音楽とのつきあいかた。加筆・訂正済み

2021-06-27 21:30:12 | Weblog

近所のブックオフで古着と古本と中古CDと中古楽器とユーズド時計を見て歩いた、

と前々回の日記で書いた。

 

ふと読み返して気付いたのだが僕は、

古着屋で働いたことがあるし、

古本屋でバイトしてた時期もある。

時計店員は、ユーズドではなく新品を扱っていたのだが、けっこう長くやったし、

中古レコード屋と中古楽器店だけ経験がないのね。

 

音楽的じゃないなあ。

 

ライヴハウス店員も、やってないよ。いい話は・・・あったのだけど

すっごく悩んだ末、丁重にお断りした。僕にはちょっと無理があると思ったから。

 

何故かと言うと、

日常的に、仕事として音楽に関わっていたくない、という思いが強いのだ。

・・・・こういう物言いって僭越で、偉そうで、気が引けるのだけれど。

音楽はどこまでも「お楽しみ」であって欲しい。嫌なときは聴かない、嫌な音楽も聴きたくない。

 

そして、何にでも飽きてしまう傾向があるから、四六時中音楽の中に居たら、

音楽そのものにうんざりしてしまうかもしれない。それが怖かった。

「もう何も聴きたくない!!!!」みたいになるのが。

 

そして、常にお酒のある環境で働くことも少し怖かった。

 

だからライヴハウススタッフとか中古レコード屋店員とか楽器店員とかレコード会社社員とかは、

偉い、と思っている。 ある種、尊敬している。

 

僕は自分が

最大限に音楽を楽しむためには、普段から聴かないこと・・・かもしれない、と

思っていて、実際、今もそれを実践しているフシさえあるのだ。

 

決して音楽をBGMにしないようにしている・・・つもりなのです。

 

喰うことを楽しむために空腹で居る、というのに近いかもしれない。

 

でも面倒な話は抜きにして、

中古レコード屋の店員、というのは

純粋にかっこいいのだ。今でも憧れる。

 

でも、アメ村の古着屋の店員になれた時も嬉しかったな。

古本屋の店員も、純粋に楽しかった。

 

バンドが上手く行ったときの楽しさや嬉しさはもちろん、

それの比じゃなかったけどね。

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能町みね子著「お家賃ですけど」

2021-06-27 20:20:38 | Weblog

ブックオフで「ユービック」を買った、と書いたのだけれど、

もう一冊、手に入れていた。

能町みね子著「お家賃ですけど」である。

ちょっと前にこの人の著作「結婚の奴」を読んだのだが、

それが衝撃的に良かったのだ。

あの「結婚の奴」という作品を、多くの人がどうやら「長編エッセイ」みたいに思ってるみたいだが

違う。

あれは文学作品である、と僕は思う。

太宰も真っ青の、赤裸々な、自伝的な小説作品だ。

 

ずいぶん昔に、中島らもが”面白いエッセイの人”から突然、「今夜、すべてのバーで」という小説で

凄みのある”作家”に変貌した時のことを鮮やかに思い出した。

 

それくらい良かったので、この人の書くものはとにかく、全部読んでみよう、と思っていた。

そしてこの「お家賃ですけど」も、深く、しみじみと、良かった。

読み終わってしまうのが惜しい、と思った。

これは、加寿子荘(と著者が勝手に呼んでいるアパート)をめぐる、

そこに住んでいる能町みね子の日常を綴ったもの。

単行本が出たのが2010年7月、とあるから、書籍化からもう11年も経つのだ。

だからここに書かれている日常は、15年くらい前の物か。

実は先述の「結婚の奴」にも、この加寿子荘と、大家の加寿子さんがちらりと

登場していて、いきさつを知らないまでも、ちょっと切ない場面ではあった。

だから僕から見たら、その「前日譚」ということになる。

「スターウォーズ エピソード1」みたいなものだ。

 

この能町みね子という人は、男だったのが性転換して女になったという人で、

そのことはとても希少で、面白いのだが、

この本においてはそのことは重要ではない。

 

重要なのはこの人の、

「過去の建物や文化、そしておばあちゃんたち」を”愛でる”視点だ。

めでる。

愛という言葉、そして漢字は、明治期に言語学者によって作られたもの、

でしかないのだが、

「めでる」という言葉は日本に古くからあったのではないだろうか?

違うかな。愛の漢字は、日本語お得意の「当て字」だと思うのだけれど。

まあそれはともかく、

この人は愛でる。古いものを。

そして新しいタワーマンションなんかを執拗に嫌悪する、攻撃する、言葉で。

「爆破したい」とか物騒なことを言う。

そういうところも、とてもいい。

「愛でる」ばかりの優しい人なんて存在しない。嫌いなものは嫌いだ。それでいいのだ。

 

僕にだって、嫌いなものは多い。テレビ、テレビ番組、テレビドラマ、ジャニーズ、

ディスコ、ディスコミュージック。他にもいろいろあるけど。

 

でもやはり、「愛でる」話のほうが芳醇だし、好きだ。

僕も古い建物や、おじいちゃん、おばあちゃんが昔から大好きなのだ。

(おじいちゃん・・・については、簡単ではなかったけど、今ではちゃんと愛している。)

 

この本はしかし、唐突に終わる。

書かれてないけど、この人は最終的にこの加寿子荘を出るのだ、僕はそのことを知っている。

そして今はゲイの人と一緒に住んでいる。そのことは「結婚の奴」に書いてある。

その、出てゆく最後のエピソードまで、たどり着かない。

いつかこれの続編が出るのだろうか。出て欲しいなあ。

 

最後の最後に衝撃だったのが、なんとこの本、

もともとはあの、SNSのミクシィに投稿されたものを編集したものなのだ。

ミクシィ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

実は僕も、このブログのもともとはミクシィだった。

文章修行みたいな気持ちもあって始めた、というところも近い。

 

僕はミクシィはもう見限ってしまったけど、

でもいろんなことが「きっかけ」になり得るんだなぁ、としみじみ思った。

 

 

 

 

もうすぐ梅雨があけて、あの戦慄の「夏」が来ちまうね。

「もうじき暑い夏が来る」っていうのはあの土井健が初めて書いた歌のタイトルだよ。

 

いい歌。

 

 

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古本屋文化よ永遠に。

2021-06-27 14:50:18 | Weblog

近所のブックオフに行って古本と古着と中古CDと中古楽器とユーズド時計を見て歩いた。

 

しかし何だな、以上のものが一つの店舗にある、というのは便利でいい気もするが、

味気ない気もする。

以前ならどこの町にも何軒かあった小さな古本屋というものが絶滅しているのだ。

中古楽器店なんて・・・・もう探しても探しても、ない。

古着屋というのも、あまりない。中古レコード屋もほぼ絶滅している。

 

それはともかく。

今日はP・K・ディックの「ユービック」を発見してしまった。感動。

古本屋に並んでるのを、初めて見た。新刊本屋でも一度も見かけたことがない。

僕は既に一冊持っているのだが、素早く購入した。誰かに貸したり出来るから。

これはディックの最高作で・・・・・この中に書かれていることは

ぶっ飛んでいてファンタスティックでこの上なく不吉で怖くて不穏で、とにかく素晴らしいのだ。

こんなのが置いてあるなんて、ブックオフとても好きになってしまう。

ほくほくと「ユービック」を持って他の本を見て歩いていたら、

巨大な「村上春樹コーナー」があって、ほぉぉ、と見たのだが当然ながら

僕の知らない本は一冊もなかった。95%くらいは新刊が出た時にすぐに買ってるから。

大きな文字で「村上春樹、どれを読んでも面白い!」と書いてあって、

はぁ、そういう認識なのかな・・・。

でも思い出したのだけれど もう30年くらい前になるのかな、

「ノルゥエィの森」が出て、世間で大ベストセラーになった時、

一昨日の日記に書いた大叔母がちょうど寝たきりになってしまって入院していた。

出たばかりの「ノルゥエィの森」を持って福山に帰郷していたのだが、

その大叔母が「アンタ、何か面白い本持ってないの?」と珍しく僕に聞いて来たので、

僕自身は「期待外れ」という感想しか持ってなかったのだが、

世間でこれだけ売れまくっているし、まぁ、話題作なのは間違いないから・・・と思って

それを渡した。出たばかりの「ノルゥエィの森」ハードカバー上・下巻。

大叔母は途中まで読んだみたいだがお気に召さなかったようで、

「あんなつまんないの読まさないでよ」と後日、怒られた。

まあ、確かに。大叔母は一般的なミステリーや推理小説とか読んでた人だからね。

でもあの時もしもディックの「ユービック」を貸していたとしても無理だっただろうな。

あの人と僕は恐らくどうやっても心の接点はなかったのだ、残念だが。

でもしかし、最近顔が、似て来たんだよな・・・その大叔母に。

大叔母はつまり、祖母の姉なので、遺伝子的にはとても近いのだ。

祖母に似れば細面でシュッとしてよかったのに。

もしくは、父の姉は、大美人で、まるで女優のようだったので、

あちらに似れば良かったんだがな。僕は全然似ていないのだ。

 

さて、これでウチには「ユービック」が二冊あるので

読みたい人が居たら貸しますよ。返却確実が前提で。

まぁ、新刊本屋で注文して新しいのを買っても全然いいとも思うんだけど。

(廃刊になってしまってるワケではないのだ。ハヤカワSF文庫に今でも、ちゃんとある。)

「古本文化」というものを愛してるからさ。

 

だからブックオフだけでなく、昔からの古本屋にも頑張って欲しい。

何だったら、また、バイトとかするよ?古本屋で。

 

もう今じゃ、雇ってくれないかもだけど。

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