goo blog サービス終了のお知らせ 

アロマな日々

一条の光に誘われて歩くうちに、この世とあの世を繋ぐ魔法の世界に紛れ込んでいました。夢のワンダーランド体験を綴ります。

仲代達也 いま挑戦の秋

2005年12月11日 | 日々の泡
NHKの「にんげんドキュメント」で仲代さんの新しい舞台への挑戦の日々を放映していました。72歳と言えばまだ老け込む年齢ではないと私などは思っています。若い時代には、若さは平等に与えられていて、若い人はみな一様に若く見えるものですが、ある一定の年齢を越えると、年相応の概観の人もいれば、実年齢よりもずっと老け込んだ雰囲気を身につけてしまう人もいます。そうかと思うと、驚異的なほど、実年齢よりも若く生き生きと見える人もおられるなど、見かけは一律ではなくなってきます。仲代さんくらい、一芸に秀でた人だと、若く見えるか老けて見えるかなどということはもうどうでもいいことのように思えます。ナレーターは語っていました。「落ちていく記憶力。覚えられない台詞。」膨大な台詞にかつてないほど苦しむ仲代さんは、台詞を覚えるための工夫として、自ら毛筆で書き記した台詞を部屋(寝室)中にぺたぺたと貼りつけることをしておられます。(尤も、この習慣自体は20代の頃からのものだそうです。)深夜、部屋に貼り付けられた台詞を記した紙に懐中電灯を照らしながら、懸命に台詞を繰り返し繰り返し頭に叩き込む作業に余念がありません。(暗闇の中で、懐中電灯を照らしながら台詞をつぶやく様はまるで「耳なしほういち」のようで不気味だと自嘲気味に語ります。)ナレーションはさらに続きます。「衰えていく肉体。落ちていく記憶力。夜の寝室は仲代さんの老いとの闘いの場です。」舞台に立つという行為は、舞台を待ってくれている大勢の観客に対しての責任を伴う仕事ですから、芝居の完成度に向かっての精進のこととは別に、心身の調整を常に念頭に置いて、厳しく自己を律する生活を心がけなければなりません。体調の管理もさることながら、精神面での自己コントロールが要となることでしょう。辛く厳しい道程に違いありません。人生のほとんどの場面をこんなにも緊張の強いられる時間の積み重ねで過ごしてきた人の精神力の強さはいかばかりかとと胸が詰まるような思いで画面を見つめていました。
NHK にんげんドキュメント
ドライビング・ミス・デイジー