よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

生物学的寿命について

2019-01-04 08:21:35 | 健康・病気
あけましておめでとうございます。本年も皆様にとって素晴らしい一年となることの祈念しております。当クリニックも、皆様の健康管理にお役に立てる医療を実践していきます。引き続きご指導ご鞭撻よろしくお願い申し上げます。

さて、今年初めての話題は、“寿命”についてです。

哺乳類は一般的には、心臓が15億回拍動(エネルギー消費量に換算すると体重1kgあたり30億ジュール)すると寿命を迎えると言われ、ゾウが70年、ネズミは2~3年となります。言い換えると、自然界では心臓が弱る(あるいは活動が低下する=老いる)と生きていけない状況となり、老いた野生生物は存在しません。

これをヒトに当てはめると40年程度であり、これが生物学的にみた寿命になります(実際、縄文時代のヒトの平均寿命は31歳)。 しかし、生活環境の改善や医療の進歩により、ヒトは生物学的寿命より長生きするようになりました。
ヒトは、老いてからの人生は、豊富な人生経験をもとに子育てを支援するように進化したと考えられています。そしてこのことがヒトの繁栄をもたらしているのです。すなわち、老いてからは自分自身を再生するのではなく、子孫に託す方向で進化してきたのです。したがって、老いは体全体に均等に進み、後戻りはできません。
一方、最新の遺伝子研究では、条件が整えばヒトは120歳まで生きることができると考えられています。

ここで大きな問題は、この寿命の延長が急激に進んでいるため、どう対処していけばよいのかわかっていないことです。日本人の平均寿命は、戦前まではたかだか50歳程度でしたが、現在は、男81歳、女87歳と長寿になっています。
100歳時代が叫ばれるようになった現代で、私たちはどのように生きていけばよいのでしょうか。このヒントを今年も皆様と一緒に考えていきましょう。


参考文献:新潮新書『生物学的文明論』 著者 本川 達雄   


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