みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

おばあさんの世紀が到来?!/「おひとりさまの老後」よみうり堂書評

2007-10-18 12:12:00 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日は、「ウィルあいち」で「む・しネット」スタッフ会。

12月2日の上野千鶴子さんの講演会フォーラムの準備などを打ち合わせ、
5時からは会場となる「大会議室」の下見をした。

帰ってきたら、
FAXで「おひとりさまの老後」の書評が2枚、届いていた。

10月17日のよみうり堂(読売新聞夕刊)「ベストセラー怪読」に
掲載された『おひとりさまの老後』書評。

タイトルは、「おばあさんの世紀が到来?!」、
評者は森健さんというジャーナリスト。
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  「ベストセラー怪読」 森健(ジャーナリスト)
『おひとりさまの老後』上野千鶴子著(法研、1400円)


おばあさんの世紀が到来?!

 2030年には、人口の約3割(!)が老人。日本の未来は人類史上例のない超高齢化社会だ。そんな未来を前に、自身の行く末を心細く思う人もいるだろう。とりわけ配偶者や子どもがいない独り身の女性であればなおさらかもしれない。
 でも、独り身も悪くないわよ、と肩をたたいてくれるのが本書だ。フェミニストで知られる著者は自身がその「おひとりさま」。老後が他人事ではなくなったのが執筆のきっかけだ。
 読み出してすぐ気づくのは全編を貫く明るさだ。寂しい話になりがちなのに何故?と思うが、著者にとってこんごは仲間が増える時代。なにしろ65歳以上の女性では55%、80歳以上では33%が独身なのだ。「21世紀はおばあさんの世紀」と胸を張る所以だ。
 内容はどこでどう暮らすかという住居の問題からはじまり、お金の工面、介護の受け方、遺産や死後の対応など、末期の備えへと展開する。専門誌的な詳細さはないが、取材した大先輩たちの実例や新しい取り組みが盛り込まれている。
 シングル女性用のコレクティブハウスを運営して暮らす人もいれば、八ケ岳の山荘で1人暮らす人もいる。また、持ち家を担保に生活費を調達するリバースモゲージ制度や、数十人でお金を出資して基金とするトンチン年金といったお金の知恵も紹介される。
 ただし、一番大事なメンタル部分は昔も今も変わらない。すなわち、いつでも連絡をとれる友人を多くもっておくことだ。そうすれば話し相手に困らないばかりか、孤独死も防げる。それが将来の女性の強みであることを思えば、たしかに老後は明るそうだ。
 一方、男性は老後も独りになりがちだ。離婚されれば年金も減るし、生活力は低い。男性が本書を読むと一層切なくなるかも・・・・・。
◆17刷21万部。
(2007.10.17 読売新聞)
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『新潮45』11月号の「読まずにすませるベストセラー」にも、
『おひとりさまの老後』のことが取り上げられている。
こちらのライターも男性。

逆転の発想で老いを捉えた第一級の老い方論
『おひとりさまの老後』上野千鶴子(法研、1400円)
 


 「泣く子も黙るあの上野千鶴子センセの本だから、そのゲキたるやさぞかし女性の単身"主義者"たちを煽る声高なものかと思ったが、ここでの"おひとりさま"は男性にも十分当てはまり、センセの小気味よいゲキを女性たちだけに独占させておくのがもったいないほどだ。男が読んでもまことに面白い。」

「文意明晰、アフォリズムのような知恵も随所にちりばめられ、
まずは第一級の老い方論と見た。いや本当に。」
 
とベタぼめだ。

中高年男性にけっこう売れていると聞いたけど、
「おひとりさまの老後」は、きっと他人事ではないのだろう。

そういえば、
10年前、阪神大震災がおきたとき、
わたしたちは、被災者の受け入れをしたいと、いち早く現地に入って
医薬品などの救援物資を運びがてら、
各地の避難所にポスターなどをはって呼びかけたけれど、
じっさい、岐阜に避難したいと連絡してきたのは、
ほとんどが「おひとりさま」のわけあり男性だった。

わたしたちは「子連れの女性」を助けたいと思っていたのだけど、
女たちは、それまでのネットワークでたすけあい、
避難所でもさほど孤立していなかった。

岐阜にやってきた「おひとりさま」男性は、
「生活力が低い」だけでなく、
ひととのコミュニケーションや、ネットワークの作り方が下手だった。

岐阜を離れて、かれらはいま、どこで暮らしているのだろう。

『おひとりさまの老後』を読ませてあげたいものだ。


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