その夜は
思ったほど寒くなかったし
ちょっと転んだけど別に痛くもなかった。
ナイフで刻んだみたいな上弦の月、
シグナルはシグナレスのために点滅を繰り返し
四つ角では
いつも誰かが悪魔を待っている。
時間さえ思い通りになるのなら
他は何でもいいんだけどな。
接触が悪くて音の出ないギターを
俺は何時間も持って歩いてたんだ、
重たいハードケースに入れてさ。
でも夜はまるでごった煮のスープみたいで
何が何だかわからなくなっていたし、
そんなことはどうでもよかったんだ。
出来ることは全部やったし
・・・・・これ以上は無理だぜ。
君がどう思うかわからないけど
あれ以上は無理だったよ。
でもそんなこと言いながらまたこの夜だって
あっさりと明けてしまうのだし
実際のところはわからないよ。
・・・・そうとしか言いようがないと思わないか?