みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

『脱アイデンティティ』(上野千鶴子編)/『at[あっと]2号』連載「ケアの社会学」

2005-12-28 17:27:19 | ジェンダー/上野千鶴子
ひさしぶりに会った友人から
「みどりさんて、ようわからん人や
とずっと思っとった」と言われた。

やりたいときにできることをしてきただけなのに、
「会うたびに変わっててつかみどころがない」
「あなたのアイデンティティは一体なんなの」と
親しくなったころに友人からけっこう言われてきた。

小さいころから、他人様だけでなく、
家族からも「変わった子」と言われつづけたわたし。
生き延びるために、その場その場を切り抜けてきた。

「アイデンティティ?そんなもんないよ」と答えるかわりに、
「あなたの知ってるわたしが、わたし」
と煙にまいてきた。
アイデンティティなんかなくったって、
わたしはちっとも困らない。

上野千鶴子[編]の最新刊、『脱アイデンティティ』。
(上野千鶴子編/勁草書房/2005.12.20)


人はアイデンティティなしでは生きられないのか?
一貫性のある自己とは誰にとって必要なのか?
賞味期限切れの概念に問題提起。


一読して、帯のコピーに共感した。

先日、上野さんの研究室におジャマしたとき、
できたてのホヤホヤを「はい」と手渡された。
表紙と目次をぱらぱらと見ただけでおもしろそう。

アイデンティティの理論の革新は、アイデンティティ強迫や統合仮説と対抗してきたが、それらの努力は、「宿命」としてこの強いられた同一性から逃れたい、または逃れる必要があると考える、(少数派の)人々によってこそ担われた、と。

「版元から送ってあったから」ということで
本はするりとわが手から抜け・・・・・。

読みたくてたまらなかったが、がまんガマン。
家に帰って、届いていた本をいっきに読んだ。


『構築主義とは何か』(上野千鶴子編/勁草書房/2001)の続編にあたるこの本は、1章から8章まで内容も執筆者も多彩である。『下流社会』(光文社/2005)の三浦展さんも、わたしが好きな『民が代斉唱』(岩波書店/2003)のチョン・ヨンヘさんも書いている。他の執筆者は、伊野真一、浅野智彦、斎藤環、平田由美、小森陽一、千田有紀さん。千田さんと伊野さんは『構築主義とは何か』にも執筆している。
「序章 脱アイデンティティの理論」と「終章 脱アイデンティティの戦略」を編者の上野さんが執筆している。

 アイデンティティの理論そのものが解放的であったり、抑圧的であるわけではないように、脱アイデンティティの理論そのものが解放的であったり、抑圧的であるわけではない。脱アイデンティティは、ある種の人々からは「病理」と見えるだろうし、べつの人々にとっては、「解放」と見えるだろう。・・・・・・ツールとしての社会学的理論は、文脈に応じて、どんな使い手にも奉仕する。だが、最後にもう一度確認しておきたいことがある。たとえそれが意図に反した利用をされることがあったとしても、どのような理論も、それを必要とする切実な動機づけを持った人々の努力によって、つくられ、変容してきたのだ、と。 <終章 脱アイデンティティの戦略>より

「脱アイデンティティ」を「解放」の理論と見るわたしは、
どうやら「病理」とウラオモテ/紙一重の人生を生きてきたらしい。

『脱アイデンティティ』が読めなかったので(笑)、
新宿の紀伊国屋で『at[あっと]2号』を買った。



活字中毒のわたしは、ホテルと新幹線で、2度読んだ。
さいしょは本の全部を。2度目はじっくりと、
上野さんの連載「ケアの社会学」だけを。

今回は《第一章 ケアに根拠はあるか》

1 なぜ高齢者をケアするのか?
2 介護は再生産労働か?
3 階層問題としての介護
4 家族介護とは何か
5 援助は正当化されるか?
6 家族に介護責任はあるか?


『at[あっと]1号』「序章 ケアとは何か?」
(10/6付記事)はこちらから


今回の論文に引用されている
『資本制と家事労働 マルクス主義フェミニズムの問題機構』
(上野千鶴子著/海鳴社/1985)がなつかしい。
わたしがさいしょに読書会をした本だ。




「解放の理論というものは社会の理論を必要とする。」

「フェミニズムは、
未だないものをあらしめようという、理論的・実践的な営為である。
社会の作りかえのために、社会をとらえる理論的な枠組み自体を
作りかえようと模索する運動である。」


このとき、
上野さんの理論を学ぶとこころに決めた。

「思えば遠くにきたもんだ」。


PS:るなさんの苔玉、元気です。

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9 コメント

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私もこの本気になる! (店長 キクチ)
2005-12-28 17:36:20
「脱アイデンティティの理論」気になります!アイデンティティの言葉に意味すらあいまいですが、なんか気になる…。探してみようかな。
変わり者。爆 (のんP)
2005-12-28 22:34:29
みどりさん、こんばんは。

お見舞いの言葉嬉しかったです☆



アイデンティティにこだわりすぎると

逆に自分を見失ってしまいますよね。

私もつくづく変わり者と呼ばれてばかり

ですが、自分らしくいるのが1番かな

と思うことにしてます。
「人」 (テルテル)
2005-12-28 22:43:01
私が知っているみどりさんが「私にとってのみどりさん」だ。それで良いと思っています。



つかみどころがないというのは、当たっていないよ。



そうじゃあなくて自分に正直に生きているから、人にはそう見えるのでは・・・



とびっきりまっすぐ生きているもん。嘘をつかないその人が、私はステキだと思っています。



本。 (るな)
2005-12-28 23:57:49


「解放の理論というものは社会の理論を必要とする」

「フェミニズムは、

未だないものをあらしめようという、理論的・実践的な営為である。

社会の作りかえのために、社会をとらえる理論的な枠組み自体を

作りかえようと模索する運動である」



声に出してゆっくり反芻しました。



姿勢を正して、頭の中をフル回転させるような本、最近読んでないなぁと、また反省。



苔玉、元気で嬉しいです。











コメントありがとう。 (みどり)
2005-12-29 10:11:35
★店長 キクチさん

こちらもコメントうれしいです。

ちょっとむずかしいけど、おもしろいですよ。というより、深く考えさせられる本です。

初版は完売と、どこかで見ましたが、ぜひお読みください。



★のんPさん

胃腸かぜ、はやめに治ってよかったですね。?体調が悪いのはつらいですから。

アイデンティティに拠ってたつのではなく、「わたしらしく」生きられたらいいですよね。「わたしはわたし」と。

変わり者同士は気があいそうですね。







うれしい。 (みどり)
2005-12-29 10:33:34
★テルテルさん

そんなこと言ってくれるのはあなたくらいで・・・・でもうれしい。みかけによらずシャイなもんで、誤解されやすいのかもしれません。自分では「気配りのひと」と思っているのですが(笑)。

こどものころは「うそつき」でした。「ほんとのこと」なんて信じてなかったし、言ったこともなかった。である日、めんどくさくなってやめたんです。「ひとはひと、わたしはわたし」とね。その後は「危険なほどの率直さ」。でもウソも時々は自覚的につきますよ。「うそも方便」ってね。(笑)。

ところで、この本読みましたか?感想聞きたいな。
ことばの力 (みどり)
2005-12-29 10:46:40
★るなさん

20年前にわたし「上野さんの言葉と恋に落ちた」んです。それからおちっぱなしで(笑)。

あなたなら分かると思うんですが、言葉のちからっておおきいですね。

言葉はひとを生かすことも殺すこともある。だれかがわたしを「好き」というか「きらい」って言うかで、人生変わりますから。さんざんひとを傷つけ、傷ついてきたから、そのことに自覚的でいたいですね。
まだです (テルテル)
2005-12-29 21:56:20
夜の2時にやっと原稿を書き終えました。苦戦しました。



そこで、今日は台所の大掃除をしました。換気扇を洗って、レンジを磨いて壁の汚れを取って・・・

主婦して疲れました。



本はまだ読んでいません。正月休みに読もうと思っています。読み通せるかな。不安がよぎります。



みどりさんはもう読みました?



はーい、読みました。 (みどり)
2005-12-31 00:07:03
★テルテルさん

わたしは届いてすぐに読みましたよ。論文ばかりではないので、比較的読みやすいです。

もう一度じっくり読もうと思ってたら、上野さんのファンの子に、さきほど「これ読みたかったの。貸して」と持ってかれました。

わたしも今日、黒豆を煮ようと思ったら、目の前のレンジの前のタイルがあまりに汚いので、ここだけきれいにしました。白いタイルに黒の目地にしたのはいったいだれだ!

換気扇には手が届きませんでパス。主婦してません。

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