ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

外来生物による繁殖機会の不平等

2009-03-25 21:39:31 | 遺伝的多様性
 交雑するほど近縁な外来生物が侵入した場合、在来生物と外来生物のあいだに繁殖をめぐる競争が起きることがあります。その結果、次世代に受け継がれる遺伝子に偏りが生じることがあります。これは、在来の遺伝子が消える場合もあり、遺伝的多様性が失われることを意味します。
 たとえば、絶滅危惧種シナイモツゴとモツゴのあいだでは、シナイモツゴのメスとモツゴのオスはよく交雑するのに対し、シナイモツゴのオスとモツゴのメスでは交雑がほとんど起こりません。さらに、シナイモツゴとモツゴのオスでは、モツゴの方が配偶者を獲得しやすいようです。これは、シナイモツゴのオスには遺伝子を残す機会が少ないことを意味します。遺伝子を残す機会が少ないということは、シナイモツゴのオスが持つ遺伝子は消滅しやすいということです。ですから、モツゴがシナイモツゴの生息地に持ち込まれるということは、じょじょにシナイモツゴの集団が持っていた遺伝的多様性を減らしていくということになります。