昼耕夜読-Jack’s Diary-

植物、本、音楽などについて

愛しの座敷わらし

2007年11月21日 | 
作者:萩原 浩
出版:朝日新聞、夕刊連載小説
ジャンル:ファンタジー
評価:☆☆☆/☆☆☆☆☆

 朝日新聞の夕刊に、春から240回にわたり連載されていた小説が11月19日にめでたく完となった。今まで新聞の連載小説を読んだことがなかったので、一度読んでみたいと思っていた。連載小説を読む習慣がなかったため、第1回目を読み損ねることが多かった。今回は、この「愛しの座敷わらし」を第1回目の連載から読み始めることができた。そして、1回くらいは読み損ねたことがあったかもしれないが、ほとんど毎回おもしろく読むことができた。浅賀行雄氏の挿絵も物語の内容に良くマッチしていた。
 物語の主題は単純。何となくぎすぎすしている家族関係は、おきまりのお父さんの仕事ばっかりで家庭を顧みないことが原因。しかし、転勤で田舎の古い家に住むことをきっかけに、不便を感じながらも自然の中で都会にはない自然や素朴な人々に囲まれ、しだいに家族の絆が強まってゆくという話。今時ありそうな主題。そこに、座敷わらしの存在が絡む。
 東京に住むサラリーマン晃一は急に転勤になった。そして、家族に不満を言われながらも田舎の古い家に引っ越すことになった。晃一の家族は、妻の史子、義理の母、中学生の娘梓美、小学生の智也の5人家族で最初はみんな、不便で古い家に文句を言っていたが、子供たちにも友達ができそれぞれ近所で知り合いもでき、しだいに田舎の生活が好きになっていった。そんな生活の中で、晃一以外の家族4人は座敷わらしが住み着いているのに気がついた。最初はそれぞれ座敷わらしの存在を疑い、怖がっていたが、しだいに親しみを感じるようになり、家族の一員のように感じるほどになっていった。会社人間だった晃一もしだいに家族思いになっていった。そんな平和な家族が暮らす中、3ヶ月後、再び転勤することになってしまう。不便な古い家に住むことをあんなにいやがっていた家族は、みんな再び東京へ帰ることをいやがるようになった、さらに、座敷わらしと別れることを寂しく思った。とうとう晃一一家は東京へ帰ることになるが・・・・


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