ならなしとり

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遺伝的多様性に関する私見2 遺伝的多様性はどうやって生まれるか

2010-03-10 10:49:20 | 遺伝的多様性
シリーズ2回目です。前回は遺伝的多様性とヒトとの関係に触れましたが、今回は遺伝的多様性がどうやって生まれるか、生物にとってどのような役割を果たしているか説明してゆきたいと思います。
 遺伝的多様というのは突然変異によって生まれます。突然変異というのはおおざっぱにいってDNA配列やRNA配列が変化することです。この突然変異にも種類があり大きく分けて3種類に分かれます。

1. 有利な変異 その突然変異を持つ個体にとって生存などに有利な変異。例としてはある病気に強いなど。

2. 不利な変異 その突然変異を持つ個体にとって生存などに不利な変異。ヒトでいえば血友病などが有名。

3. 中立な変異 有利でも不利でもない変異。環境の変化によっては有利になったり不利になったりすることも。変異速度が一定であることが多く、種分化を探る目印(マーカー)として使われる。

変異の起こりやすさでいえば有利な変異より不利ないし中立な変異のほうが圧倒的に多いです。これは生物が精巧な機械のようなものであり下手に手を加えると壊れる(死ぬ)ことが多いからです。ごくごくたまに改良につながる変異があり、それが有利な変異と呼ばれます。これらの突然変異による遺伝的多様性は個体や集団に反映されます。たとえばヒトでは個人レベルではアルコールへの耐性や血液型、集団レベルでは鎌形赤血球などがあります。
 遺伝的多様性が生物保全で重要視される理由の一つに遺伝的多様性は生物が環境の変化に対応する原動力になることが挙げられます。専門用語で進化的可能性といいます。たとえばガラパゴスフィンチでは干ばつの際の生存率はくちばしのわずかな長さ、厚さが左右しています。仮にフィンチの集団に遺伝的多様性がなく単一の遺伝子しか持っていなければ、干ばつなどの環境変化に対応できず絶滅するということもありうるでしょう。集団内に様々な遺伝子がある(遺伝的多様性がある)おかげで環境の変化に対応し集団が存続できているわけです。このことから、遺伝的多様性が高いほうが基本的に環境の変化に対し生き残りやすいので、遺伝的多様性が高い集団は近縁のそうでない集団より生き残りやすいといえます。

参考文献
フィンチの嘴 ジョナサン・ワイナー著 早川書房
進化とはなんだろうか 長谷川真理子著 岩波書店
保全遺伝学入門 西田睦監訳 文一総合出版
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