みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

朝日社説:もんじゅ―開発はあきらめる時だ/放射能対策―もっと広く多く検査を/イオンも汚染牛肉を販売

2011-07-16 20:21:51 | 地震・原発・災害
暑い! 熱い! あついですねー。

梅雨が明けて、太平洋高気圧が強くなって、連日の猛暑。

昼間は涼しいところにいるのがいちばん、ということで、
一昨日は伊吹山に、昨日はイオンに買い物に行きました。

夏バテにならないように、とイオンでなにかお肉を買おうということになって、
肉体労働をするので、疲労回復物質を含む鶏の胸肉を買いました。
そのイオンでも、放射性セシウムで汚染されている牛肉を売っていたと知って、
少し寒くなりました。

イオンではないのですが、岐阜県の高山市でも愛知県一宮市でも汚染牛肉は売られていて、
もはや問題は全国規模、だれがいつ食べてもおかしくない状況です。

いまは牛肉だけが問題になっていますが、豚肉や鶏肉も餌が放射能で汚染されない保証はありません。

セシウム汚染牛肉300キロ、イオン14店販売 

福島県浅川町の畜産農家が出荷した牛の肉から国の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された問題で、大手スーパーのイオンは16日、4月27日から6月20日までの間に、この農家が出荷した42頭のうち5頭の肉を計307・7キロ・グラム販売していたと発表した。
 東京、石川、神奈川、千葉、静岡の1都4県の計14店舗で、厚生労働省が15日に42頭の個体識別番号を公表したことを受けて調査した結果判明した。
 イオンは16日、農林水産省が畜産農家に対し、稲わらの購入・保管状況の調査を求めた東日本の1都10県の肉牛については、19日から仕入れ前に独自に全頭検査を実施すると発表した。「トップバリュ」のプライベートブランド(PB)で仕入れている牛については、全国で全頭検査を実施する。また、9月以降はイオン直営の食肉売り場で販売する国産牛を段階的にPB商品に切り替えていく方針だ。
 また、ダイエーは都内で経営している食品スーパー2店舗でこの農家が出荷した牛の肉を販売していたことを明らかにした。肉の販売期間や量は調査中だという。
(2011年7月16日19時41分 読売新聞) 


 放射能対策―もっと広く多く検査を
2011年7月16日(土) 朝日新聞

牛のえさの稲わらから、高濃度の放射性セシウムが検出された問題が、福島第一原発から遠く離れた福島県南部や宮城県へと広がった。
 福島県南部の浅川町から出荷され、東京都や山形県に流通した牛の肉からも、国の基準を超えるセシウムが見つかった。
 つい先日、福島の緊急時避難準備区域内の農家の牛からセシウムが見つかり、稲わらが原因だと特定されたばかりだ。
 原発から遠く、牛の出荷時の検査対象でなかった農家でも基準に触れたことで、福島県が農家に対して、牛の出荷の自粛を要請する事態に陥っている。
 予想を超えた放射能汚染の広がりは、検査体制の不十分さをあらわにした。それだけに、関係者の衝撃は計り知れない。
 基準を上回る放射性物質を含む食品から、消費者をどう守るのか。同時に、安全な商品を出荷し続けている生産者への悪影響を、どう防ぐのか。政府も自治体も至急、可能な限りの手を打つ必要がある。
 まずは出荷された牛肉の追跡だ。個々の牛につけられる個体識別番号が公表された。小売業者や消費者も注意してほしい。
 農林水産省は東北、関東の畜産農家のえさの保管状況を調べ始めたが、稲わら以外も要注意だ。福島県が打ち出した解体処理後の肉の全頭検査も、政府は支援してほしい。
 「稲わら」が私たちにつきつけたのは、放射能対策の難しさであり、今後しばらくは食品に含まれる放射性物質と向き合わねばならない現実だ。
 だからこそ、もっと検査体制を充実させる必要がある。「地域」と「品目」を組みあわせ、出荷前に調べる仕組みを、より広範に、より多様に実現するしかない。そのために機器や要員を拡充するのは当たり前だ。
 すでに野菜や果物、牛乳、水産物、茶などに対象は広がっている。何らかの検査をしているのは東日本のほぼすべての都道県と、西日本の一部に及ぶ。
 しかし、これからどんな食品にまで広がるのかは、まだ見通せない。不安を解消するには、安全で安心な商品だけが流通する環境を整えるしかない。
 消費者への情報提供も、もっと工夫できる。ある品目で基準を上回ると、専門家が「相当な量を食べ続けても大丈夫」と言うことが多い。だが、そんな品目がここまで増えれば、どうしても心配は募る。
 どんな組み合わせで、どれだけ食べていいのか。とくに子どもは大丈夫なのか。消費者の疑問に答えることも国の仕事だ。  



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汚染牛肉と直接は関係ないと思える、もんじゅの話。

今回、稲わらが汚染されていた白河市は事故を起こした福島原発から70キロ、
全市での放射能汚染が問題になっている福島市は約60キロです。
これはもんじゅと岐阜県の都市部との距離とほぼ同じ。

ちょっと想像力を働かせば、だれにでもわかるのですが、
高速増殖炉「もんじゅ」が事故を起こせば、
わたしたちはいつでも、福島や白河のようになる可能性があるのです。

とこんな記事を書いていたら、福井県のおおい町の大飯原発で、
緊急炉心冷却装置(ECCS)系統にトラブルがあり主導で原発を停止、
のニュースが飛び込んできました。

このニュースで背筋が、ぞっと寒くなりましたね。

社説:もんじゅ―開発はあきらめる時だ 
2011年7月16日(土) 朝日新聞

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)をめぐる高木義明文部科学相の発言が、波紋を呼んでいる。
 高木氏は昨日午前、もんじゅについて「廃止とか、単純に継続とかではなくて、全体的なエネルギー政策の中で結論がおのずと出てくる」と述べた。
 それが「開発中止を含め検討」と報じられたのを受け、夕方、改めて記者会見し、「中止なんて一言も言っていない」としつつ、「議論に予断は持つわけにはいかない」と語った。
 未曽有の原発事故を起こし、原発依存を下げていく以上、政府がもんじゅのあり方を問い直すのは当然のことだ。
 高速増殖炉(FBR)はプルトニウムを燃料にし、運転しながら燃料を「増殖」させる原発だ。この「夢の原子炉」によってエネルギーを支える構想を、核燃料サイクルとよぶ。
 かつては多くの国が核燃料サイクルの実現をめざしたが、技術的な難しさ、コストの高さ、プルトニウムを扱うことによる核拡散の問題を理由に、欧米はほぼ撤退した。
 日本の計画も遅れに遅れている。1970年代には「95~2005年ごろに実用化する」という計画を描いていたが、現在の原子力政策大綱では「50年ごろまでに実用化」としている。
 もんじゅは初発電から間もない95年12月に冷却材のナトリウム漏れ事故を起こした後、ほとんど稼働していない。すでに9千億円以上を投じ、停止中も1日5500万円の維持管理費がかかる。
 しかも、もんじゅは原型炉であり、この次に実証炉、実用炉と続く。実証炉をだれが主体になってつくるかも未定だ。つくるとしても、もんじゅとは違うタイプになる。実用化の見通しは立たない。
 日本の原子力開発の歴史において、普通の原発(軽水炉)が外国から丸ごと輸入されたのに対し、もんじゅは国産開発のシンボルだった。
 しかし、もんじゅで冷却材に使われるナトリウムは水と爆発的な反応をするため、制御が難しい。事故が起きた場合の危険性は極めて高い。
 私たちは13日付の社説特集「提言 原発ゼロ社会」で、核燃料サイクル計画からの撤退を求めた。もはや巨額の予算をかけてFBRの開発を進める意味は乏しい。FBRはあきらめ、もんじゅは廃炉にすべきだ。
 FBR時代が来ない以上、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理事業も、根本的に見直さなければならない。
 


 論説:文科相のもんじゅ発言 軽薄な議論に巻き込むな
 
2011年7月16日 福井新聞

  たとえ、それが本質的な問題を含んでいようと、手法を誤れば、多様で有効な議論を喚起しない。菅直人首相の「脱原発依存」発言に誘発されたのか、高木義明文部科学相が記者会見で高速増殖炉「もんじゅ」について当初、開発中止を含め検討する考えを明らかにした。
 福島第1原発事故を受け、今後の原子力政策と、エネルギー基本計画の見直しが大きな政治課題になっており、もんじゅをその俎上(そじょう)に載せるのは当然のことである。だが、拙速に廃止か継続かを判断するのは無責任な政治手法である。もし、可否を問うならしっかりと原子力政策の基本から議論を積み重ねていくのが筋であろう。
 会見内容が報道されると、文科相が慌てて釈明、「全体的なエネルギー政策の中で、もんじゅについても議論がおのずと出てくるとの考えを示した」とのコメントを発表し、事態の収拾を図った。発言に責任と覚悟がないのは困ったものだ。
 菅首相は5月の時点で核燃料サイクルの見直しに言及。海江田万里経済産業相も6月、停止中原発への「安全宣言」で再稼働を促した際も、もんじゅだけは「例外扱い」とする方針を示した。2011年版の科学技術白書でもこれまでの「高速増殖炉の実証施設を実現する」という記述を削除するなど、開発路線の後退が目立ってきた。
 突然の大臣発言はその延長線上にあるのだろう。しかし、議論の前提も、説得力もない。どう言葉を取り繕ろうとも、高速増殖炉開発に貢献してきた本県や地元敦賀市が当惑し、抗議するのは当然だ。
 言うまでもなく、もんじゅ開発は剣が峰にある。試験運転段階でナトリウム漏れ事故を起こし、約14年5カ月停止した。今年5月の運転再開から3カ月半後、原子炉容器内で大型装置が落下して再び停止。原型炉として知見を蓄積し、実証炉、商業炉につなぐという使命を十分果たしているとは言い難い。
 高速増殖炉は核燃料サイクルの中核を担う。少資源国として効率的なエネルギー確保は大切な観点である。とはいえ、建設費や運営費に膨大な費用を要し、これまでの総事業費は1兆円近くに達する。サイクルの一つである青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場は試運転段階で大幅に遅延。たまるプルトニウム消費のため軽水炉でプルサーマルを実施しているが、燃料の利用効率が低く、安全性をめぐっても反対住民らの厳しい声がある。
 開発の入り口でもたつく高速増殖炉。今回の過酷事故で原子力政策が揺らぎ、先行きが一層不透明になった。それゆえ「個人的発言」とした菅首相の「脱原発依存」論と切り離し、多様な観点から熟議し総合的に判断していく必要がある。
 科学技術立国として、これからのエネルギー政策をどうするのか。本県のエネルギー研究開発拠点化計画など立地地域の地道な取り組みをどう評価し、政策に反映していくのか。岐路に立つ国策の重要な選択である。「死に体内閣」にビジョンはない。あくまで新たな政権の下で論議を深めていくべきだ。


福井・大飯原発:1号機、手動停止 緊急冷却系故障、再稼働は未定 

◇関電管内、電力不足が大幅拡大
 関西電力は16日、調整運転中の大飯原発1号機(福井県おおい町、加圧水型、出力117・5万キロワット)で、緊急炉心冷却装置(ECCS)系統にトラブルがあり、同日夜に原子炉を手動停止して原因を調査すると、福井県に伝えた。再稼働の見通しは立っておらず、8月の最大電力(需要)に対する不足分が大幅に拡大し、関電が要請している節電などにも影響を及ぼす可能性がある。【安藤大介、横山三加子】
 関電は、1号機を営業運転に移行するため準備していた最終検査の申請作業をストップする。
 県や関電の発表によると、15日午後10時46分ごろ、4系統あるECCSのうち1系統で、非常時に原子炉内に1次冷却水を注入する水圧を調節するための「蓄圧タンク」の圧力が約2割低下し、警報が鳴った。タンク内に窒素を補給して約1時間後には基準値に戻したが原因が分からず、原子炉を停止して詳しく調べる。
 関電は東日本大震災発生前日の3月10日に1号機の原子炉を稼働。地元の意向に配慮するとして、試運転にあたる調整運転のまま4カ月以上フル出力で発送電してきた。関電が近く計画していた営業運転について、県や同町が容認する意向を示していた直後の運転停止となった。
 関電が同県内で運転する原発11基のうち、既に4基が定期検査のため停止している。来週には更に2基が、定期検査のため運転停止する。

 ◇来週、2基定期検査
 関電にとって大飯1号機の停止は痛手。「需給バランスが厳しくなるのは事実」と、事態の深刻さを認めている。
 関電の7月の供給力は3166万キロワットだったが、大飯1号機の停止で3048万キロワットに低下することになる。今月21、22日には高浜原発4号機と大飯原発4号機が定期検査入りするため、供給力は2983万キロワットにまで下がる。
 中国電力から融通を受けている35万キロワットについても、8月のめどは立っておらず、結局、8月の供給力は2931万キロワットに。関電が想定する7、8月の電力需要は3138万キロワットで、8月の供給不足は、これまでの想定の2・8%から6・6%に拡大する。
 関電は7月1日から家庭や企業に15%程度の節電を要請し、その効果から「(夏場を)なんとか乗り切れる」(森詳介会長)と判断。鉄道各社への間引き運転を含めた追加的な節電要請を見送ったが、大飯1号機の運転停止が続けば、一層の節電徹底を求めざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。【横山三加子】

 ◇「供給厳しい」--細野原発事故相
 福島県を訪問している細野豪志原発事故担当相は16日午前、大飯原発1号機がトラブルにより停止されることについて「関西の電力の需給環境はもともと極めて厳しかった。予備の供給力があるか精査しなければならないが、非常に厳しくなったことは間違いない」と述べた。
 15日に保安院が手法を公表した安全評価については「停止中の原発を1次評価、運転中を2次評価の対象と位置付けているが、(調整運転中に停止される)大飯原発1号機をどう位置付けるかは微妙。検討が必要だ」と指摘した。【関東晋慈】
毎日新聞 2011年7月16日  



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