ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

進化生物学教育に思うこと2

2010-06-24 22:49:38 | 進化生物学
 だいぶ前に書いたものの続きです。進化生物学の中でほとんど唯一、高校で教えられているのが遺伝です。しかし、その遺伝についても、最近の知見を十分に取り入れたものとは言い難いものです。
「遺伝Vol62」において遺伝を高校でどう教えるかという特集が組まれているので、そこから引用していきます。今回引用するのは「高校生物遺伝分野で何を教えるべきか」向井康比己からです。

以下引用はじめ
ゆとりの教育による学習内容の低減化も問題の1つである。遺伝と変異の項目から変異が削られた結果、変異(variation)、突然変異(mutation)を教えることができなくなった。
引用終わり

突然変異を教えることができないというのは進化生物学教育においてかなりまずいです。なぜなら、自然淘汰にしても中立説にしても遺伝配列に変化が生じ、それが集団内に広まることを前提にしているからです。それくらい突然変異というのは進化生物学において基本中の基本なんですね。学習指導要領の改定で進化が高校から中学に戻されたようですが、変異を教えずに進化を教えろとか無茶振りにもほどがありますって。

以下引用はじめ
現行の教科書に不足している項目は、ヒトに関する遺伝である。キイロショウジョウバエやスイートピーの遺伝よりも、病気や健康との関連で身近な遺伝学という立場から、ヒトの遺伝についてもっと取り上げる必要がある。
引用終わり

個人的には無知や偏見を防ぐためにダウン症のことくらいは取り上げてもいいと思います。このあとにも述べてらっしゃいますが、iPS細胞やGMというのも遺伝の応用なんですよね。

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