椅子と骨(短編小説5)
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皆様
モハンティ三智江です。9日に無事帰沢いたしました。地震による室内の損傷はなく、紙袋や小物が若干落ちていたくらいで済みました。金沢在住の親族によると、私の居住地域は地盤が比較的硬いのだそうです。テレビも無事で、地震関連情報をチェックしていたら、早速軽い揺れを感じ、余震洗礼を受けました。
7日に関西国際空港に到着しましたが、大阪駅に近いタワーマンション(ブランズタワー梅田North)に住む知人のおかげで、ゲストルーム棟に1泊4000円で宿泊でき、長旅の疲れを癒すに最高の環境でした。37階の部屋からは、高層ビル群、ハイウェイの数珠連なりの車、淀川、彼方の山並みと見下ろせ、あまりに快適すぎて、神戸や京都を再訪する予定をキャンセルして、タワマン体験を満喫しました。47階の吹き抜けの展望テラスから俯瞰する夜景の見事さには、感嘆の息が漏れました。その一方で653戸入居の最大マンション(50階建て)が巨大地震に遭遇したら、どうなるんだろうとの思いもちらりと頭をかすめました。
帰路のフライトでは、トランジットの待機時間を利用してのハノイ半日観光も楽しみました。インドでは、前日ぎりぎりまで息子のライブツアーに同行し(1000キロ以上走破)、他地域への旅も含めて、目一杯エンジョイしました。また、オリッサ再発見ツアーと銘打って、レポート記事をお届けしたいと思います。
未だ時差ボケが抜けず、体調は今ひとつですが、4月に来日する息子(Rapper Big Deal、インドで5指に入る人気ラップミュージシャン)のためのメディア取材のセッティングに多忙な毎日です。
あまりにたくさんの素晴らしい場所を巡ったため、どれからお伝えしていいかわからないのですが、体調を見ながら徐々にお届けしていこうと思います。オリッサ州の野生の自然美の魅力を少しでもお伝え出来ればと思います。
最後になりましたが、短編小説第5回、「椅子と骨」をお時間のある時、ご一読いただければ、幸甚に存じます。帰って一番最初に紐解いた山田詠美著「私のことだま漂流記」(講談社、2022)には、喪失体験は小説と親和性が高いとあって、納得しました。かけがえのない大切な人を亡くすことは、小説の素材としては最高という逆説です。若竹千佐子の芥川賞受賞作「おらおらでひとりいくぐも」(河出書房新社、2017)も、喪失体験なしには書け得ない作品でしたし、小池真理子が同業の夫君・藤田宜永を悼んだエッセイ集「月夜の森の梟」(朝日新聞出版、2021)は、珠玉の短編小説のような昇華された完成度が見事でした(福井出身の直木賞作家、藤田宜永氏とは遠縁で面識があり、過去に拙作の帯に推薦文も書いて下さったため、夫の急死から2ヶ月余後の訃報は、二重のショックでした)。