫して無実を訴えていた。判決は証拠とかけ離れた検察の主張をことごとく退け、「村木被告が偽証明書を作成した事実は認められない」と指摘した。
 検察は、ずさんな捜査を深く反省すべきだし、村木被告の復職をさまたげるような控訴はすべきでない。
 偽証明書は、村木被告が障害保健福祉部の企画課長の時、障害者団体として実態がない「凛(りん)の会」に発行された。企画課長の公印が押されており、村木被告の容疑は、部下だった係長に偽造を指示したというものだった。
 係長は捜査段階で容疑を認めたが、公判では村木被告の指示を否定した。取り調べで係長は、偽造は自分の判断だと訴えたが、検事は取り合わなかった。参考人だった厚労省職員らも公判で強引な取り調べの実態を証言した。
 大阪地裁は係長らの調書を信用せず、証拠として採用しなかった。検察側の立証の柱はもはや失われていた。
 特捜部が描いた構図は、「凛の会」会長が民主党の国会議員に口添えを依頼し、厚労省では「議員案件」として扱われていた、というものだ。
 だが、議員会館で口添えを頼んだという当日、その議員はゴルフ場にいたことが公判で明らかになった。特捜部はそんな裏付けすら怠っていた。
 検察の捜査をめぐっては、東京地検特捜部が1993年に摘発したゼネコン汚職で、検事が参考人に暴行を加えて起訴されるという不祥事が起きた。その後も、特捜部に摘発された被告らが「意に反した調書をとられた」と公判で訴えるケースは少なくない。
 特捜検察に対する国民の信頼が揺らいでいるということを、検察当局者は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。
 特捜検察はかつてロッキード事件やリクルート事件などで、自民党長期政権の暗部を摘発した。政権交代が可能になったいまでも、権力の腐敗に目を凝らす役割に変わりはない。
 冤罪史は「自白」の強要と偏重の歴史である。今回の事件もその列に加わりかねなかった。
 検察は、これを危機ととらえねばならない。弁護士や学識経験者も加えた第三者委員会をつくって検証し、取り調べの可視化などの対策を打つべきだ。それとともに報道する側も、より客観的で冷静なあり方を考えたい。 



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