緑川鷲羽(改名、上杉(長尾)景虎) 上杉奇兵隊日記「草莽崛起」<上杉松下村塾>

政治経済教育から文化マスメディアまでインテリジェンティズム日記

GREENEAGLE緑鷲直2伝説の天才ウィザード級ハッカーVSファイヤーウォールとパンドラの匣

2018年01月12日 11時30分10秒 | 日記

































小説<GREEN(グリーン)EAGLE(イーグル)2>season2
 ~伝説のウィザード級天才ハッカーVSファイアーウォールとパンドラの匣~
                       
                       
                ~新たな真実!渾身の書き下ろし続編
                『伝説の天才ハッカー』の真実が甦る!
                 total-produced&PRESENTED&written by
                   UESUGI KAGETORA
                   上杉(長尾)景虎
 
          this story is a dramatic interoretation
         of events and characters based on public
         sources and an in complete historical record.
         some scenes and events are presented as
         composites or have been hypothesized or condensed.

……人は望むとおりのことができるものではない。望む、また生きる、それは別々だ。
 くよくよするもんじゃない。肝心なことはねぇ、
  望んだり生きたりするのに飽きないことだ。………
     ロマン・ローラン作『ジャン・クリストフ』より

   この物語は漫画テレビドラマ『BLOODYMONDAY(ブラッディマンデイ)』(龍門諒原作・恵広史漫画 TBSテレビドラマ三浦春馬主演)と漫画テレビドラマ『BLOODYMONDAY(ブラッディマンデイ)season2』(同)、日本テレビドラマ『怪盗 山猫』のオマージュ作品です。物語の模倣ではなく、引用です。盗作ではありません。裁判とかは勘弁してください。


** 『小説<GREEN EAGLE>天才ウィザード級ハッカー緑鷲直 続編』あらすじ
 主人公は高校生の美少女・緑鷲直(みどりわし・なお)である。高校ではいじめられっこだったが、裏のネット社会では天才・ウィザード(魔法使い)級ハッカー“GREEN EAGLE”である。その天才少女は中学生の時、米国国防総省(ペンタゴン)や米国情報局(CIA)やイギリスの情報機関・MI6、イスラエルの情報機関・モサドにハッキングして逮捕・補導された過去を持つ(現実社会では公安や警察組織等しか知られていない)。いじめっこに復讐する為にいじめっこのスマホをハッキングしたことで日本の警察庁対テロ組織2SEELDZに依頼されることになる。こうして日本へのウイルス・テロのテロ集団と戦い見事に撃退したが、その二年後、緑鷲直は新たなテロ計画に巻き込まれる。伝説の天才ウィザード級ハッカー緑鷲直VSテロ集団魔界の鬼手&セモールラ民主主義人民共和国との最後の決戦はいかに!!!……。   *******

「ハッキング」は不正アクセス禁止法違反の犯罪です。
けして模倣や行動に起こさないで下さい。この物語はフィクションです。人物名・団体名・機関名等すべて架空のものです。


1  天才・ウィザード(魔法使い)級ハッカー緑鷲直「GREEN EAGLE」


あの事件から二年後の世界である。
  確かに美少女では、ある。
主人公は浪人生の美少女・緑鷲直(みどりわし・なお)である。
直は美少女である。細い脚腕に華奢な身体で、丸い顔、白い肌、大きな瞳にまつげがびっしり生えている。背はあまり高くはない。芸能人で言えば“広瀬すず”、というところか。
 但し、性格は暗い、というか。ネクラ、である。
ちょっと鬱病気味でもある。いじめられっこである。
高校ではいじめられっこだったが、裏のネット社会では天才・ウィザード(魔法使い)級ハッカー“GREEN EAGLE(グリーンイーグル)”である。その天才少女は中学生の時、難攻不落の米国国防総省(ペンタゴン)や米国情報局(CIA)やイギリスの情報機関・MI6、イスラエルの情報機関・モサドにハッキングして逮捕・補導された過去を持つ(現実社会では公安や警察組織等しか知られていない)。
 日本は安全で治安がいい、とよくいわれる。
だが、全然、安全なんかじゃない。安全で治安がよく見えるのは密かに誰かや組織がサイバー攻撃やテロを未然に防いでいるからでしかない。
最近は日本政府や省庁のホームページが“サイバー攻撃”を受けることもけっして珍しいことではなくなった。大企業のホームページにDDos攻撃(多くの情報ネットワーク・パケットを一斉にあらゆる踏み台のPCらからそのサーバーに一斉送信してサーバーをダウンさせるサイバー攻撃)を仕掛ける輩や集団も、最近は手口が巧妙になってきている。サイバー攻撃による個人情報機密情報漏えいとか。
標的型サイバー攻撃(トロイウイルス等)、水飲み場的サイバー攻撃(HPを観ただけで“エムディビ”という新型コンピュータウイルスにより)軍事機密や企業の特許情報や政府などの機密情報が盗み取られるという。日本の被害は一年に二万件(わかっているだけで。氷山の一角)である。
ひとりでも多くサイバー攻撃に備える“ホワイト・ハッカー(正義のハッカー)”が必要だが、現実は悪質な“クラッカー(悪いことをするハッカー)”ばかりが多い。
最近の子供は、スマホは持っているがパソコンに触れたこともない、という。
まあ、スマホ(スマートフォン)は“小さなネットワークパソコン”みたいなものだからわざわざネット回線や電話線を自室にひく若い者も少なくなった、というのがどうやら結論のようである。
パソコンも操れず、スマホだけで暮らす……、どうにも創造性が見いだせない。
だから駄目なんだ、というのは簡単ではあるが。
“タダの安全”等、この現実世界に存在はしない。
誰かが汗や血を流して、この現実世界の“安全”は保たれている。金も人もいる。
この世の中の安全は“ガラスの城”に過ぎないのだ。






 いわゆる魔界の鬼手の東京都内でのウイルステロ阻止の戦いで、緑鷲直が活躍して(と言ってもマスコミには箝口令が敷かれ、関係者以外直が日本を救ったことは知らないのだが)それから二年が経過した。
一年前に緑鷲直の父親・緑鷲健太は癌で病死していた。
あれから二年が経過していたが、サイバー関係はどんどん日進月歩で発展していたが、犯罪者との戦いは“いたちごっこ”の体を示していた。
物語は極東ロシア・ウラジオストクから始まる。
白人系ロシア人の集まる教会で、休日の正午のミサにウイルス・テロ事件がおきた。
いや、起きた、というのは正しくない。
テロ集団がウイルス・テロリズムを仕掛けたのだ。真冬の最中である。
白人系ロシア人がロシア正教の教会で祈りの後、椅子に座ったりしてわいわいやっている。
「"Я на самом деле делать?"(本当にやるのか?)」
椅子に座ったニヒルなサングラスの中年男が隣の男に訊いた。
「"Ох. Это план мирового перезагрузка"(ああ。世界再起動計画だ)」
「"Разве это не шутка?"(冗談ではないのか?)」
「"Это не шутка."(冗談ではない)」
アジア系の怪しげなスーツ姿の男がいうと、事件は起こった。
だが、白人系ロシア人の子供が急に鼻血を流し始める。
そして、パンデミック(大感染)!
大人も次々に血を吐き、苦しみ始める。サングラスのロシア人男も、である。
顔や手などに天然痘のような赤い疱瘡が出来、血を流し、息絶える人物が続発する。その致死力は天然痘やエボラ的に強大だと、素人にもわかるほどである。
「"Гуа"ぐああ」
「"Uu"ううっ」
教会内は血だらけのまさに地獄絵図である。
ロシアの教会の光景は見慣れたものだったが、血だらけのウィルス騒ぎは尋常でない。男や女性や子供が疱瘡のような顔になり、血を吐いて続々と屍だらけになる。まるで本当に血だらけの地獄絵図である。防ウィルス警察隊らは息を呑んだ。遺体は血色をなくした、泥のような顔であったが、見覚えのある顔まであった。間違いなく近所の知り合いの死体である。警察隊は頭部から爪先まで、冷気が滝のように駆け抜けた。手足が目に見えて震えて、思うように筋肉に力が入らず、指は、おののきながら宙を泳いだ。
教会は隔離され、ガスマスクや防護服の警察官たちが銃を持ちながら実況見分をする。
明らかに毒ガスか毒性の強いウイルス・テロ事件である。
地元の防ウイルス服の警察機関は累々と連なる屍をみて、恐怖におびえた。
「"Тянуться к небу! Арестовать!"(手を挙げろ!逮捕する!)」
姜正日こと鈴木良純はすでに抗ウイルス剤を摂取している為か死ぬことはなかった。
だが、密告で、ロシアの警察部隊が銃を向けた。
「"KAN JONG IL"(姜正日)!」
「"Преданная Do !!"(裏切ったな!!)」
姜正日はストレスの為か病気の為かわからないが髪が白く、次第ににやにやしだした。
精神がやられているのかも知れない。
あの東京でのウイルステロのとき、日本上等医学大学で鈴木良純として緑鷲直に接触した青年であった。そう、この人物こそ魔界の鬼手の手下であった。
とにかく、二年前に日本から国外逃亡をした鈴木良純こと姜正日(カン・ジョンイル)は囹圄のひととなった。姜は朝鮮系の人種であったが、国籍が日本にあったために身柄確保後の行く先は日本となった。その手筈はまたも2SEELDZがおうことになった。
そののち、ロシアの地元政府のサーバーにはロシア語で、
「毒性ウイルス“ドロポスZ”の実験成功"Экспериментальный успех вирулентного вируса" капли Z ""」
「“魔界の鬼手”より"" Макай kishu ", чем"」
という犯行声明とも呼べる書き込みがあった。
『魔界の鬼手(まかいのきしゅ)』とは世界的に有名なテロリスト集団のことである。
一時期の『オウム真理教』のような宗教団体の狂信者たちではなく、どちらかというとIS(イスラミック・ステート・イスラム国)に近い。極めて危険な狂信者揃いのテロリスト集団である。本体は極東のある国との関連性とも疑われるが、詳しくはわからない。
“スパイ天国日本“にも拠点があるものと思われるが、いまだに詳細を、日本の公安はその尻尾を掴んでいない。二年前から有力な情報があまり集まらなかった。
日本が毎日のようにサイバー攻撃を受けて機密情報が盗まれたり、クラッキングで政府資金が盗まれているのは誰もが知るところ、だ。
この日本は恰好のターゲットである。
スパイを取り締まる法律もまともにない有様だから、だ。
そんな中、2SEELDZは日本の東京への「核爆弾テロ」を察知した。だが、どこから核ミサイルが撃たれるのか?国内か?海外のテロ国家の可能性はまだつかめていなかった。
華奢な身体に艶のある短いショートボブの髪をもった緑鷲直の、大きな黒目がちの瞳の直は、見た目では十代後半くらいだ。そんな空間の静寂に抵抗するように緑鷲直は大声を出そうとした。が、声は喘いで途切れ、目の前が紫色になり、全身から汗が噴出した。

ウラジオストクには2SEELDZの松重と松形と桐野が派遣されていた。
姜正日こと鈴木良純の身柄確保・護送の為だ。
日本の警察庁公安三課対テロ対策組織2SEELDZ(ツウ・シールズ)の背広にコート姿の課長・桐野清二、眉目で痩身な男と日本人部下は気づいた。
「お前は二年前のウイルステロ事件で上等医学大学にいた…」
「はははは、まずは2SEELDZがアドバンテージを握った訳だ。だが、チェックメイトするのは僕らだけどね」
桐野たちは鈴木を保護した。
精神を病んでいるのか姜正日こと鈴木良純はにやにやしている。
確かにインターポール(国際警察局)の「L」、LEE GABAL捜査官のいったとおりだ。
鈴木良純が姜正日(カン・ジョンイル)という朝鮮名で年齢は二十六歳と判明した。
彼は不思議な印象を与える人物だった。年は成人だが、少年のようにも見えた。精神が幼稚という話ではない。がっちりとしていない肩幅は弱々しい感じもするが、すらりとした手足が白鳥のようで翔ぶが如く、である。瞳だけが老成しているみたいな。
「ですが、課長。この男を日本に連行してどうなるというのです?」
部下の疑問ももっともである。
桐野は「それは私にもわからないが、あのLの指示だ。何かあるのかも知れない」
こうして桐野や鈴木は日本行きの飛行機に搭乗した。
飛行機の客室に爆弾が仕掛けられているとも知らずに。
見るといつも穏やかな表情を崩さない桐野の顔色がどす赤く変わっている。桐野の背筋に冷たいものが走った。重苦しくなった胸に、早鐘のような鼓動がひとつ打つごとに蓄積していく。
だが、桐野は無理に微笑みを見せた。すべてはミッションのためだ。
桐野は腹部に急激な収束感を感じた。続いて胃がキリキリ痛んだ。嘔吐感だ。足首が何故か震えている。彼の本能が危険を予見しているような不思議な感覚だったが、本人には何故震えるのかわからなかった。これが霊感というものなのか……?頭を軽くふった。

ここでもう一度日本の警察庁公安三課対テロ対策組織2SEELDZ(ツウ・シールズ)について説明せねばなるまい。文字通り対テロ対策組織である警視庁公安三課にあるのが2SEELDZであるが、なぜ2なのか?当たり前ながら防衛省の対テロ対策武装部隊組織SEELDZのサイバー的な第二の組織だからだ。SEELDZは東日本大震災の際の2011年にテロ組織“魔界の鬼手”のテロ作戦を防いでいる。
2SEELDZのオフィスは警視庁の地下であり、白い壁に一面デカイモニターが何台も設置されている。当然ながらセキュリティも厳しく、オフィスへの出入りも金属探知機とIDカード認証である。「Lの指示通りに姜正日こと鈴木良純をあの国から日本へか…」
「この平和ボケ国家日本にね」
白髪頭の長篠麻里男室長は「日本は決して“平和”なんかじゃない。平和に映るのは誰かが我々のような組織がひとしれず血や汗を流しているからさ。これは例のグリーンイーグルにまた頼む事になるかなあ」
「グリーンイーグル?何じゃそりゃ?」
防衛省からの出向の高橋秀雄一等陸尉は顔をクエスチョンマークにした。
「伝説の天才ウィザード級のハッカーですよ」
「ウィザード??ハッカー????」
高橋は中年男で、キカイは苦手である。同僚は「ウィザードとは“魔法使い”で、ハッカーとはコンピュータのハッキングをするものです」
「何だ、パソコンヲタクか。」
赤いフレームの眼鏡をかけたSEの女性・宝田は大きなパソコン画面数台から目をそらして、「それがただのパソコンヲタクじゃないんですよ。我々が6年前本当に驚きました。この2SEELDZや難攻不落の米国国防総省(ペンタゴン)や米国情報局(CIA)や英国情報局MI6やイスラエルのモサドにハッキングした日本人が逮捕・補導されて……それが何と当時中学生の少女で、当時の緑鷲健太本部長の長女で。彼女のネット上の通称がネット上で畏怖されたGREEN EAGLEでして」
「え???じゃあ、グリーンイーグルってのは?」
「そうです。当時の緑鷲本部長の娘さんです。緑鷲直。報道規制が当時かかりましたし」
「なんだって?宝田。そんなガキがそんなにすごいのか?」
「まあ、高橋さんはまだここ(2SEELDZ)に出向に来る前でしたから信じられないでしょうが。二年前の東京でのウイルステロを阻止したのも彼女のハッキングの力でした。パソコンの世界では彼女の右に出る者などいません。わたしたち経験豊富なSE(システム・エンジニア)のさらに上。まさに魔法使い級です!」
「ふん!おいおい、ガキの出る幕かよ。お遊戯会じゃねえんだ。ガキになにができる??」
「昔の松重さんと同じ事をおっしゃられるんですね?それは見ればわかります。パソコンやネットワークの進化はドックイヤーですから」
「ガキがね。ガキの遊びじゃねえんだぞ?」
「わかってますよ。」
「なあにがグリーンイーグルだ???ガキの遊びじゃねえんだ」
武闘派でPCオンチの高橋には理解出来る訳がない。



その頃、その伝説の天才ウィザード級ハッカー『GREEN EAGLE』はというと、東京都内のコンビニでバイトをしていた。
『GREEN EAGLE』つまり、緑鷲直、である。
高校は無事卒業したが大学試験に落ちて浪人生になっていた。誰も、直のことを知らない。
本当は“伝説の天才ウィザード級ハッカー『GREEN EAGLE』”である、等知る訳もない。
ただ、ただ、バイトと勉強に明け暮れていた。
惨めな浪人生であるが、数学以外はまるで駄目なんだから仕方がない。
その頃、少しだが話し相手になっていた麻倍信子は高校卒業後、東京大学に進学していた。
緑鷲直より遥かにIQの高い信子は余裕で、トップクラスの成績で東大生になっていた。
緑鷲直は馬鹿ではなかったが、パソコンの能力と数学と創造力を除けばたいした人物でもなかった。つまり、日本の学歴主義だけでいえば「たいした人物」ではない、と言えた。
しかもアスペルガーめいていて他人と懇篤に話すのが苦手ときている。
緑鷲直はあらゆる意味で障害を抱えていた。
緑鷲直の吐息に震えが混じった。黄土色にかわった自分の顔が、目に見える気がした。直は微かな望みを捨てきれずに、頭をふった。
直はもどかしさを隠しきれずに、唇を軽くかんだ。誰にもわかってもらえない。眠れない夜。つぶった眼の網膜の血管の朱色が見えるかのようだ。耳元になにかの足音が近づいて聞こえるようだ。全身は金属のようにこわばったままだ。思考さえ停止しかける。
信子は女盛りというか美女になっていた。
確かに、緑鷲直も美女ではあったが、難しい性格、であり、素敵な恋人、とは無縁である。
「お客様、長時間の立ち読みはご遠慮願えませんか?」
コンビニの本棚の所で立ち読みしていた麻倍信子に、コンビニのアルバイト店員の緑鷲直が冗談めかして言った。
ギャグのつもりだった。まだ平日の午前中であった。
「直ちゃん、待ち合わせしているだけだって」
信子はにやついた。
「まさか、デート?信子さん?」
「うん」信子は照れた。「大学の同期で…この前告白されて…」
「どんな男?イケメン?」
「うん。まあまあ、イケメン」
「まあまあ」
ふたりは顔を見合わせ微笑んだ。
相手は東大生のイケメン相田翔哉という。
頭がよくイケメンで、性格もいいと評判の青年であった。
相田翔哉は二十歳。端整な顔立ちであるが顔の彫りが浅い、いわゆるしょうゆ顔というか。がっちりした体格は男らしく、瞳だけが老成しているような不思議な感覚を与える人物だった。まあ、イケメンであり、貧乏ながらエリートでもある。
「のぶちゃん、お待たせ!」
そんなイケメン彼氏がやがて歩いてやってきた。
確かに、イケメンであった。「紹介するわ…」
そんなとき、バイト仲間の女子大生の森田明日香(20)が、「控室のPCでトラぶってPCフリーズしちゃった!緑鷲さん、パソコン直してくれませんか?!」と焦ってやってきた。けっこう可愛い顔の女性である。
だが、緑鷲直は意外なことを言った。
「ごめん。森田さん、前にも行ったけど私、コンピューターとか詳しくないの。ごめんね」
「………ださ。」
「ごめんね!」
緑鷲はいった。明日香は店舗内の控室に戻った。
信子は「…直ちゃん、あなたまだパソコンを………?」
といい、緑鷲直ほどのウィザード(魔法使い)級ハッカーだった人間が「PCのことは詳しくない」ことに、驚く、とともに、可哀想な気分にもなった。
………あれだけの事件を経験して、PCやハッキングで活躍したが……事件のことをトラウマ(心的外傷ストレス障害)にまでなったのね…。
怒りに声は震え、直は支離滅裂な言葉を叫びそうになった。逃げなければ、と焦れば焦るほど足の力は抜けもつれるばかりだ。その瞬間、直は心臓に杭を打たれたような感覚に、立ちすくんだ。山積する問題は解決できそうもない。恐怖に押しつぶされて声も出ない。
まさに、恐怖、トラウマ、であった。
「じゃあ、いこうか?」
「………うん。」信子たちはデートに出かけた。
緑鷲直はもうPCやハッキングをやめたのか????
あれだけのスキルがあったのに……??
だが、すべて嘘だった。
緑鷲直はその時も、PCはやっていた。
 バイトがおわり、狭いビル街の一畳もないようなアジトに帰ると、アジト自室の大きなパソコンでかたかたと操作を始めた。この数台のディスクトップパソコンで「振り込め詐欺」や「フィッシング詐欺」などのパトロールをひとりでしていた。
この物語の主人公緑鷲直は、ネット上の悪辣サイト摘発(内部リーク)を匿名でやっていてパトロールまでしていた。警察サイドから金をもらっている訳ではなかった。すべてはボランティである。また、2SEELDZの情報にも精通していた。
「コンピューターの事はあまり詳しくない」どころか、PCスキル、ハッキングスキルは益々磨かれていた。まさに天才ハッカー、ウィザード級ハッカーで、ある。
「ごめんね、明日香ちゃん。PCがフリーズしたらブートアップすればいいのよん」
緑鷲直はUSBをパソコンに接続した。いわゆるUSBブートといって、USBにハッキングソフトやハッキングOSが入っているUSBを起動させるのだ。
USBブートを起動させると『GREEN EAGLE』のアイコンというか双頭の緑色の鷲にGREENEAGLEと描かれたフラッシュが写る。
すぐにコマンド打ち込みの窓が出来る。
後はコマンドプロンプトでハッキングプログラムを組むのだ。
root@kali:/# find / -type f –perm –u+s- ¥;maki aratame
-twxr-sr-x 1 root utmp 432580 1月 16 2017 /usr/bin/screen
-twxr-sr-x 1 root mail 1876775 3月 24 2018 /usr/bin/lookfile
-twxr-sr-x 1 root tty 18678/fail/ntt/whois…
実は、緑鷲直は恐ろしいことに米国のPCエンジニアが何年もかかって構築した米国のスパイ情報収集システムソフト『エシュロン』の日本語版をひとりで完成させていた。スノーデンで有名になった『PRISM(プリズム)』の更に上の諜報プログラムである。
いわゆる『GEE(グリーンイーグルエシュロン)』である。
また、普通のウイルス防御システム『ファイヤーウォール(防火扉)』の数百倍の威力のいわゆる『GEFW(グリーンイーグルファイヤーウォール)』まで完成させていた。
まさに「敵に回すと怖い」人物。それが緑鷲直、であった。
そのいわゆる『GEE(グリーンイーグルエシュロン)』で怪しげな情報を検索した直は匿名でインターポール(国際警察機構)に通報した。
それが前述したウラジオストクでの姜正日こと鈴木良純のテロ計画であった。
またも直がテロリスト逮捕に貢献したのである。


 緑鷲直の父親は一年前に癌で病死していたことは前述したと思う。
また、二年前のウイルステロ事件で弟も死んでいるから直はひとりぼっちである。
確かに親戚は北海道や東北地方にいるが、直は東京を離れる気にはならなかった。
カネなら公務員だった父親の遺族年金があるし、だからアジトまで用意できたのだ。
実家も留守がちになった。
寂しいのだ。
風呂と眠る為にだけ帰るようなものだった。
実家に帰ると直はテレビをつけた。
大型のディスプレイで、父親が生前に「直が活躍した記念だぞ」と奮発して買った高額な8Kテレビだった。今では観るのは直ただひとり、である。
緑鷲直はリモコンで、テレビをつけた。
すると報道番組をやっている。
麻倍信子の祖父・麻倍晋作法相は現在、民自党の総裁・内閣総理大臣にまでなっていた。
その麻倍首相の日本国に、数日後に米国のウエリントン大統領が訪日して日米首脳会談を軽井沢のホテルで開くのだという。
また、別のニュースではセモールラ民主主義人民共和国がまた日本海にミサイルを数発発射したんだという。大きなニュースだった。
「日米首脳会談か………また事件が起きなければいいけど」
直にはひっかかる感覚があった。
いわゆる『GEE(グリーンイーグルエシュロン)』での検索結果、である。
どうも不審人物や団体がある種の危険団体が秘密裏に日本に潜伏してテロ計画を練っているような情報がわずかだが『GEE』で検索がヒットした。わずかな情報で、当然、暗号化されているメール送受信だが、これは「なにかある」と経験でわかった。
勿論、緑鷲直程ではないにしろハッキングやクラッキングの上達者もいる。
敵にだってクラッカー(悪いハッキングをする者)はいるだろう。
直には、二年前の『魔界の鬼手』といわれたテロ集団が全て壊滅したのではないことぐらいわかっていた。まだまだ“伏兵”はいる。
用心にこしたことはない。
そんな夜、アジトの防犯センサーが鳴った。
侵入者が階段をあがってくる。
………魔界の鬼手か???!!
緑鷲直は強烈なフラッシュの光を眉間に喰らった気がした。ドミノ倒しの駒が倒れるように、冷たい血が全身の血管を流れ、震えに全身がやられていく。鼓動の早鐘のような動悸が耳にきこえる気がした。そんな筈はない!そんなはずは……震えた指は宙を泳いだ。
だが、直はにやりとなった。
疑惑の情報を圧縮ファイルにして匿名で、何台ものサーバーを経由させて、警察署に送信した。これで、テロ計画もおわりであろう。
すぐに警察がやってくる。
直はアジトの物置に隠れた。
すぐに警察や2SEELDZが来る。
怪しげな男たちは姿を消した。
だが、私服警察官に拘束された。
「なんだよ!離せよ!」
「緑鷲直。警察にいい情報をありがとう。さあ、いこうか?」
「2SEELDZですか?なら渡したいものが」
「いいからこい!」
直は覆面パトカーで連行された。
直は女性なので女性警官が拘束していた。
そこは警視庁公安三課対テロ組織2SEELDZ本部だった。
「なつかしいなあ。二年ぶりかあ」
「緑鷲直。いや、グリーンイーグルといったほうがいいかな?」
やがて、2SEELDZの尋問室の椅子に座らされた。
「すべての君が握っている情報を教えて欲しい。すべてだ!」
長篠麻里男室長は直に尋ねた。
それにしてもどうしてこうも自分の前ですべてのことがバラバラに崩れ落ちるのだろう。
すべては完璧な筈なのに何故……何故に自分の前ですべてが崩壊して、消え失せるのか?
とにかく糞食らえだ。こんな馬鹿馬鹿しいことでビジネスマンのケツを悩ますかわりに、クジラを助けるとか、原子力のメルトダウンを防ぐとかしたらどうなんだ。
いったいどうして彼が、厳しい厳格な親に育てられて一流大学を卒業した高級官僚が、何故、ピンチや危機的状況に見舞われなければならないのか?そうだ、思い出した。
室長は壁に書いてあるであろう答えを見つけようとした。
“お前の負けだ”そう書いてある気がした。
そんな馬鹿な!頭を激しくふった。だが、そう簡単には答えが見つかりそうにもない。
「急がば回れ」か?本部長は足を急いだ。このままではとんでもないことになる。そうさ。それくらいはわかる。俺は馬鹿じゃないんだ。そうさ。そうなのさ。
「黒田室長は?」
「黒田前室長は数か月前に定年でやめたよ。私は新室長の長篠麻里男だ」
「よろしく。松重さんはどうしてますか?あ、宝田さん。」
宝田は直に挨拶をした。そして「ところで直ちゃん、エシュロンの日本語版プログラムをひとりで構築したっていうのは本当なの?」
「え、あ、はい。少し時間がかかりましたが『GEE』は完成しました。また『GEFW』もです」
「あいかわらず凄いのね、直ちゃん。いや、グリーンイーグル!」
「私は『GEE』も『GEFW』も政府に売りますよ。ただで」
直はにやりと笑った。「すべては『GEE』の検索結果なんです。ウラジオストクでのことも、謎の言葉『世界再起動計画』『パンドラの匣』も」
長篠は「確かに姜正日こと鈴木良純を逮捕し旅客機で護送中だ。だが、二年前に逮捕した総統・金成正(キム・ソンジョン)こと金城徹も監獄で病死してしまった。もはや、姜正日こと鈴木良純しか我々の情報源がない」
「そうでもないでしょう?『GEE』と『GEFW』があればたいていのテロは防げます。最高の矛と最高の盾………矛盾ですけどね」
「それプラス伝説の天才ウィザード級ハッカーグリーンイーグルか。頼もしい!」
一同は渡りに船だと思った。
いや、寄らば大樹の陰、か???
何にせよ、また大規模なテロルが起きる気配だ。
「それにしても連中は二年前に旅客機に核爆弾をしかけたんですよね?今回もということはないのでしょうか?二度ある事は三度ある、といいますし…」
「それもそうだな。直くん。松重に連絡をとれ!スマホに電話だ。」
長篠室長は部下に命令した。直は「松重さんもウラジオストクに?」と聞いた。
「ああ、あいつは行くときかなかった。何か感じるものがあったんだろう」
鈴木良純は席でとなりの桐野清二に「桐野さん部下の敵討ちってこと?」とにやにや挑発する。「いや、部下じゃないや。フィアンセだっけ。えーと、名前はなんとか亜衣…」
「……鈴能亜衣だ。貴様!」
「じゃあ、持ってる銃でぼくを殺しちゃいなよ?」
「………」
良純は狂ったように笑う。
緑鷲直の端正な顔に少女っぽい笑みが広がった。少女っぽいと共に大人びてもいる。魅力的な、説得力のある微笑みであった。だが、そのときは見たひとにとっては彼女の片棒をかつぐのだけはごめんだ、と思わせた。しかし、直は天才的なハッカーであることにはかわりない。正直に評価できる天才であることにはかわりない。
やがてスマホがつながった。圏外ではなかった。
最近、基地局が大量に増えたからだ。
「はい。どうも松重です。」
「長篠だ。姜正日こと鈴木良純はちゃんとおとなしくしてるか?」
「はい、室長。両手に手錠をかけて拘束しています。精神を病んでいるのか……にやにや笑っていますが…」
直は思い切って声をかけた。「松重さん?」
「ん?あ!緑鷲直か??」
「はい!元気でしたか?松重さん」
「ああ。あのガキがね」
「いやいや、もう私は二十代ですからガキじゃありませんよ」
「二十代前半なんて俺には立派なガキだ。すまねえな。お前ももう普通に暮らしていただろうに。俺たちはお前を巻き込みたくなくて「あいつを放っておいてやれ。もうちゃんとした生活に戻っているはずだ」って反対したんだが」
「いいですよ。わたしは女版正義の世界一のホワイトハッカーですから」
「それ。自分でいっちゃう?」
「はい。」
ふたりは笑った。しかし、良純は機内に時限式爆弾があり、それはネット回線で操れるタイプだと白状した。このままならこの飛行機はシベリア上空で爆発するとも。
ネットで操れるが、腕の鈍った緑鷲直なんかに爆破を止められない、とも。
緑鷲直は2SEELDZの建物で新・室長と話した。
「犯罪を犯さなければ逮捕するなんて言われたのは二度目だわ」
「直くん。すまない。君を巻き込むつもりはなかった」
「あなたがたはいつもそう。勝手で仕事のことばかり…」
「私達は日本をテロから救っているんだ」
「それを手伝え、ってこと?」
「すまない。君のハッカーとしての腕が必要なんだ」
「でも、わたしが中学生の時逮捕補導された時、父さんはわたしを殴ったわ」
「…君の父親も混乱していたんだ。でも、嫌なら無理強いはしない。ただな、この東京に今日の夜にも核テロが起きるっていう確証をわれわれ2SEELDZは察知した」
「そういえば私もそういう情報はハックしたわ。それと怪しい団体か個人かわからないけどジャパンエアフライトに何回か不正アクセスのログも見た」
「ジャパンエアフライト?航空会社か?」
「ええ。今夜東京羽田に到着の極東からの便にアクセスが集中していたわ」
「……まさか…?爆弾テロとは…ミサイルではなく…飛行機にまた核爆弾なのか!」
「そこまでは…知らないわ。でももう誰も失いたくない!」
「直くん、これは危険だぞ!」
「日本が今夜核爆弾で壊滅する!」
 緑鷲直は驚いて息を呑んだ。
その後、お偉いさんに直はいわれた。
「君のハッカーとしての才能が必要なんだ!いいかい?今夜東京上空で爆弾が爆破したら君も君の親戚も君の友達もすべていなくなってしまうんだよ」
「でも……わたしはもう関係ない!かかわりたくないのよ!」
だが、直は高橋には胸ぐらをつかまれ、「このガキ!いいか?!!才能を神から与えられた人間はその神業をつかって歴史を動かす役割があるんだ!逃げるな!お前が東京を救わないで誰が東京を救うんだ?!!」
「…………くそっ!わかりましたよ!やりゃあいいんでしょう!」
「そうだ!二年前の奇跡を!もう一度奇跡をおこすんだ!!!」
緑鷲直は眉をひそめたが、またパソコンの画面に眼をうつした。直はその場で凍りつき、一瞬、眼をとじた。やるしかない!覚悟をきめた。震える手を何とか動かした。
直のみぞうちを占めていた漠然たる不安が、驚異的な形をとりはじめた。彼女の本能のすべての赤い警告のランプがついていた。「どういう意味なの?」思わず声をあげようとさえした。だが、理性が勝った。「ちくしょうめ」そういう汚い言葉まででかかった。だが、それにも理性が勝った。肩をいからせぜいぜいしたい気分だったが、それも理性が勝った。
警察にばれたら弟や父親の命はない。危険だがやらないよりはマシだ。そうさ!
彼らは片手をさしのべ、自分たちがついているのだと思い出させてくれた。やさしく、彼女の肩に触れた。直は「週末がだめになった」と言った。
「週末?」直の言葉があまりにも場違いだったために、一同は耳を疑った。
「緑鷲直……」直は視線をさけた。そして「弟はいじめられていたわたしの救いだった」
正直な感想を吐露した。一同は気の毒がった。
直はその後、泣き続けた。
何にしても漫画やドラマのように数分で解読できる訳がない。
しかも、相手は『時限爆弾』である。
#endif
Int rt_throttled;
U64 rt_time
U64 rt_runtime;
/* Nests inside the rq lock: */…
「くそっ!暗号が数百もある!」
直はキーボードをばん!と叩いた。
「…無理なのか???」
直はまたも速攻でキー入力を始め、「いいえ。要は金庫師と同じです。どんな頑強な金庫でも金庫の専門家なら開けられる!そのパソコン版です!」
「できるか?」
「…出来ないこともありません。時限爆弾を止めるだけなら!ですが、調べてわかったんだけど時限爆弾はある人工衛星のGPSが装置を止めてもGPSが極東にある限り…爆弾は爆発します。自衛隊のスクランブルはかかっているんですよね??」
「ああ。現在内閣総理大臣の勅命で、航空自衛隊の戦闘機二機がスクランブルをかけて飛行機に伴走している!最悪、撃墜して日本海内で爆発させる!それでも数千万人が犠牲になる!」
「じゃあ、二年前の奇跡を!人工衛星の管制所のNASAやペンタゴン(米国国防省)にハッキングして爆発解除のパスワードを入手するしかないわね!」
「でも、ペンタゴンやNASAのセキュリティの高さは世界一よ。どうするの?」
「確かにペンタゴンやNASAのセキュリティは堅牢でも管理者まで堅牢かはわからないわ!管理者のパソコンかスマホにアクセスして必ずハックしてみせる!二年前の奇跡を!」
緑鷲直は、やるしかない、とパソコンのキーボードを高速でかたかた叩き、ハッキングしていく。
その頃、日本国の内閣でも国家安全局会議が開かれていた。
「どうする?このままじゃ日本は壊滅だ」
「本当に政府に責任があるのか?テロだぞ」
「堺大臣、今更ご自分の保身を考えている場合ですか?」
「ふん。さすがは総理お気に入りのおんな防衛大臣だ。余裕じゃないか。もうすぐ日本上空で大爆発がおこるかも知れないのに」
「ですから、日本海上で旅客機を墜落させて海の中で爆発させるしかない」
「乗客は?」
「犠牲は仕方ない。日本が爆発するより旅客者の死の方がリスクが少ない」
「やれやれ。」
「あ!麻倍首相!」麻倍晋作は内閣総理大臣となっていた。
画面の地図上では飛行機は現在、シベリア上空を東にむかっている。
政府の命令で飛行ルートを変更したのだ。何も知らない乗客たちは「おかしい。町の明かりがみえない」「変だなあ」と動揺し始めた。
確かに凄い!まさに天才ハッカーである!驚愕する程の速さで暗号解読がすすむ。
だが、時限爆弾の時間はあと数分!二年前の奇跡をもう一度!!頼む!!!
凄い勢いで暗号が解読されていく。流石は天才ハッカーで“伝説”にまでなる女性である。
飛行機内では桐野がパイロットと話しているところだった。
パイロットは「わたしには乗客の命を守る使命があります」
「それはわかります。しかし日本上空で爆弾が爆発するのは困る。われわれは国民のために爆弾ごと海で死ぬしかない。だが、われわれは最期まであきらめない!」
「ひとの命の重さってなんですかね?」
「大勢が助かれば少数は死ぬべき、とは…」
「安心してください。こんな同じような状況で二年前…奇跡を起こした天才ハッカーがいます!今度も必ず彼女ならやってくれます!」
「……彼女?女性なんですか…??」
そんなとき、スパイ容疑で連行していた男(鈴木良純)が騒ぎ出した。
「大変だー!この飛行機内に核爆弾がある!テロリストが日本の国内の空上で爆発させる気だー!」などと手錠のまま騒ぎ出した。
猿芝居であり、乗客たちをパニックに陥れるためだ。「あいつがテロリストだ!」
桐野らを指さす。乗客たちはもうパニックだ。
「落ち着いて!落ち着いて!」桐野や松重は銃を構え、警察手帳を見せた。
「わたしたちは警察官です。正直にいいます。その男の言うとおりです。この飛行機内しかも飛行機内に小型爆弾があります。タイマーもカウントしています。ですが、われわれが必ずみなさんも日本国民も救って見せます!安心してください!」
パイロットも「このかたたちがきっと守ってくれます。しんじましょう!」
そこで直はハックしたパスワードをスマホ越しにつたえた。
「パスワードは………、爆弾の察知場所は客室です!」
「暗号は解読できても……接続のパソコンが駄目では…」
天才ハッカーは指を止めた。そしてハッと気づいた。
解読は出来るが…こんなシーンを二年前に体験した!!二年前と同じでいいのか??。
速攻でキー入力をしていく。二年前とはプログラムは違うが状況は同じ………賭けだわ!
時限爆弾…三分前…二分前…一分前……
松重は「くそう!まだ飛行機は日本海沖だ!」
内閣はNSC(国家安全保障会議)で、外相が「総理!撃墜指示を!」
「まってください!今、天才ハッカーがやっています!」
30秒前…20秒前……。「いけー!」直はエンターキーを、祈りを込めて押した。
ピー………。
地図上の飛行機のマークが消えた。撃墜???いや、また点滅しだした。無事だ!
核爆発は???「桐野です!核時限爆弾のタイマーが数秒前で止まりました…」
ほっ。NSCでも2SEELDZでも飛行機の客室内でも歓声が上がる。
緑鷲直はほっと肩を落とした。額の汗をぬぐう。
「いったいどうしたんだ???」
確かに疑問ももっともである。
直はにやりとなって、「二年前と同じですよ」と言った。
「二年前も私が人工衛星をハックしてGPS信号を改ざんしましたよね?それをもう一度出来るんじゃないか?って。プログラムは違いましたが…二年前に一度やってますし。」
室長は「しかし、二年前とは爆弾のシステムは難解になっていただろう??」
「ええ。でも、まだまだわたしのハッキング能力に比べたらまだまだです。」
松重も「この糞ガキ、二年前の奇跡を本当に再現化したって訳かあ。」とえらく納得した。「うまくいったからいいけど失敗したら日本はおわっていたぜえ」苦笑した。
……これが天才ハッカーの底力か!
一同は危機回避に安堵し、感謝の拍手喝采で祝った。
だが、誰も気づかなかった。
直は絶頂の中にいた。「二年前の奇跡の復活だ!」
陰謀の陰が忍び寄っているとも知らずに…。
それを聴いていた姜正日こと鈴木良純はにやにやと笑い、「グリーンイーグルこと緑鷲直か。はははは、君には二年前にも計画を止められたね?でも、今度はそううまくいかないよ。『世界再起動計画』はけして止められないよ」
「黙れ!姜正日!拘束されて仲間もいない空の上でお前に何ができる!」
松重は我鳴った。
それでも姜正日はにやにや笑っている。
「それはどうでしょうかねえ。魔界の鬼手が、こんな厄介な僕を生かしておくと思う?」
「何?まさか手前も核爆弾を…?!!!」
「いや。核爆弾ではないよ。只の爆弾………」
「何っ?!」
そして姜正日こと鈴木良純が手錠された両手を掲げた。
その瞬間、右手の時計が光った。信号が送信される……
ドォオオン!
日本海沖で松重や鈴木良純らを乗せた旅客機は空中爆破し、その破片は四散した。
2SEELDZのデジタル地図上のポイントから松重や桐野や護送中の姜正日こと鈴木良純の乗る旅客機のポイントが消えた。
やられた!まさに自爆テロ!旅客機に仕掛けられていた爆弾が爆発したのだ。
……まさか!!!!やはり、二年前の方法では奇跡は二度も起こせないか……
2SEELDZの一同は凍りついたように沈黙した。
しばらくして、長篠麻里男室長は「くそったれ!」とゴミ箱を蹴った。
「……『世界再起動計画』って……何?」
直は茫然としてから涙を流し、呟いた。
只々、一同は戦慄した。
「もう誰も失いたくない!もう誰も失いたくない!」
緑鷲直は号泣した。それは恐怖、であった。



 2 最後の晩餐『魔界の鬼手』暗躍!日本国・世界の終りか?
絶望の果てにひとは何を見るのか?



「その方が信子のフィアンセ(婚約者)なのか?」
東京都内の高級住宅街田園調布の豪邸で、背広姿の麻倍晋作は椅子に座り、背広姿の眼鏡の男に訊いていた。次の日の早朝である。
窓側の席である。珈琲をお手伝いさんがだしたのか、テーブルにはカップがある。
だが、珈琲どころじゃない。
「初めまして、麻倍総理。私は東大生の相田翔哉と申します」
相手は眼鏡の科学者の卵の相田翔哉である。イケメンだった。
「そうか、君が信子がうれしそうにうわさしていた相田くんか」
「…はい。」
「なら、数日後に軽井沢で開かれる首脳会談のパーティに信子と一緒に参加せねか?」
「…え?でも、私如き只の東大生がよろしいのですか??」
「かまわんよ。なんせ信子のフィアンセなんだ。もうすぐ家族になるのだろう?」
流石は強く言った。
「はい。ありがとうございます。」
「君はパーティ用の燕尾服は持っているかね??」
「あ、いいえ。そのようなものは…レンタル洋服店から借ります」
「……レンタル?」
「はい。貧乏なもので。上等な服はもっていませんで…」
「ははは…」麻倍晋作は笑った。
「気に入った!まあ、わしも貧乏サラリーマンから一代で代議士、内閣総理大臣までになった。男は少し貧乏な方がサバイバル能力が高い。しかも東大生、学歴は立派な武器だよ」
「………ありがとう。おじいちゃま」
「いや。信子がいいというなら相田くんにわしの地盤看板カバンを託して後継者にしてもよいよ。わしももう歳だからね」


*****続く(刊行本または電子書籍に続く)続く********
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