Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

春画展、秋の夜長に

2015年10月03日 22時35分23秒 | おすすめ展覧会


観て参りました。
春画展!!

価値観が180度変わりました。

実は、春画の図録は3冊持っており
作品の資料にしていますが
図録で見る限り、肉筆の春画は生々しくてどうも苦手だった。
(私が言うのもなんですが)

北斎の春画も
私は肉筆よりも、システマチックな版画にされた方がだんぜん好きだった。

版画の均一でフラットな面、抑揚のない線、
抑圧された感じがたまらなく好きだったのだが
その価値観が見事に崩壊しました。

肉筆のきれいなこと!!
特に毛の描き方がすごい。
もわっと謎めいている。
もちろんこんな毛を人は持っていないのだから
美化されて描かれているわけで
現実感は全くないのだけど
その方が、私にとっては美しく感じられる。
絵の中でしか実現されない美の方が
触れない美、届かない美、瞼の奥の奥でしか実現できないあこがれが
私にとっての究極なのだと知りました。

その触れてはならない領域を
絵描きが息を殺して、筆先に異様な何かを込めながら
実現しようとしているのがわかる。

素晴らしかった。

印刷ではこの臨場感はわからない。
やっぱり観なくてはわからない。

筆で色を置くってすごいことなんだと
今更ですが、改めて思いました。

私は絵を描いていて良かったと
心の底から思います。
絵は一つの人生をかける価値があると
励まされ、抱きしめられたような気がしました。


春画展、是非観てください。
永青文庫~12月23日


図録は和綴じになっているので
厚い本ですがフラットに開きます。


大好きな月岡雪鼎「春宵秘戯図鑑」

今、絵をばんばん描きたいですが

すでに描いてしまった作品に対して
怒濤のだめ出しはしばらく続きそう…



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